1-6 仕入れっ♪仕入れっ♪
剣をしまったサイラさんとニレンさんが戻ってくる。
「ニレン、今回の竜の種類はぁ、分かったかぁ?」
「ああ、多分だけど、コレミンソリュウだ。肉と腸以外は素材として価値がある。肉は食えたもんじゃないから、適当に埋めとこう。」
ニレンさんは魔獣に詳しいのかな?
ちなみに魔獣っていうのは、魔具と似たような歴史を持っているわ。過去の『基本系能力−万物強化』保持者が戦時中に生み出したって言われている。昔は戦争が多かったそうよ。
万物創造の保持者が生み出したって説もあるけど、今は万物強化説のほうが有力よ。
ニレンさんの言葉の後、サイラさん達は解体を始めた。まだ近くにいたイトロンさんに私は声をかけた。
「イトロンさん、助けていただきありがとうございました。」
「いいわよ。気にしないで。まあ、私は何もしてないんだけどね。怪我はなさそうね?ちょっとショッキングだったかしら?大丈夫?なんかあったら言ってちょうだいね。言った通り皆強かったでしょ?かっこいいわよね〜。コレミンソリュウって食べられないけど、お金にはなるのよね〜。よく居るのはキフェンスの方だと思うんだけど、イラキタに居るなんて珍しいわね。私は前に1回だけ―――」
少しずつイトロンさんの早口にも慣れてきた気がする。なんなら安心感すら覚えてきたわ。
イトロンさんの話に相槌を打っている間に解体はほとんど終わっていた。今は持っていかない部分を埋めている最中よ。
「ふう、5匹分だとなかなか量があるな。」
解体された素材の近くにいたサイラさんに話しかける。
「すみません、サイラさん。」
「どうかしましたか?ヤナギさん?」
「素材、かなりの量ありますよね?もしよかったら、私たちにいくらか買い取らせていただけませんか?」
「え、いいんですか?僕らとしてはすごくありがたい話ですけど…」
「もちろんです。私たちは温度調整の魔具を持っていますから、なるべく鮮度の良いものを仕入れたいんですよ。鮮度の良いものを鮮度の良いまま運ぶ。これが私たちの目指す商売ですから。」
「なるほど、確かにコレミンソリュウの皮は加工しないとすぐに傷んでしまいますからね。鮮度のいい皮は需要があるかもしれません。」
「では交渉する前に素材を冷やしてしまってもよろしいでしょうか?買い取らない分もギリギリまで冷やしておいたほうがいいと思いますし。」
「分かりました。そうさせてもらいます。それじゃあ、ヤナギさんの馬車の方に素材を運んで置きますね。」
話し終わってから、一足先に馬車に戻ることにした。
「やったわね、ヤナギ。いい素材が手に入りそうじゃない。」
「そうね、ミナ。商人としてなかなかいい滑り出しじゃない?」
「初日に竜に襲われることをいい滑り出しとは言わないわよ。」
「それとこれは別よ、別。」




