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惨劇エロゲにFPS大隊(角待ちSG、ナイファー、芋砂、蘇生厨、乗り物厨、豆ヘリ、その他様々な馬鹿兵士)がぶち込まれるお話  作者: 福郎


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9/11

Black Operation

(街の隅は空気が淀んでるな……こういう所は隙だと見られてよくない連中が集まってくる。ハイエナ狙いとか)


 街を歩くジョンは顔をしかめた。

 ここ、アリウス伯爵領は事業に失敗して経済状況が悪くなっているのだが、そうなると清い川に住めない魚が集まりやすくなる。


 単に衛兵のやる気が失われるだけの話に留まらない。明日への希望が持てない者達は目の前の快楽に飛びつき、金が無い者は削ってはならないモノを売るのだから、裏社会の人間にとっては天国だろう。


「ああ? てめえ見たことねえツラだな。冒険者かおい?」

(ほらきた……)


 厳つい顔をした集団に絡まれたジョンは、自説を肯定してくれた相手にうんざりした。

 顔や露出している腕の何処かに髑髏のマークを入れ墨している者達は、誰がどう見ても堅気の人間ではなく、目にいやらしさと暴力の気配を宿していた。


 すっと、ジョンの意識が切り替わる。


 下手に出て卑屈な笑みを浮かべ、場をなあなあで終わらせようとするのも一つの手だろう。

 だが行政が頼りになる平和な国での成功率は高くても、弱肉強食が色濃い時代には合っていない。

 弱みを見せたらとことん踏み入ってくる人間に対しては特にだから、その間違った認識を植え付け、後々に面倒を引き起こすくらいなら今対処した方がいい。


 ジョンは心の撃鉄を起こし、兵士としての己になる。


 戦車に引き潰され、ヘリの機銃で粉微塵になり、戦闘機の爆弾で消し飛んだ。

 同胞を引き摺り、泥の中で銃を撃ち、撃ち殺された。

 そんな生活を飽きもせず永遠に繰り返してきた。


 戦って、戦って、戦い続けてきた!


「ひっ⁉」


 チンピラたちから悲鳴が漏れた。

 所詮は街の喧嘩自慢だったが、永劫不滅に等しい破壊の化身を僅かに感じられる程度の感性はあったらしい。


 彼らがナイフを見せびらかす間も闘争は首を掻き切った。

 彼らが盗んでいる間も敵の武器を持ち上げて戦った。

 彼らが脅している間も殺し殺された。

 存在としての格も、在り様も、生き方も根底からして違うのだ。


「に、兄ちゃん。俺の子分がすまねえな。よーく聞かせておくから、こ、ここは勘弁してくれねえか?」


 三十代の後半だろうか。片目が刀傷で潰れている兄貴分は背にびっしょりと汗をかき、震える声で詫びを入れた。

 普通、往来で暴力を生業にする者が謝罪することはまずない。

 彼らは面子を傷付けられることをなにより嫌い、時として死よりも嫌うからだが……それはまともに死ねる場合の話だ。


 兄貴分は息を吸うことすら出来ない死臭と、自身に纏わりつく死体の群れを幻視し、理外の存在に心底からの恐怖を抱く。


「ではこれで手打ちにしましょう」

「あ、ああ。ありがとよ」


 ジョンの方もわざわざ殺し合う必要性を感じず、これで一件は落着した。

 かに見えた。


「あ、そうだ。気を付けておいた方がいいことありますか? なにかの超凶悪犯罪者がいたりとか、そんなのです」

「……下水道で化け物の一団がいるって話を聞いたことがある……一度や二度の話じゃないから、割と確度は高いと思う。ひょっとしたら邪教が絡んでるかも」

「ふーむ。ちなみにご領主様はどのような対応を?」

「俺らも気色の悪い連中と関わりたくねえから、正規のルートに情報を流したけど、今のところは対応してもらえてねえな。ああ、結構上位の伝手だから、これからも望み薄だと思ってくれ」

