第二話 女子会
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「カオス・ジェネレーションズ」による大規模な活動が途絶えてから、すでに2年の月日が流れていた。時折、小規模な小競り合いこそあったものの、彼らが最後に大掛かりな作戦を敢行したのは、「三振りの剣」を奪おうとした時が最後だったと言える。諜報報告によれば、その理由は闇の預言者アルカンタラが「筆頭弟子」という地位を廃止したことにあった。それにより、多くの構成員にとって犯罪やテロ活動に手を染める動機が失われてしまったのだ。
とはいえ、「エンデクライオン騎士団」の内部が平穏無事だったわけではない。まず、ローラン、アンドリュー、リアンナ、カイル、メレディスの5人が高校を卒業した。ローラン、アンドリュー、リアンナは大学生となり、カイルは実家の道場を本格的に継ぐことになった。一方、メレディスは看護学校に進んでいた。卒業式後まもなく、トビーとアンヌリーゼが結婚式を挙げ、ローランが新郎付添人、エリザベスが新婦付添人を務めた。こうして時は流れ、騎士団の面々は生活の中に生じる些細な変化に適応しながら日々を過ごしていた。
そうした変化の只中にあっても、変わらずあり続けたのがエリザベスだった。彼女はエンデクライオン騎士団の医療部隊長としての務めに人生のすべてを捧げており、過去2年間、その職務こそが彼女の生活の大部分を占めていたのである。実際、彼女の人生が停滞してしまっているのではないかと、友人たちが懸念を抱き始めるほどの状況になりつつあった。
アンヌリーゼが「女子会」を企画したのは、まさにそのためだった。彼女とリアンナ、メレディス、そしてサーラは、エリザベスを医務室から連れ出し、パインシャックル・フォレストにあるキャンプ場の、人里離れたキャビンへと連れ出すことに成功したのだ。表向きの理由は、ただゲームをしたり、お互いの髪をいじり合ったりして過ごすことだった。だが密かに、彼女たちはエリザベスの今の心境を探り、ほんの少しでも彼女が「生きる」助けとなるような何かを見つけ出したいと願っていたのである。
今、彼女たちは外のバーベキュー・エリアで夕食の準備をしていた。もっとも、全員がそうしていたわけではない。リアンナはキャビンのメインルームでふてくされていた。彼女は料理の腕があまりにひどいため、バーベキュー・エリアへの立ち入りを禁止されていたのだ。
「先週、カイルとスノーボード旅行に行ったの」と、メレディスは野菜を刻みながら言った。「もう4月の初めだから、雪が溶ける前に最後にもう一度滑っておきたいって彼が言っててね」
「へえ、お兄ちゃんとのスノーボード旅行に二人きりで行くのは、これが初めてじゃない?」サーラが茶化すような笑みを浮かべて言った。「それまではいつも、私かママ、あるいはその両方が一緒だったものね」。彼女の笑みはさらに深まった。「それで、ついに一線を超えたりしたの?」
メレディスは顔を真っ赤にした。「言っておくけど、カイルはずっと紳士的に振る舞ってくれていたわよ」。メレディスはトマトを刻む作業に意識を戻した。「私たち、ゆっくり進めようって決めてるの。急ぐ必要はないから」
「それはよかったわね」とサーラは言った。「個人的には、あなたを『お義姉さん』って呼べれるようになるか、あるいは甥っ子や姪っ子が走り回る姿を見られるのを待ってるんだけどね」。メレディスがさらに赤面する中、サーラはエリザベスの方を向いて尋ねた。「エリザベス、あなたはどう? 何かいいことあった?」彼女はあえて恋愛事情については聞かないようにしていた。それはエリザベスにとってタブーな話題だったからだ。
「私?」エリザベスは、ハンバーガーを焼いていたグリルから顔を上げて言った。「うーん、特に何もないかな。仕事が増えたくらい」
他の女の子たちは一斉に「えーっ」と声を上げた。「最後にあなたに何か大きな出来事があったのって、数週間前にソール・ハウランをかなり公然と振った時くらいじゃない?」とアンヌリーゼが言った。
エリザベスは顔をしかめた。「もう少し優しく断るべきだったかもしれないとは思うわ」と彼女は言った。「でも本当に、彼のしつこさにはもう我慢の限界だったのよ。だから、私の『スコットランド人』気質が抑えきれなくなっちゃったみたい」
その瞬間、リアンナがバーベキュー・エリアの方へ歩み出た。「何も手伝わなくていいって言われたのは分かってるけど、それでも何か手伝えることはないかなと思って」と、彼女は期待を込めた表情で言った。
「うーん、それならテーブルの準備をお願いできるかしら」とアンヌリーゼが言い、紙皿を彼女に手渡した。リアンナは不満そうな顔を見せたものの、それでも皿を受け取り、ピクニック・テーブルの方へと向かった。
「まったく、あの子とローランが一緒になったら、料理は全部ローランが担当することになるわね」とサーラが言った。
「まあ、エカルド家の人間はみんな料理の達人みたいなものだから、それは当然のことよね」とメレディスが応じた。
「エカルド家であれだけ長く暮らしていれば、何か一つくらいはコツを覚えていそうなものだけど」とサーラはつぶやいた。「でも、リアンナ・ケリスの料理のセンスのなさときたら、あのヘレン・エカルドさんの指導力をもってしても、どうにもならないってことね」
