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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#04 I I I I Tales from Topographic Oceans

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308/398

issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 01

CHAPTER 2



彼女たちの周りに広がるのは、完璧な静寂と、完璧な青だけだった。


空には紫の星雲が、巨大な絵筆で描かれたように淡い軌跡を残し、2つの太陽が、

それぞれ微妙に異なる色合いの光を、惜しみなく瑠璃色の海原へと注いでいる。

水面は、その2色の光を受けて、まるで砕けた宝石のようにありえない輝きで明滅している。


寄せては返す波は、少女たちの身体を揺らす子守唄のように穏やかで、その音だけが、

これが夢ではないことを証明していた。


肌を撫でる水は奇妙なほど生暖かく、塩の匂いも、地球のそれとはどこか違って、よりはっきりとした苦さがある。すべてが、途方もないスケールで描かれた、美しくも空虚な絵画のようだった。

そして自分たち4人だけが、その完璧な構図の中に迷い込んだ、ちっぽけな異物に違いなかった。


その永遠に続くかと思われた調和を破ったのは、言いようのない「違和感」だった。


音ではない。匂いでもない。それは、海そのものが発する不穏な脈動。

遥か彼方の水平線が、ゆっくりと、しかし確実にその稜線を歪ませ始めたのだ。

それは既知の波ではなかった。海原そのものが、あたかもひとつの巨大な筋肉のように、

膨大な質量を伴ってせり上がってくる。


「……なに、あれ」


さなが、か細い声で呟く。視線の先で、隆起は頂点に達し、次の瞬間――。


水面が、内側からの途方もない力によって、炸裂した。

天を覆い尽くすほどのシルエットがふたつの太陽を完全に遮り、世界を擬似的な夜陰へと突き落とす。


姿を現したのは、魚だった。


全長数100mという、地球人のスケールを逸脱した、神話的なまでの巨魚。

古代魚シーラカンスを彷彿とさせるその体表を覆う鱗は、1枚が都市の1区画にも匹敵し、

分厚い鎧のように鈍い光沢を放っている。帆船のマストのごとき鰭。

そして、何万年もの時をただ見つめ続けてきたかのような、建物の窓ほどもある、

一切の感情を読み取れない冷徹な眼窩。


時間の流れが、極限まで引き伸ばされる。

空中に躍り出た「山脈」が、その巨体を緩慢にねじり、飛沫の1粒にいたるまでが、

宝石のように光を放ちながら、重力からひとときの解放を得て懸命に舞う。


やがて、物理法則がその存在を思い出したかのように、巨魚は再び海面へと落下する。


――轟音。


世界そのものが破断したかのような、純粋な衝撃が遅れて海原に広がっていく。

叩きつけられた水面が、クレーターのように抉れ、そこから巻き上がった大津波が、

天を突く壁となって4人に襲いかかった。


「「「「わあああああっ!」」」」


悲鳴は、水の壁に叩きつけられ、泡となって掻き消される。 抗う術もなく波に翻弄され、

天地もわからぬ渦の中、それでも彼女たちは、互いの存在だけを頼りにその手を固く握りしめた。


……どれほどの時間が経過しただろうか。


ようやく渦が収まり、激しく飛沫を上げながら水面に顔を出した4人は、

ただ激しく咳き込み、互いの無事を確かめ合うことしかできなかった。


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