「分かりました。ありがとうございます」


 聞きたいことを終えたジョンは、先程までの威圧感が嘘のように立ち去る。


「あ、兄貴っ⁉」

「け、喧嘩売る相手を間違えんじゃねえよ馬鹿……」


 残されたのは腰を抜かしかけた裏社会の人間たちだけだ。


「蘇生厨、ステルス」

「現着しました」

「……」


 アリウス伯爵領・下水道入り口

 --19時00分

 ----不滅大隊

 ------ジョン・ドゥ最高指揮官

 --------邪教団を抹殺せよ


「排除開始」

「ご命令どおりに閣下」

「……了解」


 純度を高め過ぎた者達が銃を抜いた。


 ◆


 伯爵領の街だけはあり、元々は発展していたのだが、きちんとした下水道は手入れが行き届かず、今は邪なる者達の巣窟と化している。

 隅で、暗がりで、奥で、人ではない不浄なる者が徘徊し、街が襲われるのは時間の問題だっただろう。


 それが今、死体になったのは時の運としか言いようがない。


 ひたりひたりと、人と魚の混合物のような怪物が下水道をうろつく。

 裸足や指はヒレなのか足なのか判別が難しく、目は顔の前ではなく側面にくっ付いている様な有様だが、すぐ背後に市街地迷彩に着替えたステルスがいても気が付かない。

 彼が気付いたのは、己の首がごきりと鳴ってからだ。


「……」


 仕留めた半魚人擬きの体を支え、静かに横たえたステルスが再び歩き出すと、その背後から暗視装置を身に着けたジョンと蘇生厨が静かに追従する。


 大隊兵が殺し合う戦場で、ステルスを正確に見つけることはほぼ不可能だと断じられている。

 彼は異様なまでの隠密性と我慢強さ、更には独特の嗅覚が備わっており、大隊兵は気が付くと彼に殺されている。

 このステルスに対抗するには、索敵だけに心血を注ぐスポッターと呼称される兵の尽力が不可欠なのだが、少なくとも下水道にいる邪教の徒には無理な話だ。


 彼らは影のように音を立てず、既に複数体の半魚人を仕留めながら、下水道の奥へ進んでいた。


 互いに死角を潰し、相互のフォローをしながらも淀みない動きはまさに分隊。兄弟。家族。

 喋らなくても意思疎通はできるし、どこを狙っているのかも分かる、一個の有機体と言える存在だ。


「ゲッゲッゲッ」

「……」


 今もまた、人間の腕を咥えている半魚人が前から来ていることを察知した兵士が、闇に溶けるように隠れその時を待つ。


 待つ。


 待つ。


 闇が半魚人を覆った。


(可能なら首謀者を生け捕りにしたいが……)


 ジョンに指揮官としての思考が巡る。

 わざわざ隠密作戦を行なっているのは、街の中でこんなことを仕出かしている存在を生け捕りにして、企みの全容を暴きたいからだ。


(まあそれは最善の場合だな)


 しかし冷徹な思考はあくまで可能ならばと判断し、情け容赦ない一行は突き進む。


 すると明らかに邪教の神殿と思わしき場所に到着し、三人は視線を合わせることなくそれぞれの配置についた。

 誰がどこを。どの順番で狙う……そんな事前の打ち合わせなど全く必要ない。

 派手な音も、演出もない。


 確認できるのは半魚人擬きが五体。更に跪いて報告している不審人物と、仰々しい法衣のようなものを纏っている者。


 さっと物陰から体を出したジョンと蘇生厨の、消音装置付き小銃から銃弾が飛び出した。その運動エネルギーは正確に半魚人と配下らしき人間たちの頭蓋を貫通。脳を掻きまわして命を奪い去る。


 同時に裏に回り込んでいたステルスが、これまた消音装置付きの拳銃で、首魁と思わしき司祭風の男の膝に銃弾を叩き込みむと、膝蓋骨を含めてぐちゃぐちゃになり歩行能力を喪失させた。


「ぎゃああああああああああああああ⁉」

「おや?」


 悲鳴を上げた邪司祭が転がり、フードの下から見知った顔が現れたので、ジョンは僅かに驚いた反応を示す。


「エンリケ司祭、二神に仕えていたのですね」


 邪司祭の名をエンリケ。

 純善教の司祭でありながら、人からの脱却を目指していた背信者である。


「き、き、貴様!」

「正直なところ……分からないのですよ」

「なんの話だ⁉」

「この魔法陣、邪法で恩寵を授かり人からの脱却を目指しているものですね? どうして人を捨てるのですか? 魚になるのです? 虫に? 獣に? それが理解できない。全く、ちっとも」

「ぜ、ぜ、脆弱な人に拘っている愚か者の言葉だ!」

「だから邪なる神の足に縋って人を捨てる? やはり分からない……」


 そんな背信者にジョンは穏やかに語り掛ける。


 ……心底、本心から、どうしても理解できない様子で。


「手で足りなければ道具を作る。海に出るため船を作る。遠くの獲物を仕留めるために弓を作る。守るために城壁を作る。剣を作る。盾を作る。鎧を作る。街を作る。国を作る。森で、平野で、山で、川で、海で、湿地で、至る所で。数学を生み、文化を生み、芸術を生み、歌を生み、書を生む……」