エリザベスはため息をつきながら、再びハンバーガーに意識を向けた。友人たちがこの「女子会」を企画したのは、自分のためだということは痛いほど分かっていた。彼女たちの思いやりはありがたいものの、心のどこかでは、それが余計なお節介のようにも感じられたのだ。エリザベスは一瞬、話題を自分から逸らそうと、友人たちの恋愛事情について尋ねてみようかと考えたが、すぐにその考えを打ち消した。実際、尋ねるようなことは何もないからだ。アンヌリーゼはトビーと幸せな結婚生活を送っており、メレディスはカイルと順調に交際中。リアンナといえば、相変わらずローランとの間で「くっつくのか、くっつかないのか」という煮え切らない関係を続けている。そしてサーラに関しては、ミストカリアの貴族アンソニー・ルムと文通していること以外、これといった恋愛事情はなさそうだった。もっとも、サーラはまだ高校3年生なのだから、本人にとってはそれほど重要なことではないのかもしれないが。
夕食後、リアンナは「ミンテントー・ツイッチ」を取り出し、『大決闘・バッシュ・ブラザーズ』の対戦を始めた。今まさに、彼女とサーラが激しく競い合うのをメレディスが眺めているところだった。アンヌリーゼはトビーとメッセージのやり取りをしており、そちらにはかなりの時間がかかりそうだった。そこでエリザベスは、星空を眺めるためにそっとキャビンを抜け出した。
エリザベスは再びため息をついた。彼女は現実が見えていないわけではなかった。自分の人生が停滞していることは、痛いほど分かっていたのだ。仕事に打ち込むことは確かに充実感をもたらしてくれたが、それだけでは埋められないものもあった。12歳で博士号を取得した自分は、人生のピークを早々に迎えてしまったのではないか――そんな疑念が、時折彼女の心をよぎることもあった。もちろん、仕事以外の人生を模索するといっても、必ずしも誰かと付き合う必要はない。人生には他にも大切なことがある。例えば、1ヶ月前に引き取った子猫のことだ。これからはその子猫との生活にもっと心を注ぎ、ゆくゆくは他の猫も迎え入れるのもいいかもしれない。だが、エリザベスはすぐにその考えを打ち消した。そんなことを考えていると、まるで「独り身で猫を何匹も飼っている女性」のような自分を想像してしまいそうだったからだ。
エリザベスは地平線に目をやり、星々や木々のシルエットを眺めた。マックスウェル・ローズとの別れから、もう4年近くが経っていた。そろそろ、また誰かと付き合うことを考えてもいい時期かもしれない。とはいえ、相手の候補など皆無だった。ローランやアンドリューに対して、恋愛感情を抱いたことなど一度もない。彼らは彼女にとって、あくまで「保護者」のような存在だったからだ。それに、仮にそうではなかったとしても、ローランにはリアンナという相手がいるし、アンドリューに関しては……まあ、彼女なりに思うところはあったが、彼がそれを認めることは当分ないだろうと分かっていた。他にも少しでも交際を考えられそうな男性は、すでに誰かのものだった。
そんな思いを巡らせていたエリザベスは、ほど近い場所で何かが光るのを目にした。稲妻だ。だが、その稲妻は雲ひとつない空から走ったものではなかった。それは森の中から放たれていたのだ。犬の鳴き声も聞こえてきた。好奇心に駆られた彼女は、小屋をこっそりと抜け出し、稲妻が見え、犬の鳴き声がした森の奥へと足を踏み入れた。
やがて彼女は、その犬を見つけた。灰色と白の毛並みをした、大きく野性味あふれる姿の犬だった。彼女の姿を認めるやいなや、犬は身を低くして威嚇するような姿勢をとり、唸り声を上げ始めた。
「大丈夫よ、あなたを傷つけるつもりはないわ」とエリザベスは優しく声をかけた。「どうしたの? 飼い主さんのこと? 飼い主さんが怪我でもしたの?」
犬は唸るのをやめ、不思議そうな表情で彼女をじっと見つめた。やがて再び吠え始めると、まるで自分についてくるよう促すかのように、あたりを駆け回り出した。
「わかったわ、案内して」とエリザベスは言った。
犬は森の中へと駆け出し、エリザベスもすぐにその後を追った。
犬は素早くエリザベスを、稲妻が発生している場所へと導いた。そこにいたのは、おそらく彼女と同年代の若い男だった。暗闇に加え、男は黒っぽい服を身にまとい、髪も黒かったため、その姿をはっきりと確認することはできなかった。それでも、彼の手から断続的に放たれる稲妻を見て、彼女は彼が「エレメンティアン」であることを悟った。さらに、彼が身を屈めて荒い息をついている様子から、意識が混濁し、苦痛に苛まれているのではないかと察した。
犬は吠えながら男の元へ駆け寄った。しかし、男は犬の存在に気づいていない様子だった。彼はただ、手から稲妻を放ちながら、足元もおぼつかない様子でふらついていた。
「大丈夫? 話せる? ここがどこだかわかる?」とエリザベスは尋ねた。「大丈夫よ。私は医者なの。助けてあげられるわ」
男はゆっくりと顔を上げ、エリザベスが最初に目にしたのは彼の瞳だった。
鮮烈に燃えるような、赤い瞳だった。
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