第二十七話 現在編最終話
はい、「現在編」の最後話です。
現在
「『三振りの剣』の話をした際、すべてを正直に話さなかったことを詫びなければならない」ローランはそう言った。時は戦闘から次の日だった。場所は聖アヴィントン・インターナショナル・スクールの校長室。そこにはエンデクライオンの騎士たちが集まっていた。「実のところ、パイレウス・グリフォンがミストカリアを去る際、彼が持ち出したのは三本すべてではなく、一本の剣だけだったんだ。しかも、持ち出したその剣は、彼自身のものですらなかった」
「それじゃあ、本当のところはどういうことなんですか?」とネイサンが尋ねた。
「そうだな……君たちも見た通り、『ルーメン・ステラルム』には『血の封印』が施されているだろう? エンデ・クライオンの直系の子孫にしか扱えない剣だ」ローランは続けた。「思い出してほしい。第三代目団長のマルクス・タキトゥスは、エンデ・クライオンの息子ではなく、弟子だった。彼は『ルーメン・ステラルム』を継承してはいたものの、実際にはそれを振るうことができなかったんだ。そこで、パイレウス・グリフォンが団長の座を彼に譲る際、二人は剣を交換した。マルクス・タキトゥスは『ヴォルンタス・イグニス』を手に入れ、一方のパイレウス・グリフォンは、自分では扱えないにもかかわらず、『ルーメン・ステラルム』を預かることになったというわけだ」
メレディスは眉をひそめ、こう言った。「じゃあ、本当なの? 私が『大魔王』……アポカロン・カオスの末裔だっていうのは」
ローランは説明した。「アポカロン・カオスが『大魔王』となる前、彼はアポク・クライオンという名の上級職超力者戦士であり、エンデ・クライオンの異父兄でもあった。もっとも、歴史の記録によれば、二人が特に親密だったというわけではなかったようだ。そして当然ながら、アポク・クライオンがアポカロン・カオスへと変貌した時点で、二人の間の親密な関係も終わりを迎えることになった」
「君はエンデ・クライオンの直系の子孫だ」とローランは言った。「確かに、それは君がアポカロン・カオスの血を引く者であることを意味する。だが、それが本当に重要なことなのかい? 先祖が誰であれ、君は君だ。結局のところ、君という人間を形作るのは、君自身の決断なんだよ」
メレディスはまだ少し不安げな様子だった。しかし、カイルが安心させるように彼女の肩に腕を回すと、彼女の表情は少し明るくなった。彼女はカイルに向かって微笑み、大丈夫だということを示した。
ちょうどその時、ドアをノックする音がした。エリザベス・マッカーサーが顔をのぞかせ、「あら、糾弾の場にちょうど間に合ったみたいね」と言った。
「やっと来たか」とアンドリュー。「で、この3年間の努力の成果は、ついに準備が整ったのか?」
「もちろんよ」とエリザベスはにやりと笑い、ドアを大きく開け放って言った。「みんな、誰が来たか見てみて」
開いたドアの向こうには、膝に手をついて前かがみになり、荒い息をついている若い女性の姿があった。「ちょっと、エリザベス」と彼女は息を切らしながら言った。「久しぶりだから、あなたの速い歩調についていくのには、まだ体が慣れてなくて……」顔を上げたその女性は、灰色の瞳と、肩までの長さのふんわりとしたストロベリー・ブロンドの髪を持つ、魅力的な女性だった。「あら、初めましての方ばかりね!」彼女は背筋を伸ばしながら声を上げた。身につけていたのは、胸当て、肩当て、腰当て、前腕当て、すね当て、そして足甲当てからなる、ギリシャ・ローマ様式の黄金の鎧だった。その鎧の下には、半袖シャツとショートパンツが一体になった黒いワンピースを着ていた。
若い女性はさっとお辞儀をすると、こう言った。「皆様、お会いできて光栄です。アンヌリーゼ・ウィーバーと申します。今日から『ヴァルキリーズ』の副官を務めることになりました」
「それから、もうすぐトバイアス・ハートウェル夫人になる人でもあるわ」とエリザベスが茶目っ気たっぷりに付け加えた。
アンヌリーゼは顔を真っ赤にした。「エリザベス、やめて」と彼女は言った。エリザベスはただ、にやりと笑い返した。
他の騎士たちがアンヌリーゼを取り囲み、彼女に挨拶を交わす中、彼女はある一人の騎士がその場から動かずにいることに気づいた。それはトビーだった。アンヌリーゼは人だかりを離れ、彼のほうへと歩み寄った。「トビー、どうしたの?」と彼女は尋ねた。
会合の間、トビーはずっとその場に立ち尽くし、一言も発していなかった。今もなお、アンヌリーゼに声をかけられて初めて、彼女の存在に気づいたようだった。彼は静かに言った。「ヴァージルが死んだ」
アンヌリーゼは凍りつき、その表情から笑みが消えた。彼女は静かに目を閉じ、息を吸い込んだ。両目から一筋ずつ、涙がそっと頬を伝い落ちた。「そう……」彼女はそう呟くと、トビーに歩み寄り、彼を強く抱きしめた。トビーもまた、何も言わずに彼女を抱きしめ返した。
***
「それじゃあ、結局のところ『ルーメン・ステラールム』はこの日本に残るってことね?」とリアンナが言った。会議は終わり、騎士たちはそれぞれの持ち場へと散らばっていくところだった。「まさか、残りの二振りの剣がどこにあるかまでは知らないわよね?」
「悪いな、それは企業秘密だ」とローランは言った。「もう隠し事はしないと約束したけど、『三振りの剣』のありかは、騎士団の中でもごく一部の人間しか知らない秘密なんだ」ローランはリアンナの方を向き、こう尋ねた。「残りの二振りの剣がどこにあるかを知ることに、それほど意味があるのかい?」
リアンナは困ったような表情を浮かべた。「どうかしらね」と彼女は言った。「ただ、『イクタス・フルミニス』にも『ルーメン・ステラールム』と同じような『血の封印』が施されているとしたら、私がそれを振るうことになるんじゃないかと思ったのよ」
ローランは足を止めた。「なるほど、確かにそうだね」彼はリアンナに向き直り、こう言った。「それに、君が『王室連絡騎士』であることを思い出したよ。つまり、君は『ごく一部の人間』になる資格があるってことだ」ローランは一度頷くと、こう続けた。「わかった、教えよう。でも、今すぐじゃない。帰ってからだ。とりあえずヒントだけ言っておくと、二振りとも、君が実際に訪れたことのある場所に隠されているよ」
「そうなの?」とリアンナは言った。「うーん、どこにあるか見当がついたかも」彼女は両手を広げると、こう言った。「でも、あなたの言う通り、それは後回しでいいわ。今は私の気まぐれに付き合ってもらうわよ。王女が騎士に命じるの」
「ほう、それで、その王女殿下のご要望とは?」ローランは笑みを浮かべて言った。
「秋葉原に連れて行って」リアンナは芝居がかった仕草で、彼の顔の前に指を突きつけた。「日本にいるこの時間を、とことん満喫するのよ」
ローランは笑って言った。「もちろんさ。それに、秋葉原だけに限定することはないだろう? なにしろ、僕らはあと数日は日本にいるんだから。その時間を存分に楽しまないとね」
はい、これにて「現在編」と第三章は完結致しました。面白かったですか?次回は外伝ストーリーをやりますのでお楽しみください。




