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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第八話 超力者(サイリック)とは

どうぞ、お読みください。

 カイルとサーラが医務室に入るとそこには驚くほど美しい女性が座っていた。長い金髪を三つ編みにし、白衣をまとったその女性は上の空でプレッツェル・スティックをかじっていたが二人に気づくと温かい笑みを浮かべた。


「おはよう。あなたたちがカイルとサーラ・サンダースね」と、彼女ははっきりとしたスコットランド訛りで言った。「私はドクター・エリザベス・マッカーサー。医療部隊の隊長よ」


 カイルとサーラはしばらく言葉を失った。やがてカイルがようやく「こ、こんにちは……えーと……俺は……あの……おいくつなんですか?」とどもりながら尋ねた。


 その言葉でサーラは呆然とした状態から我に返った。「お兄ちゃん、失礼よ」と彼女はきつく言った。


「気にしないで」とエリザベスは言った。「私は十七歳よ」


「俺より年下じゃないか」とカイルはつぶやいた。


「でも私よりは年上よ」とサーラは言った。「それで……あの……ドクター・マッカーサー……」


「エリザベスと呼んでください。」


「あ…えっと…エリザベスさん、あなたの『ドクター』という肩書きは医療部隊長としての名誉職のようなものですか?それとも…」


 エリザベスは少し苦々しい表情を浮かべた。「5年前に医学博士号と外科医免許を取得しました」と彼女は言った。「でも、あまりその話はしたくないんです。」


 カイルとサーラは顔を見合わせた。「テレビで『世界の天才児たち』っていうドキュメンタリー番組なかったっけ?」とサーラがささやいた。「確か2年前だったかな?スコットランドのエディンバラに住むたった12歳で外科医になった天才少女の話が特集されていたわ。」


「うっすらと覚えているような気がする」とカイルは言った。「ドキュメンタリー番組はたいてい眠ってしまうからはっきりとは覚えていないんだけど。でも、俺たちと同じくらいの年齢の女の子がもう医者になっているなんてあの時の驚きは覚えているよ。」


 ローランとトビーが部屋に入ってくるとローランが「二人で何の話をしていたんだ?」と尋ねた。


「ちょっとした挨拶を交わしていただけよ」とエリザベスは机から立ち上がりながら言った。「団長、準備ができているなら医療エリアへ移動しましょう。そこでカイルとサーラをきちんと診察できますから」


「了解、案内してくれ」


 エリザベスは微笑むと彼らを連れて部屋を出始めた。部屋を出る途中カイルはローランに身を寄せこう言った。「こんなこと言うべきじゃないかもしれないけど……あの女医さん、その……すごくべっぴんだね」


「彼女はかなり人目を引く存在だからね」とローランは言った。「もう長い付き合いの俺でさえ彼女を前にすると時折たじろいでしまうことがあるくらいだよ。以前、元恋人が彼女をあるミス・コンテストに勝手にエントリーさせたことがあったんだが彼女は断固として拒否したんだ。まあ、俺としても自分の騎士がああいうコンテストに出るというのはあまり気が進まないが、もし出ていたら間違いなく優勝していただろうとは思うんだよな」


「ローラン、その……あの時の話はしないでちょうだい」エリザベスはローランの方を振り返り厳しい視線を向けた。確信は持てなかったもののカイルには彼女の声に懇願するような響きが混じっているように感じられた。


「すまない」ローランは気まずそうに答えた。


「あなたが騎士団に入ったとき彼女はすでに団員だったの?」とサーラが尋ねた。


「いいや、違うよ」とローランは言った。「実は彼女のことは2年前にテレビで放送された『世界の天才児たち』というドキュメンタリー番組で初めて知ったんだ。それを見た弟と俺が、彼女はもしかしたら上級職超力者(ハイレベルサイリック)なんじゃないかと思ってエディンバラまで会いに行き、実際その通りだったのでスカウトしたというわけさ」


 カイルとサーラは困惑した表情を浮かべた。「『ハイレベルサイリック』って何?」と二人は尋ねた。


 ローランはひどく気まずそうに言った。「ああ、そうだ、一番基本的なことを説明するのを忘れていた」と彼は叫んだ。「エンデクライオン騎士団が一体何をしているのか。できるだけ早く説明するが、まずは医療エリアについたので後にしよう」