 堂々と語るジョンの言葉はどんどんと熱を帯びた。


「それを魚の神如きが出来ますか? 虫が、獣如きが? いいや否。断じて否。否! 人は空に行ける!それどころか宙に、天にすら届く! 誇るべきだ! 胸を張るべきだ! 万物の長、霊長の名に相応しいと己を尊ぶべきだ! 貴方たち人は何時か神を凌駕できると!」


 ジョンは……彼らは人の愚かさを、救いようがない者達を、過ちを知っている。

 人の進歩を、発展を、希望を知っている。

 破壊しか齎さない下等なる神に勝る者達であることもだ。


「さて、実はもう少し面倒な裏があると思ってましてね。正直に話していただけると凄く嬉しいです」

「ご、拷問しても無駄だ! 誰が喋るか!」

「そうですか……残念です。蘇生厨」

「分かりました」


 急に声のトーンを戻したジョンが残念そうな表情を浮かべて蘇生厨に命令すると、彼の持つ小銃が乱射され、エンリケの内臓を掻きまわした。

 それらはなんの抵抗もなくエンリケから命を奪い去り、世界を裏切った邪司祭は冥府に堕ちる。

 と思われた。


 霞む意識でエンリケは、自分を手招く漆黒の大渦を見た。

 邪なる神が自分に仕えた者を労わり、丁寧な対応をしてくれる?

 馬鹿な。

 夢想だ。

 巨大な鯨を思わせるような邪神がエンリケの魂を見つけてニヤリと笑い、その大きな口で一飲みに……する前に蘇生された。


「あ、あ、あえ?」

「話してくれる気になりました?」

「え? ひ?」


 唖然としたエンリケにジョンが微笑み、再び蘇生厨の小銃が発射される。

 そして不思議なことに蘇生厨が注射をエンリケに打ち込めば、傷ついたエンリケの体が、気色の悪い速度で修復され元通りになるではないか。


 不滅大隊において多くの兵が持つ標準的な能力、それが蘇生である。

 実質的に死んでいる段階でも元通りの、元気いっぱいな兵士に復活させる権能の如き力は、エンリケにも適応されたが、尋問への活用は基本的には想定されていない。


 更に蘇生厨の厄介なところはTPOを全く考えずに蘇生だけを強行するため、最前線で復活した途端に蜂の巣にされることが頻発する点だ。

 しかもこれが勝利のためなら仕方ないが、蘇生厨はやられた味方の反応を重視しており、阿鼻叫喚を眺める姿が好きなので救いようがない。

 今もまた、死ぬ寸前で蘇生させられる人外の反応をニヤニヤと眺めつつ、とっとと情報を吐けとも思っているので、全く遠慮せずに殺しかけては蘇生するのサイクルを繰り返していた。


「ひぎゃあああああああああああああああ!」


 天国とは程遠い地獄の領域の淵に叩き込まれては蘇生されるエンリケは、究極の尋問を味わい絶叫を上げる。

 あらゆる痛みに耐え、死すらも厭わない矜持はそこにない。

 死の瀬戸際に立つ度に想像を絶する苦痛を味わい、更に餌を取り上げられて怒り狂う邪神に睨まれるのだから、誰だって御免被るだろう。

 あるのはただただ、あんな所に行きたくないという絶望のみ。


「話してくれる気になりました? 目的と繋がってる大物の名前が欲しいです」

「ここここ、この領地の民を生贄にしての昇華だ! つ、繋がってるのはア、ア、アリウス伯爵だ! や、奴は馬鹿だから、侮ってる者を見返してやれと囁いたらすぐ飛びついてきた! ボンボンだから操るのは容易い! 」

