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6人の生きた証〜1つの物語を6人の視点から〜  作者: 林々
第1章〜ヤナギの日記〜

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1-2 優しい冒険者

 こっぴどく、叱られた。それはもう、鬼か何かと見間違うくらい、怖かった。

 次からはバレないようにやろう。はい。反省終了。


 それじゃあ、あとで語ると言っていた冒険者さんのお話をしましょうか。



 ――ヤナギとミナラが馬車に乗る少し前まで時間はさかのぼる――



 「さて、どなたに声をかけましょうか?」


 「そうですね…東門から出るなら行き先はほとんど同じでしょうから…あのチームはどうでしょうか?男性が多いですが、上手く交渉すれば護衛もしてくださるかもしれません。もちろん私もある程度は守れますが、慣れているもののほうが安心でしょう。」


 ちなみにミナは剣を腰につけている。そこまで長くなく、比較的細いものだ。

 私はミナが剣を振る場面を見たことがないが、本人は強くないと言っている。父から習っていたらしい。


 「うーん。悪くはないと思うけど、ちょっと怖そうな人が多そうじゃない?男性が多いとかじゃなくて、男性しかいないわよ?」


 「でしたら、あちらのチームにしますか?男女どちらもいますし、道具も使い慣れているものが多そうですし。おそらく旅に慣れているのではないでしょうか?比較的年齢も近いですよ。」


 「あ、いいわね。行ってみましょう。」


 近づいてみると、確かに。年の近そうな男女5人組だった。そこそこ距離があったのだけど、ミナはよく見えたわね。


 「こんにちは、カッコいいお兄さん方と綺麗なお姉さん方。冒険者かしら?私はヤナギで後ろにいるのがミナラよ。少しお話いいかしら?」


 この国―イラキタと言うのだが―のマナーというか、伝統というか、何と表現するのが正解かはわからないが、初めて会う人のことはまず褒めるのが一般的だ。褒めずに話にはいると、教養が無いと思われる。


 イラキタは発展している国だから学校がある。行くのは自由だが行く人が圧倒的に多い。学校では一般常識や年が上がると専門知識も教えてくれるらしい。私は一般常識まで教わった。10歳で学校はやめている。ミナも一緒よ。

 余談だけど学校は各都市に2から3個ある。けどここ第一都市キサールには8つも存在している。まぁ、私がキサールに来たのは学校やめたあとだから、キサールの学校には詳しくないのだけど。



 「こんにちは、綺麗な薄緑色の髪を持ったお嬢さんと後ろの美しい銀髪のお姉さん。何か用事ですか?」


 黒に近い茶色の髪と目をした男性が対応してくれた。ミナのものより一回り大きい剣を持っている。


 「私たち、隣町の第六都市ソピエロに行きたいのだけど、初めての旅で少し不安なの。もし行く方角が同じなら、ご一緒させてくださらない?」


 男性は少し考える素振りをしてから、


 「かまいませんが、近くまでですね。方角は同じですが、僕らはソピエロまでは行きませんので。

 お前らもいいよな?一緒に行って。」


 チームメイトからも反対意見はなさそうだ。1人何か言いたそうにしているけど、隣の女性に口をふさがれている。…まぁ、気にしたら負けね。


 「ありがとうございます。私たちの馬車は向こうですので、取って来ますね。あっ、その前にお名前を聞いてもよろしいですか?」


 「ああ、そうでしたね。僕たちは同じ村の出身で、まだまだ駆け出しですが冒険者やってます。僕はサイラ。一応リーダーやらせてもらってます。

 じゃあ、こっちから順番に。」


 サイラさんの次は背の高い女性だ。美しい金髪を長めに伸ばしている。武器らしいものは持っていないが、大きめの茶色いカバンを背負っている。


 「こんにちは。私はイトロンよ。2人とも可愛らしいわね!よろしくね。ねぇ、好きなお菓子ある?私はね、クミクミが好き!いいわよね〜クミクミ。昔母が作ってくれたのが―――」


 「よし、次は俺だなぁ。」


 イトロンさんの話は途中で遮られた。クミクミが何かはわからないけど、背の高い女性に早口でまくし立てられるとなかなか威圧感があったから助かったわ。私の背が低いこともあって、余計に圧を感じたわね。クミクミが何かはわからないけど。地方の料理かしら?旅の途中で見つけられたらいいわね。

 クミクミ…じゃなくてイトロンさんの次はさっき口をふさがれていた人だ。この人は黒の短髪だ。


 「イトロンは時間やると永遠に喋り続けるからなぁ。適当なところでぶった切るんが正解何だよぉ。俺はモイズだぁ、おチビちゃん。」


 「モイズちゃん、いつにもまして口が悪いね。あっ、私はメッテミよ。2人ともかわいいね?うらやましい。」


 柄の悪いモイズさんの次はメッテミさんと言うらしい。モイズさんは短刀かな?短い刃物を2本、左右それぞれの太ももに着けている。

 メッテミと名乗った女性は私と同じくらいの身長だ。桃色の髪を短く切っている。弓のようなものを背負っているけど、使えるのかな?ちなみに、モイズさんの口をさっきふさいでいたのが彼女だ。


 「最後は俺だね。ニレンだ。よろしく、可愛らしいお嬢さん方。」


 最後はニレンさんというらしい。濃い赤色の髪の毛を後ろで結んでいる。サイラと似たような剣を持っているけど、村のやつかな?


 「皆さんよろしくお願いします。それじゃあ、私たちは一旦、馬車を取ってきますね。」


 「分かりました。このあたりにいますので、準備ができたら声をかけてください。」


 クセのつよい人もいたけど、いい人達そうでよかった。何かお礼を考えて置かなくきゃ。今何かいいもの持ってたかな?馬車で探してみよ〜っと。

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