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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第4章:時を超えた結婚式

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第一話 エリザベス・マッカーサーの回顧録

いよいよ第四章のスタートです。

 回顧録(かいころく)を書こうと決めたものの、正直なところ、どこから書き始めればいいのか迷っています。人生の物語を最初から順に綴ることも考えましたが、ネットで「回顧録は自伝のように書き始めてはいけない」というような記述を目にしたのを思い出したからです。もちろん、ローランに意見を求めたところ、彼は「そんなことは無視して、好きなように書けばいい」と言ってくれましたが。


 ともあれ、まずは自己紹介から始めましょう。私の名前はエリザベス・アビゲイル・マッカーサー。スコットランドのエディンバラで、ごく平凡な両親のもとに生まれました。幼少期も当初はごくありふれたもので、家族と過ごし、学校に通い、休暇に出かけるといった、ごく普通の生活を送っていました。祖父母はいませんでした。両親がいわゆる「カウンターカルチャー(対抗文化)」的な思想にかぶれていたせいで、祖父母とは疎遠になっていたからです。私は祖父母の誰一人として会ったことがありません。


 話は戻りますが、私が「平凡な子供」とは程遠い存在だと気づいたのは、怪我をしたスズメを治癒させた時のことでした。後になって分かったことですが、私は非超力者(ひサイリック)の両親から生まれた、稀有な上級職超力者(ハイレベルサイリック)だったのです。通常、上級職超力者(ハイレベルサイリック)が自身の資質に気づくのは、思春期を迎える頃に初めて「サイリック・シールド」を発現させた時です。しかし「エレメンティアン」の場合、私のように、それよりずっと早い段階で何らかの形で固有の能力を発現させることは珍しくありません。いずれにせよ、触れるだけで誰かを治癒できてしまうという事実に私は恐怖を覚え、その能力があることを両親や周囲の人々には隠していました。しかし、その出来事をきっかけに私は医学に魅了され、やがて医学に関連するあらゆる事柄を学び始めることになったのです。


 どれほど熱心に医学を学んだかと言えば、12歳になる前にエディンバラ大学で医学の学位を取得し、実験外科の博士号取得も目前に迫っていたほどでした。


 当然のことながら、両親は私の成功を最大限に利用し、上流社会での豪奢な生活を謳歌し始めました。彼らの掲げていた「カウンターカルチャー」への信条など、所詮は私の経済的成功までの話だったのでしょう。彼らは私を足掛かりに上流社会へと入り込み、連日のようにパーティー三昧の日々を送るようになりました。私としては、ただ静かに暮らしながら医学研究を続け、あわよくば自分の能力や力を使って一人でも多くの命を救いたいと願っていただけなのに。


 そんなある日のこと、私は家族の車――あえて言えば、とてつもなく高価な車でした――の後部座席に座っていました。あるパーティーからの帰り道のこと。運転席の父と助手席の母は、何がおかしいのか些細なことでも大笑いしており、どう見ても正常な精神状態ではなかった。私は持参していた医学書に没頭していて彼らの様子を詳しく見ていたわけではないですが、アルコールか、あるいは何らかの薬物が絡んでいたのではないかと疑っています。そして、その結果として大事故が起きました。


 私は上級職超力者(ハイレベルサイリック)でしたが、両親はそうではなかった。私は無傷で生き残り、彼らは死んだ。ただそれだけのことです。


 あ、失礼します。泣いていることに気づきませんでした。両親の生き方には賛同できませんでしたが、それでもやはり、今も生きて一緒にいてくれたらとは思います。


 ともあれ、そのせいで私は人生の難局に立たされました。身寄りのない孤児になってしまったのです。両親が亡くなった当時、私は13歳でした。医学の学位は持っていましたが、スコットランドの児童労働法により、少なくとも法的には、まだ外科医として働くことはできませんでした。それでも、私にはある「強み」がありました。建前上は嫌っていましたが、その利点を最大限に活かす方法は心得ていたのです。それは、人より早く思春期を迎えていたことでした。


 そこで私は16歳と偽り、地元の病院で「ジュニア・アシスタント(若手助手)」として働き始めました。表向きは単なる助手でしたが、実際にはすでに手術も執刀していましたし、機会があれば密かに自分の「治癒の力」を使っていました。とはいえ、年齢が露見するのを恐れて周囲とは距離を置いていたため、誰とも本当の意味で打ち解けることはできませんでした。やがて、周囲の人々、とりわけ女性の医師や看護師たちから嫉妬されているように感じるようになりました。


 今振り返ってみると、なぜあの米国のテレビドキュメンタリー番組『世界の天才児たち』への出演を引き受けたのか、自分でもよく分かりません。もしかすると、当時の私は精神的に不安定だったのかもしれませんし、あるいは無意識のうちに助けを求めていたのかもしれません。というのも、14歳になる頃には、それまでの生活の重圧が私にのしかかってきていたからです。頼れる人は誰もおらず、私は完全に孤立していました。周囲に絶えず嘘をつき、本当の年齢がバレたらどうなるかという恐怖に怯えながら生きていたのです。ともあれ、私はその番組に出演することになり、その結果、私の人生は全く予想もしなかった方向へと変わることになりました。