「組織の上役なんかはいますか?」

「一方的に連絡が送られてくるだけだ! し、しかし私を利用したらきっと裏をかける! な⁉ な⁉ だから」


 最後の言葉は発砲音にかき消され、複数の銃弾を頭部に受けた邪司祭は死体と化して横たわる。

 これが嘘だとジョンは思わない。嘘ならば頭の中にある地図に、敵を表すどでかい赤点が現れる筈が無かった。

 そして、碌な情報を渡されていない下っ端を利用して、潜んでいる巨悪の裏をかけると思うほどお目出度くもない。


 エンリケ邪司祭が死んだのは幸いだっただろう。

 彼が味わった瘴気よりもなお濃いナニカがジョンの体を覆い、鬼火のようなものまで周囲に浮遊し始めたではないか。


「コマンダーよりBlack Operation発令。キルコマンド部隊、招集」


「アルファ、スタンバイ」

「ブラボー、スタンバイ」

「チャーリー、スタンバイ」

「……デルタ、スタンバイ」


 この場にいなかった筈の兵士二人が影を纏って現れた。


 名と役割、矜持まで捨てたジョン(コマンダー)、ナイファー(アルファ)、角待ち(ブラボー)、蘇生厨(チャーリー)、ステルス(デルタ)のテクスチャが変わる。

 服は真っ黒な戦闘服に……そして眼球は零れ落ち、皮膚も、毛髪も、筋繊維すらも消失する。


 暗闇に浮かび上がる骸骨はまるで、死神の集団だった。


「アリウス伯爵を排除する」

『サーイエッサー』


 非正規作戦、開始。

 髑髏の眼孔に怪しい火が灯った。


 ◆


 闇夜に浮かぶアリウス伯爵の城は上位貴族に相応しい威容を領民に見せつけ、強固な外壁と合わせると難攻不落という言葉が相応しい。


 今日、この日までは。


 現代の科学では説明のできない凶鳥が遥か上空で、その翼を回転させている。

 黒一色に塗装され角張った装甲のステルスヘリが、極限まで抑えられたローター音で闇を切り裂き、アリウス伯爵城の上空に待機する。


 五つの必殺が降下した。


 死神たちは暴力的な風音を聞き流し、闇夜に紛れ、目標地点に向かって落下し続ける。


 塔が近づく。

 城壁が近づく。

 草や地面だって明確に見えた。


 パラシュート展開。


 これ以上は地面に衝突するというギリギリのタイミングで落下速度を調整した死は、僅かに湿った音を場内の庭園に響かせて転がり、すぐさま立て直して戦闘態勢を維持する。


 全包囲を警戒。

 敵影無し。


 隠密が単独で先行。その次に信条を捨てているショットガンと一振りのナイフが続き、指揮官と軍医が最後尾を警戒しながら、城の内部に潜入した。

 城内は燭台以外の光源が存在せず、死の騎行は音も気配も立てずに突き進む。


 即座に計画を修正した。

 頭の地図を頼りに、領主の部屋と思わしき場所へ向かっているのにどうも人の気配がなく、彼らは目的の場所にターゲットがいないと判断した。

 ここで導き出される結論は邪法や邪教が好む地下だ。


 影の移動は速やかに行われ、地下へと続く階段をあっという間に見つけ出して侵入する。

 途端にむせ返るような死臭を感じたが、その程度でどうにかなるような素人ではない。


 再び驚くような静かさで地下を降り、こっそりと扉を開いた。


「誰も! 私の! 俺様の邪魔をさせないいいいいい!」


 五人程の死体を更に解体していた怪物がいた。

 法的な弾劾などの手続きをすっ飛ばして、ウェット・ワークを実行した死の判断は正しかったらしく、エラや鱗など、アリウス伯爵のあちこちに変異の兆候が見られた。


 そして汚れ仕事に躊躇も情けも必要ない。

 チームの確認のために、アイコンタクトや頷きも必要ない。


 いきなり指揮官と軍医が、消音装置付きの小銃をアリウスの頭部と胸部に発射し抹殺を試みる。


「ぐぎいいっ⁉」


 だがこの狂気の伯爵はどうも、邪法への才能だけはあったらしく、小銃弾をもろに受けたのにまだ立っていた。

 背後から隠密が忍び寄り、前からはナイフが近寄っているのには反応出来なかったが。


「っ⁉」


 隠密が振りかぶった手斧が頭蓋に突き刺さり、続いて頸動脈をナイフが通り過ぎたことで、流石にアリウスは立っていられなくなり地面に倒れ伏す。

 即座にショットガンが下に向かって全弾発射された。

 頭部、胸部、股間。人体の急所に打ち込まれた散弾は瞬く間に肉塊を生み出し、アリウスは地下室で最も凄惨な物体と化す。

 更に不思議なことに発射された銃弾は消え失せ、残されたのは手口が分からない程にボロボロの標的だけだ。


「……」


 殺したことを確認した一行は、達成感や言葉を漏らすことなく即座に撤収を開始する。

 魔に堕ちていたとはいえ、非合法に現役の伯爵を強襲して暗殺したのだから、呑気にしていられるはずもない。


 闇に紛れた死神は誰にも見つからず、引き起こされた結果を後にして消え失せた。

 もし一通り確認出来た者がいれば、一種の芸術と評したかもしれない。

普段はワイワイやってる奴らのドシリアスからしか栄養素がある(*'ω'*)

もし面白いと思ってくださったら☆☆☆☆☆☆☆☆で評価していただけると心底嬉しいです!

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