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命より大事なものってなんですか?

「今すぐ、荷物をまとめて帰りましょう。帰りのバスは僕が手配しますので。」


俺は、宮崎先生達と施設の会議室にて他の引率の先生たちと施設の運営者たちの前で証拠を下に報告を行っている。


ツキノワグマとはいえ、大型になれば安全とは言えない。それに…俺が夢で見た通りなら、あれはヒグマだ。どうして本州に?とは思ったが、見たものは見たのだ。


「話はわかりました。プロの方の見立てですので、信憑性もあります。ただ、どうして帰る必要があるんです?夜に施設職員が見回りをすれば良いんではないですか?」


「見回り?夜にですか?」


「ええ。」


「ぐまの食料になりたいんですか?」


「はい?」


「今、問題視しているのは、熊が出たという事実ではありません。熊の大きさから熊の凶暴性を問題視しているんです。このサイズの熊なら他の動物を食べているのは確実です。そんな熊にとって人間も立派な獲物です。そんな熊が出没して捕る場所で、夜に見回りなどしていたら、自分から食料に立候補するようなものです。」


「…」


「施設職員の皆さんにも皆さんなりのご事情があるかと思いますが、私はイノチより大事なものはないと思いますので、帰らせて頂きます。」


「帰るって車はどうするんです?」


「近く帰るための車両を準備してもらっています。このあと、友人たちにも声をかけて、帰る意思のあるやつは連れて帰ります。」


「それは困ります!世間に知られたら、どうするつもりなんですか?」


「なんですか?脅しているんですか?因みにこの会議は録音しているので。」


「こんなことが知られれば、ここはおしまいだ。」


「それはあなたがたの監督不行届きが原因でしょう?もっと野生動物を危険視していなかったことが原因では?とにかく、私は安全第一ですので、ここで失礼します。皆さんも命が惜しいならすぐに帰ることをおすすめしますよ。それでは。」 


俺は、煮えきらない彼らを置いてその場をあとにする。猟友会の方々といっしょに俺は荷物を取りにコテージに戻った。


その際、たまたま真理と幼馴染2名に出くわした。


「どうしたの?」


「悪いな。俺、帰るから。」


俺は言葉少なく、コテージに入ると荷物を持って出てきた。


「待って。何かあったの?」


「後で先生から話があると思うけど、大型の熊がこの施設の敷地内にいることがわかった。俺は怖いから、帰ることにしたよ。先生たちには伝えたし、宮崎先生の許可ももらった。」


「え…」


「もし、帰る気があるなら乗せてってあげるよ。」


「帰れるの?」


「ひとまず今日は、富士市内のホテルに宿泊して、ここの状況明日確認してから、帰るつもりだよ。一緒に来るなら、ホテル代金も払ってあげるよ。」


「「「帰る!」」」


「ほぇ?」


「こんな山の中のコテージに宿泊するより、ホテルのほうが快適だし、飯盒炊爨めんどくさいし。」


「まぁ…いいよ。じゃあ、荷物持ってきて。」


「「「わかった!」」」


「大貴…。飯盒炊爨、今度からやめようかな。」


「単純に場所だと思いますけどね。」


俺は3名を連れて駐車場に向かった。


村上さんいわく、自衛隊の車両が待機しているといっていたが…。


「大貴さまですね?村上警視監からご依頼頂いております。こちらへどうぞ。」


そこにまっていたのは、バッチリリムジン。


「俺は、猟友会の方々と残るよ。流石に他の生徒を置いて帰れないしな。」


「我々は、他のメンバーを集めます。」


「わかりました。気をつけてください。こちらも村上さんに連絡して、対応頂けるように伝えておきます。」


そして…俺たちはそのまま富士市内のホテルへ向かった。リムジンに乗った女子たちはウキウキとした面持ちでおしゃべりしていた。


もし、俺の夢が現実に起きるのなら…今夜この施設は殺戮の舞台となる。

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