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6人の生きた証〜1つの物語を6人の視点から〜  作者: 林々
第1章〜ヤナギの日記〜

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1-8 野営(本番)

 影が少しづつ伸びてきたあたりで、サイラさんが声を上げた。


 「そろそろ火の準備をしましょう。集まってください。」


 まずは火起こしらしい。やったこと無いから楽しみだわ。


 「枯れ木はオオカミ達に集めてもらいました。なるべく乾燥している物を選んでください。集めたら刃物か何かで枯れ木を、こんなふうに少し削ってください。ヤナギさん、火打ち石は持っていますか?」


 サイラさんが実際に木を削りながら説明してくれる。


 「火打ち石なら持っています。――これでいいですか?」


 キサールを出発する前に買ってきたものの中に火打ち石は入っている。他にもナイフや丈夫そうな紐などなど、必要だと思ったものは買ってある。


 「ええ、十分です。それでさっき削った木に火をつけます。」


 削った木に火がついたら、それを組まれた枯れ木に入れた。 

 ゆっくりと火が枯れ木に燃え移る。


 「これで、火起こしは終了です。次は―――」


 その後は、場所選びとか、枯れ木を足す間隔とか、野営に必要なことを一通り、時々実践を交えながら教えてもらったわ。


 そして今は、夕飯の準備中よ。材料はオオカミが採ってきてくれた兎と山菜。…オオカミすごいわね。私も頑張れば手懐けられないかな?……無理だろうな〜。やってみないと分からない、とは言うけど野生のオオカミとか怖いし。なんなら犬も怖いし。

 山菜の見分け方については一応メモをもらったから自力で頑張るしかないわね。―――いや、違うわね。街で買って凍らせちゃえばいいんだ。今後はそうしましょう。キサールで買わなかったのは失敗ね。


 「ヤナギちゃんは料理とかできるの?」


 ソピエロで何を買うか迷っていると、メッテミが声をかけてきた。


 「私はほとんどできないよ。そのかわりってわけじゃないけど、ミナは上手ね。」


 「腕の良い料理人の方に教えていただいたことがありますので。」


 「へぇー、そうなんだ。」


 ミナに料理を教えたのは、家のお手伝いさんである、ミシャルさんよ。

 詳しい年齢は分からないけど、父よりも年上らしいわ。

 料理はミナとメッテミ、それからニレンさんが中心になって作った。ちなみに私は山菜を洗ったり、お皿用意したりしてたわね。

 料理の準備が整う頃には、周りがすっかり暗くなっていたわ。

 

 「今日は兎肉と山菜で、スープを作ったわ。ミナラちゃんの手際が良くってびっくりしちゃったよ。」


 その後は皆で焚き火を囲んで食事になった。


 「ねぇねぇ、ヤナギ達は目標とか夢とかってあるの?やっぱり自分の店を持ちたい!とか?それとも世界一周!とか?ちなみに私達はね、世界中を回ってみたいと思っているのよ!それでもし『七色』とか能力とか手に入れられたら最高よね、って話してるの!夢があるでしょ?いつかは村に帰ろうと思ってるんだけどねっ―――」


 「イトロンちゃん、相手に質問したいなら話をやめなきゃだめだよ。しゃべれないじゃん。ね?ヤナギちゃん。」


 「あっ、そうね。ありがとう。えっと、ごめん。何の話だっけ?」


 ――能力を手に入れる、か。そうなんだよね。能力って人から奪えちゃうらしいんだよね。私の場合は生まれたときからだけど。怖いなぁ〜。こう、自分の個性を取られる、みたいですごく嫌よね。


 「私達も世界中を回ってみたいと考えています。将来的には自分達のお店を持つのが目標ですね。」


 あっ、ミナが答えてくれた。助かるなぁ。


 他にも何か話してたとは思うんだけど、気がついたら朝日が昇っていた。


 やっぱり、バレちゃだめだなぁ〜、能力のこと。隠し通さなくっちゃ。


 ――他人に知られたら、周りの人にも迷惑をかけると、肝に銘じておきなさい。――


 分かってるよ、お母さん。

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