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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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私の気持ち


夕食、入浴を済ませて部屋へ戻ると母が机で何かをしていた。

「何をしているの」

切った紙に数字を書いている。

「大奥様のリハビリに使ってもらおうと思ってトランプを作っていたのよ」

「それは良いと思う。子供達も欲しがるわよ」

「そうね。作っちゃおうかしら」

母は楽しそうに作業し始めた。


「お母さん、ここでの生活はどう?」

「どうしたの急に。何かあったの?」

母はトランプを作りながら答える。

「もう日本には帰れないかなぁ」

私が言うと、母が椅子から立ってベッドに座わりぱんぱんと隣を叩く。そこに座って二人で話を続けた。


「帰りたい?」

「わからない」

母に聞かれても曖昧な返事しか出来ない。

「何かあったの」

心配させているよね。

「タクトさんがグレスク町へ行く事になって…それで一緒に来て欲しいって…妻として…」

顔が赤くなって来る。

「そうなのね」

「驚かないの」

「わかっていたから」

「えっ……もしかしたら夢を見たの?」

「そうよ」

「えぇぇ。教えてよ」

母がタクトさんとのことを夢見していたのなら私がどうしたらいいかわかる。


「駄目よ」

「なんで。私はどうしたらいいの?夢見したんでしょう」

母が私と目を合わせた。

「夢見は未来視だけれどね、必ず起こるわけではないのは知っているわよね」

「うん。今回の流星群の時も夢見では魔物が町に入り込んだけれどお母さんの言葉を信じた伯爵達のおかげで町に被害がなかった」


「そうよ。バーナルの事を覚えている?」

「えっと。あっ。お母さんが怪我をするから今日の訓練はやめたほうがいいと言ったのに、バーナルったら訓練は休めないって言って訓練に行って夢見通り怪我をしたことがあったわ」

その時の事を思い出しながら話す。


「夢見は起こり得ることはわかるけれどその人の行動次第で必ずではないの。だから、自分で決めないといけないわ」

「お母さん」

「私は日本には帰れないと思っているのよ」

驚いて母を見ると寂しそうだ。

「そう」

そうかなぁとは思っていたけれどショックは大きい。


母が私の頭を撫でる。

「ねぇお母さん、タクトさんとの事どう思う?」

「沙彩はタクトさんの事をどう思っているの」

「好きか嫌いかというと好きだと思う。でも結婚してたいと思うかっていうとわからない」


「そうかぁ。日本ではまだ高校生だからね。この世界では適齢期なんだけれどね」

そう。私の中で17歳で結婚する事に納得出来ないのも悩む理由だと思う。


「沙彩、結婚に悩む人に言う言葉はね、もし相手が自分以外の人と結婚生活をする。と考えた時にどう思うか、ということ」

「えっ」

「考えてみてね。さあ寝ましょう」

母は自分のベッドへ入ってしまった。


母の言った事を考えてみる。

タクトさんは22歳。母が言った通りこの世界では適齢期で平民になるとはいえ伯爵家の次男で次の町長。性格も優しいし今回の魔物討伐で剣だけでなく指揮も出来ると証明した。すごく優良物件だよね。


私が断るとすぐに誰かと結婚するのかな。あれ、そういえば大奥様に婚約者の話を聞いたよね。確か、貴族ならば幼い時から婚約者を考えるけれどタクトさんは平民になるから本人に任せてあるとか。次男だから他の貴族家から婿入りの話があったけれどタクトさんが断っていた。だったかな。


今まで断っていたのに私をと考えてくれたのかぁ。へへへ ちょっと嬉しい。



タクトさんが他の人と結婚すると今までみたいな態度は駄目だよね。奥さんに疑われるのはなぁ。

でも、タクトさんはグレスク町へ行くのだから滅多に会えなくなるんだ。私が伯爵邸で仕事をしてて、タクトさんが時々伯爵邸に来た時にしか会えない。いやいや必ず会えるとは限らないから1年に一度とかになるかもしれない。


それで

タクトさんは奥さんや子供も連れて来るよね。伯爵や奥様の孫なんだから。


あぁ、嫌かも。嫌だなぁ。


タクトさんが他の人に笑いかけて家族になっていくのは物凄く嫌。


「そうか」

私はタクトさんが好きなんだ。とっても。

という事は『両思い』だ。

「きゃあ」


いろいろ考えていたけれどいつの間にか寝ていたみたい。





###母 洋子


「考えてみてね。さあ寝ましょう」

お互いベッドに入った。

沙彩がベッドで眠れないようでごそごそしている。プロポーズされたのだから眠れないわよね。

私からみると沙彩もタクトさんが好きなんだと思うけれど自分ではまだ気がついていない。


ごそごそしている。沙彩の事だから妄想が広がって凄い事になっていそう。


タクトさんが他の人と結婚したらどう思うか気がつくといいけれど。


タクトさんが好きだと気がついたらグレスク町へ行ってしまうから気がついて欲しくないという気持ちも少しある。

いつかはお嫁に行くって思っていたけれども17歳は早いと思う。でも、それ以上に沙彩が辛い思いをする事になるのはやめてほしい。


ここで子離れしないといけないんだろう。





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