 まず、そのドキュメンタリーによって私の本当の年齢が露呈してしまいました。それは私の不注意でした。米国の制作会社がスコットランドの児童労働法について認識していない可能性など思いもよらず、年齢を偽っているという事実を強く主張していなかったのです。しかし、年齢がバレたことにパニックになっていたちょうどその頃、私はローランとアンドリュー・エカルドという米国の双子の少年に出会いました。彼らを通じて私は「超力者(サイリック)」の存在を知り、なぜ自分が触れるだけで人を癒やせるのか、その答えをようやく得ることができたのです。ローランとアンドリューは、私の医療の力で誰かを癒やせるかどうか、そして私が彼らの「騎士団」に加わることに興味があるかどうかを確かめるために、私に会いに来てくれたのでした。正直なところ、もし彼らに地元の獣医になるよう頼まれていたとしても、私は彼らについていったでしょう。それほどまでに、ようやく差し伸べられた救いの手に感謝していたのです。こうして私は荷物をまとめ、病院に辞表を提出し、ローランとアンドリューと共に米国へと渡りました。そうして私は、「エンデクライオン騎士団」の治癒騎士(ヒーラーナイト)となったのです。


 あ、プレッツェルスティックがなくなっちゃった。ちょっと追加してくるね。


 よし、持ってきた。さて、どこまで話したっけ?


 生まれて初めて、私は自分の居場所を見つけました。年齢や癒やしの力を隠す必要はなく、何よりも大切な友人たちにも恵まれました。治癒騎士(ヒーラーナイト)として最初に担当した患者はアンヌリーゼ・ウィーバーでしたが、彼女の回復とリハビリを支える中で、私たちは親友と呼べる仲になりました。当然、彼女の恋人であるトビー・ハートウェルとも親しくなりました。彼らから「カオス・ジェネレーションズ」との過去の話を聞かされたとき、正直なところ自分の悩みなど些細なものに思えましたが、彼らは「そんなふうに考えるべきじゃない」と諭してくれました。そしてしばらくして、アンヌリーゼとトビーがついに結婚した際には、光栄なことに私が花嫁の付き添い人(メイド・オブ・オナー)を務めさせていただきました。


 もちろん、ローランとアンドリューの存在も欠かせません。不思議なことに、彼らは単なる友人という枠には収まらない存在に感じられます。どちらかと言えば、私にとっては「代わりの保護者」のような人たちなのです。孤独で、途方に暮れていた孤児だった私に、新しい人生への道筋を示してくれたのは彼らでした。私はエカルド家にも頻繁に出入りするようになりました。ローランとアンドリューの両親であるエドワードとヘレンはいつも温かく迎えてくれ、私はまるでエカルド家の一員であるかのように感じていました。生まれて初めてと言っていいほど、私は心から幸せでした。


 しかし、そんな幸せな時間にも終わりが訪れました。……ある意味では、ですが。少し説明させてください。ローランとアンドリューには一度も話したことがありませんが、それは私がエカルド家を訪れ、二人が学校から帰ってくるのを待っていたある日のことでした。キッチンで待っていると、玄関から二人が入ってくる気配がしました。挨拶しようとキッチンから顔を覗かせた私の目に飛び込んできたのは、二人だけではない光景でした。彼らは友人たちを連れていたのです。後にリアンナ、カイル、サーラという名前だと知ることになる、あの友人たちです。


 あまりの居心地の悪さに、私は彼らに気づかれることなく、そっとキッチンへと引き返してしまいました。ヘレンは、彼らの輪に入って自己紹介をするよう私を励まし、きっと温かく迎え入れてくれるはずだと言ってくれました。でも、どうしてもその勇気が出なかったのです。ローランやアンドリューに「騎士団」以外の生活があることは知っていましたが、実際に彼らが友人たちと過ごす姿を目の当たりにすると、彼らの人生には私が関わっていない部分があるという現実を突きつけられたような気分になりました。確かにヘレンの言う通り、勇気を出して自己紹介さえしていれば、その輪に迎え入れてもらえたでしょう。しかし悲しいかな、エディンバラで暮らしていた頃の自信のなさが顔を出し、私は彼らに存在を知られることもなく、エカルド家を後にしたのです。それから約1年間、私はエカルド家を訪れることはありませんでした。やがてカイルとサーラ、そしてリアンナが騎士団に加わり、私たちは皆友人となって、私は再びエカルド家の常連客となるのですが……それは少し先の話です。要するに、あの時は自信のなさに負けてしまい、ひどく落ち込んでいたということなのです。