 エリザベスは彼らを病室へと案内した。そこには白いカーテンで仕切られたベッドが並んでいた。ベッドには患者はそれほど多くなくエリザベスと同じような白衣を着た治癒騎士(ヒーラーナイト)たちはほとんどがリラックスした様子だった。カジュアルなセーターとロングスカートを着たメレディスは近くのベッドの一つに座っていて、彼女は顔を上げて入ってきた人物を見て微笑んだ。「おはようございます」と彼女は控えめに言った。


「メレディス」と、カイルは彼女のそばへ駆け寄った。「大丈夫? 怪我とかしてないよな?」


「大丈夫よ。何でもないわ」メレディスは照れくさそうに微笑んだ。


 カイルがメレディスの世話を甲斐甲斐しく焼く様子を見てサーラは眉を上げた。「へえ、これは面白いわね」と彼女は心の中でつぶやいた。「もしかすると……」彼女の顔にいたずらっぽい大きな笑みが浮かんだ。


「ハイ皆さん、こちらへ注目してください」とローランは言った。「どこまで話したっけ? ああ、そうそう。君たちの質問に答えるつもりだったんだ。さて、どこから始めようか。少し時間がかかるかもしれないからクッキーでもつまんでいてくれ」彼はチョコチップクッキーの入ったボウルを取り出しメレディスのベッドサイドテーブルに置いた。


「これ、タダ?」とカイルが尋ねた。ローランが「もちろんさ」と答え終わるか終わらないかのうちに、カイルはもうそれをむさぼり食い始めていた。


「よし、じゃあどこから始めようか」とローランは言った。「やっぱり最初から話すのが一番だろうね。そして、最初の問いかけはこうなるはずだ。『超力者(サイリック)とは何か?』」


「それは間違いなく私たちも気になっていたことだわ」とサーラが言った。カイルも口いっぱいにクッキーをほおばったまま同意するように頷いた。


 ローランは適切な言葉を選ぼうとするときのような表情で眉をひそめた。「これを説明するのがこれほど難しいとは思いもしなかったよ」と彼は言いながら右の人差し指で前髪の右側の下あたりを掻いた。「ここに来る人の大半はすでに『超力者(サイリック)』が何なのかを知っているからね」


「私は知らなかったわ」とエリザベスは言った。「あの時、あなたに説明してもらう必要があったもの」


「当時は説明を手伝ってくれる弟が一緒だったからね」とローランは言った。「まあ、要するに僕自身も、カイルも、サーラも、メレディスも――実際『騎士団』の全員が超力者(サイリック)なんだ」


「へえ、そりゃあ随分と役に立つ説明だねRJ」とカイルは皮肉っぽく言った。口の中のクッキーはもうなくなっていた。


「いい指摘だね」とローランは言いクッキーを手に取ってかじり始めた。「よし、こういう例えはどうかな?」と、彼はクッキーを口に運びながら言った。「ほら、学校のことを思い出してみて。隣の席に座っていて何をやらせても自分よりほんの少しだけ優れているように見えたあの人のことさ。成績が平均より良かったり、スポーツがずば抜けてできたり、あるいは滅多に病気をしなかったりするような……」


「ローラン、実を言うとその説明は『隣の席の人』じゃなくて私たち自身に当てはまるわよ」とサーラは言った。


 ローランは少し気まずそうに額に手を当てた。「そうだった。これは『超力者(サイリック)』じゃない人たちに超力者(サイリック)とはどういうものかを説明する時の例え話だったんだ。まったく、思ったより説明するのは難しいな」


「あの、団長」とトビーが言った。「もう少し専門的な説明があった方が分かりやすいかもしれません。」


 ローランは指を鳴らした。「それがいいかもしれない。」彼は手を2回叩いた。部屋の照明が暗くなり壁に人間の熱画像が投影された。「ビンゴ!」とローランは言った。「さて、君たちの中で人体のエネルギー消費量と熱消費量の比率について知っている人はいるか?」


 カイルとサーラは二人とも困惑した表情を浮かべた。「ええと、RJ、俺たち全然分からないんですが。」とカイルが言った。


 ローランはこれにかなり苛立った様子だった。「おいカイル、生物学の授業でたった3週間前に習ったばかりじゃないか。」と彼は言った。


「ああそう、悪かったな。あんたとリアンナみたいに全員が集中できるわけじゃねえんだよ。」とカイルは言い返した。


 ローランが何かを言おうとしたその時メレディスが小さな声で言った。「人間の体はエネルギーの約75パーセントを体熱として失ってしまうため実際に利用できるのは約25パーセントにすぎません」


