issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 01 38
「「「「なっ……!?」」」」
世界が、溶ける。
壁も、床も、瓦礫の山も、すべてが絵の具のように混ざり合い、色彩の奔流となって渦を巻く。
音が歪み、空間がねじれ、まるで身体が内側からひっくり返されるような、
異様な圧迫感が彼女たちを襲う。それに続く無重力の浮遊感。
それが、意識を刈り取る最後の引き金となった。
永遠とも思える暗転の後。突然、すべてのノイズが消えた。
そして、次に聞こえてきたのは、耳に馴染んだ液体の音。
ちゃぷん……。
「……ぷはっ!?」
最初に意識を取り戻したのはアシュリーだった。息苦しさに顔を上げると、
視界いっぱいに広がっていたのは、どこまでも続く、広大な海。 空には、見たこともない紫色の星雲が渦を巻き、巨大な2つの太陽が、ぎらぎらと世界を照らしていた。
「……げほっ、ごほっ……!なんだ、これ……」
「海……?どういうこと?」
「しょっぱい!これお水じゃない!」
「う、うぅ……どこ、ここぉ……」
水面に次々と顔を出した姉妹たちは、呆然としてあたりを見渡す。自分たちが今、
見渡す限りの大海原の真ん中に浮かんでいるという、信じがたい事実を理解するのに、
しばらくの時間を要した。
「……で、これは結局、誰のせいなんだ?」
その様子を確認したのち、アシュリーは水をかき分けながら、わざとらしく辺りを見回してうそぶく。
「……ああ、そうだよな。あんなモン置きっぱなしにしてた、シャカゾンビのせいだ」
彼女が自己完結するように頷いた、その瞬間。
まるでリハーサルでもしていたかのように、ビシャッ!と3方向から水しぶきが上がる。
おせち、さな、はちるの3人が、非難に満ちた表情で、一斉にアシュリーを指差していた。
「「「…………」」」
「……なんだよ?」
美しいにもほどがあるコントのオチが、異世界の海原で完成した。