 そして、そこで登場するのがマックスウェル・ローズです。


 失礼、今、思わず吐き気を催してしまいました。


 さて、物語における彼の役割について説明しなければなりませんね。これは避けては通れない話です。


 当時、私は自分に自信が持てず、ひどく落ち込んでいました。トビーはアンヌリーゼのリハビリを支えることに多くの時間を費やしており、当然ながら、二人はそのために長い時間を共に過ごしていました。それに、ローランやアンドリューとも少し距離を感じていた時期でもありました。そんな折に現れたのが、当時「騎士団副団長」の地位にあったマックスウェル・ローズです。長身で屈強、ハンサムで洗練された物腰の彼は、騎士団の女性騎士たちのほとんどが憧れを抱く存在でした。そんな影響力と名声を持つ男性が、私に目を留めてくれたのです。孤独な十六歳の少女だった私にとって、それはとてつもなく大きな出来事でした。もちろん、今振り返れば、当時私が十六歳だったという事実は「危険信号(レッドフラッグ)」とでも言うべきものでした。ですが、若くて愚かで、少しばかり反抗心もあった私は、彼の誘惑に負けて交際を始めたのです。


 今思えば、その出来事が起きたタイミングは少々怪しいものでした。当時の騎士団長オーガスト・マーベリックがまもなく引退すると発表しており、次期騎士団長の有力候補はマックス……そしてローランの二人だったのです。さらに私自身も、空席となっていた医療部隊長の最有力候補でした。マックスが口に出したわけではありませんが、そこにはある種の「取引」があったのかもしれません。彼が私を次期医療部隊長に推し、その見返りとして私が彼を次期騎士団長に推す、というような。ところが、いざ私が医療部隊長に就任してみると、最初にとった行動は……ローランを次期騎士団長に推すことでした。マックスと付き合ってはいましたが、ローランとアンドリューは、私にとって依然として「親代わり」であり、命の恩人でもあったのですから。


 マックスの態度が変わり始めたのは、それからのことでした。彼は次第に強引になり、要求もエスカレートしていきました。やがて、彼が事実上、私に関係を持つことを迫っているのは明らかでしたが、私はそれを拒絶しました。私は彼に対し、その気はないと強くほのめかしていましたが、彼は私と関係を持ちたいという欲望を、もはや隠そうともしなくなっていったのです。やがて私は、少し恐怖を覚えるようになりました。そこで、彼と別れることにしたのです。もう終わりだと、はっきりと告げました。……それで一件落着、そう思っていたのですが。


 よし、エリザベス、深呼吸して。大丈夫、あなたならできる。できるわ。


 今でも悪夢の中でその光景を見てしまう。


 あれはマックスと別れた翌日の夜のことだった。当時、私は医療部隊の責任者になったばかりで、仕事に慣れようと残業して医療棟で報告書を作成していた。すると、いつの間にかマックスが背後に立っていたの。彼が復縁を迫りに来たのだと思い込み、私の中の「気性の荒いスコットランド女」の部分が顔を出した。私は彼を指さし、「もう終わりよ、よりを戻すつもりはないわ」と怒鳴りつけた。でも、私が叫んでも彼は何も言わず、ただ奇妙な表情で私を見つめていた。しばらくして恐怖を感じた私は、逃げ出そうとした。


 彼は私の腰を掴むと、暴れて叫ぶ私を抱え上げ、医療センターのベッドの一つへと連れて行こうとした。「何をするの?」と問い詰める私に、彼は「貸しがあるだろ!」と言い放ち、私の服に手をかけて――


 そこへローランとアンドリューが現れ、ローズを徹底的に叩きのめしてくれた。


 信じられなかった。ローランやアンドリューからすれば、私が彼らと距離を置いていることになど気づいていなかったかもしれない。でも私から見れば、彼らとは疎遠になりつつあったし、反抗的な態度さえとっていた。それなのに、彼らは私を助けに来てくれたのだ。私がローズと密かに付き合っていたことは知らなかったけれど、彼らはローズの私に対する振る舞いを不審に思い、彼が医療棟に入るのを見て後を追ってきたのだった。彼らはまたしても私を救ってくれた――私の「代理の保護者」、救い主、そしてヒーローとして。


 その後の記憶は、少し曖昧になっている。覚えているのは、感情が溢れ出して泣きじゃくりながら、何度も「ごめんなさい、本当にごめんなさい」と繰り返して、彼ら兄弟にしがみついていたことです。私はあんなに反抗的な娘だったのに、それでも「守護者」である彼らは助けに来てくれた。だからこそ、自分がどれほど申し訳なく思っているかを、どうしても彼らに伝えたかったのです。


 ああ、そうだった。これは回想録として書くはずだったんだわね。結局は自伝のようなものになってしまったけれど。まあ、とりあえず結びの言葉くらいは書いておきましょうか。というわけで、これで締めくくります。


 これが、「エンデクライオン騎士団」医療部隊長としてのドクター・エリザベス・マッカーサーによる、最後の記録となります。


 なぜかって? それは、もうすぐ結婚するからです。

読んでくださってありがとうございます。もう一度言いますが、これからの最新は月・水・金の午前八時になりますからご注意ください。

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