 ローランの問いに彼女が答えたことに驚き他の全員がメレディスに視線を向けた。当のメレディスは少し恥ずかしそうにうつむいてしまった。


「その通りだ」とローランは言った。「正確な数値までは分からないがだいたいそれくらいだね」彼は投影された映像の方を向きこう続けた。「さて、これを見てくれ。これは休息中の非超力者(ひサイリック)のサーモグラフィ画像だ。そしてこっちは激しい運動をした後の非超力者(ひサイリック)の画像だよ」映像が切り替わり体内のより広範囲に熱が集中している様子が映し出された。


「ちょっと待った」とカイルが言った。「つまり、激しい運動をすると体温が上がるってこと?」


 ローランはにやりと笑って言った。「なんだ、学校のマラソン大会のあとみんなが汗だくになる理由を不思議に思ったことはないのか?」


 カイルは目を丸くして「信じられない!」とつぶやいたがサーラはまだ納得がいかない様子だった。


「でも、私はこれまで運動をしていて熱さを感じたことなんて一度もないわ」と彼女は言った。


 ローランはにやりとした笑みをさらに深め「その通りだ」と言った。彼は再び投影された映像の方を向いた。「これがリラックスした状態の超力者(サイリック)だ」彼がそう言うと投影された映像にはリラックスした状態の非超力者(ひサイリック)の映像と全く同じ熱画像が映し出された。「そして、これが運動後の超力者(サイリック)だ」。映像は先ほどとほとんど変わらないものに切り替わった。「これでわかったか?」とローランは言った。「ごく簡単に説明すると超力者(サイリック)とは体内のエネルギーを熱として逃がすことなくその25パーセント以上を保持できる人間のことなんだ」


「それで、具体的に何が『超力者(サイリック)』を特別なものにしているんだ?」とカイルが尋ねた。


「基本的には超力者(サイリック)は他の人間に比べて余剰エネルギーを多く持っているということだ」とローランは言った。「その余ったエネルギーは筋肉を強化したり、身体的なスタミナを高めたりするのに使われることもある。あるいは脳を強化してESP(超感覚的知覚)やテレパシー、念力といった能力を人間に与えることもあるんだ」


「でも、それってそれほど目立つことじゃないわよね」とサーラが言った。「まあ、テレパシーとか念力とかは別として、単に運動神経が良かったり頭が良かったりするだけなら超力者(サイリック)とそうじゃない人の間にそれほど大きな違いがあるわけじゃないし」


「だからこそほとんどの人は超力者(サイリック)の存在に気づいていないんだ」とローランは言った。「だが、体内のエネルギーの75パーセント以上を保持できる超力者(サイリック)は『上級職超力者(ハイレベルサイリック)』と見なされ、そうなると話は全く別次元のものになる」


「どういうことだ?」とカイルが尋ねた。


「ふむ、そうだな……一つ例がある」ローランはそう言うと通信機を取り出しタッチスクリーンを操作し始めた。サーマル画像が切り替わり防犯カメラの映像とおぼしきものが映し出された。「昨夜、警察がなかなか興味深い映像を回してくれたんだ。上級職超力者(ハイレベルサイリック)が絡む事件だったからね」ローランは続けた。「ちなみに、あんなふうに現場を勝手に立ち去るもんじゃないぞ」


「いいからさっさとその映像を流してくれ」カイルは苛立たしげな表情を浮かべて言った。その映像が何であるか彼はすでに察していたのだ。


 案の定ビデオにはカイルが前の晩に阻止したコンビニ強盗の映像が映っていた。しかし、その後に彼を完全に驚愕させる映像が映し出された。


 カイルは撃たれていた。後頭部を。彼は大きな音の後に突然襲ってきた激痛を思い出し無意識のうちに後頭部をさすった。しかし、その激痛はすぐに消えたのでその時は疑問に思わなかった。


「どうして…どうして…」彼はつぶやいた。サーラも同様にショックを受けていた。一方、メレディスは兄妹に問いかけるような表情を浮かべていた。


「本当に気づかなかったの?」彼女は尋ねた。「あなたに私を連れて行ってほしいと頼んだのはあなたが銃弾をものともしないのを見てあなたと一緒にいれば安全だと思ったからよ。」


「い、いや、気づかなかった」カイルはどもりながら言った。「どうして俺は…」


「君のサイリック・シールドが守ってくれたんだ」とローランは言った。「上級職超力者(ハイレベルサイリック)と下級職超力者(ローレベルサイリック)の違いは上級職(ハイレベル)のエネルギーが人体が許容できる限界を超え外部へと漏れ出し始める点にある。その結果皮膚のすぐ外側にエネルギーの膜が形成され物理的な衝撃を和らげるクッションの役割を果たすだけでなく、皮膚を事実上何ものも通さない状態にするんだ。サイリック・シールドは上級職超力者(ハイレベルサイリック)にとって何よりもまず頼りになる防御の要(かなめ)なんだよ」


