13.ギルド登録と将来の夢
「すっげぇ!! 教会より大っきいぞ!」
スキップでもしそうな勢いでギルドに向かったフィリップは、建物が見えると開口一番に叫んだ。
「フィリップうるさい。あんまりはしゃぐとみっともないぞ」
顔をしかめたカイが耳を防ぐ横を、フィリップが一目散に駆けていき、待ちきれない様子で俺たちをギルドの前で待っていた。
レンガ造りの大きな建物に、俺も興奮しながらフィリップを追いかける。
物語の世界に入り込んだみたいで急にワクワクしてきた。
カイとトム兄ちゃんの到着を待って4人でギルドの扉を開けると、目の前にカウンターが並び、壁際には掲示板のような物がかかっていた。
カウンターの奥から、丸太のように太い腕のスキンヘッドのおじさんが声を掛けてきた。
日本の街ですれ違ったら、避けて通るほど強面の、大柄な男だ。
「よう、トム。 やっと連れてきたか」
「はい。今年も全員が文字と計算をようやく覚えたので連れてきました。よろしくお願いします。
みんな、この人が副ギルド長だ。」
そう言ってトム兄ちゃんは、俺たちを紹介してくれた。
「つっても、今日はもう、お前らに出来そうな仕事は無えから、登録だけな。さて、今年のトムの弟たちの出来はどうだ?」
「優秀ですよ、今年も。全員が6大魔法持ちです。」
嬉しそうにトム兄ちゃんが言う横で俺たちは紙と羽根ペンを渡され、名前を書く様に言われた。
―紙とペンだ! この世界にもあったんだ!!
初めて触れる文明らしい文明にワクワクしながら、覚えたての名前を揃って書く。
使える魔法に丸を、と言われ6大魔法全てに丸を描くと、紙の上部に魔法で『人』と描くように言われた。
「これが契約魔法だ。どんなに魔力が少なくてもできる魔法だから、これも覚えておくんだぞ。」
この世界の印鑑のような役割らしい。
そう言って紙を回収した副ギルド長は、全員の登録を終えた。
「さて、仕事の説明をするぞ。毎朝あそこの掲示板に仕事の募集が貼られるから、その紙を剥がしてカウンターに持って来い。仕事が終わったらまたギルドに報告に来るんだ。」
「トム兄ちゃん、朝ごはん食べてからで間に合う?」
「十分間に合うぞ。毎朝みんな、鶏の鳴く頃に起きて、朝飯食ってから水汲みにいくだろ?
それから出発でちょうどってとこだな。
副ギルド長、基本的に夕暮れまでには帰れるようにお願いします。」
「もちろんだ。あと、雨の日は危ないから無理して来ないようにな。
3人とも、住み込みの見習い奉公も探しておくか?」
「はい!おれ船乗りになって色んな街に行きたい!」
楽しそうに夢を語るフィリップが元気に手を挙げる。
それを見て、副ギルド長はカウンターの向こうから手を伸ばしてフィリップの頭を撫でた。
「カイは?なんか希望あるか?」
「出来ればこの街で働きたい、エルはどうするの?」
4人の視線が一気に俺に集まった。
「お、俺は…… 孤児院に残りたい!
日雇いの仕事しながら、もう少し父ちゃん待ちたい!」
言葉に詰まりながら、トム兄ちゃんを見上げた。
「いいのか?将来的に見習い奉公に出るなら早いほうがいいぞ?」
副ギルド長が心配そうに言うが、俺はそのままトム兄ちゃんを見つめて頷いた。
「そうか……。 じゃあ、エルは孤児院の二人目の兄貴になるのかもな。」
そう言って俺の頭をトム兄ちゃんは、とっても嬉しそうに撫でてくれた。
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次回明日17時頃投稿予定です。
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