「つまり、俺は……無敵ってことか?」とカイルが尋ねた。


「いや、決してそんなことはない」とローランは言った。「サイリック・シールドは特に飛び道具に対して高い防御力を発揮する。だが、素手での殴り合いや近接武器を使った戦闘では互いのサイリック・シールドが干渉し合ってある程度相殺されてしまう。そうなると皮膚そのものは傷つかなくても強烈な打撃の衝撃はダイレクトに伝わり激痛を伴うことになるんだ。それに、あまりに激しい攻撃を絶え間なく受け続ければ――例えば、過剰な打撃を浴びたり、機関銃で掃射(そうしゃ)されたりすれば――シールドは弱まり最悪の場合は完全に消失してしまう。そうなれば上級職超力者(ハイレベルサイリック)であっても、能力を持たない一般人と変わらないほど無防備な状態になってしまう。だから銃には依然として警戒が必要だ」


「よく言うわね」とエリザベスが言った。「つい先日、どっかの誰かさんが頭を撃たれたような気がするけど」


 ローランはいかにも気まずそうな表情を浮かべた。「とにかく、シールドが消失してしまった場合、完全に再チャージされるまで最大で一時間ほどかかる。さらに言えば大規模な爆発や高所からの転落でも命を落とす危険はある。もっとも、能力を持たない人間に比べれば死ににくいというだけでね」


「わかった、サイリック・シールドの扱いには気をつけるわ」とサーラは言った。


「さて、上級職超力者(ハイレベルサイリック)には大きく分けて『フィジカル』と『エレメンティアン』の二つのタイプがある」とローランは説明した。「フィジカルというのはいわば典型的な上級職(ハイレベル)のことだ。彼らは尽きることのないスタミナや常識外れの身体能力を持ち、筋力、スピード、持久力など、トップクラスのアスリートに求められるあらゆる要素を高いレベルで備えている。フィジカルの能力者は何時間でも疲れずに身体を動かし続けることができその動作は他の者よりもはるかに鋭く、正確だ。しかし、上級職(ハイレベル)全体の500人に1人程度の割合でそうした身体能力の代わりにある種の特殊な能力を発現させる者がいる。彼らのことは『エレメンティアン』と呼ぶ」


「どんな能力なの?」とサーラが尋ねた。


 その問いに答えるようにローランは両手を掲げた。カイル、サーラ、メレディスが驚愕する中ローランの両手から突如として炎が噴き出した。「実に様々な能力がある」ローランはそう言いながら両手を包んでいた火の玉を消し去った。「エンデクライオン騎士としての任期中、俺は氷や水、磁気、テレパシー、念動力、フォースフィールド、放射線を操るエレメンティアンや単にエネルギーの奔流を生み出す者たちを目にしてきた。これまでの調査の結果サーラとメレディスは『フィジカル』であることが判明している。だが、カイルは『エレメンティアン』なんだ」


「本当に?」カイルは驚いた様子で言った。だがすぐにパインシャックルにいた際、離れた場所にいたダンテ・ゴーシャンをどうにかして転倒させたときのことを思い出した。「すげえ」彼は満面の笑みを浮かべて言った。


 サーラは不満げな顔をした。「ああ、ずるい! 私たちきょうだいなのに! なんでお兄ちゃんだけかっこいい能力があって私はないのよ?」


「俺の方がかっこいいからさ」カイルはニヤリと笑って言った。サーラは彼を睨みつけた。


「まあ、そう騒ぐな」とローランドは言った。「カイルは『エレメンティアン』だから見た目の派手さも圧倒的だし戦闘の初動における威力も段違いだ。だが、『フィジカル』と違って『エレメンティアン』は能力を使うたびにエネルギーを消費しスタミナと『サイリック・シールド』を削ってしまう。だから、もし能力を全力で使い続ければ活動限界時間は『フィジカル』の4分の1程度にしかならない。RPGに例えるなら『フィジカル』は戦士タイプで『エレメンティアン』は魔法使いタイプ。『サイリック・シールド』は防御力とMP(マジックパワー)を合わせたようなステータスだ。『フィジカル』なら攻撃を受けても防御力とMPが少しずつ減るだけでかなりの攻撃に耐えられる。一方、『エレメンティアン』も攻撃には耐えられるが能力を使えば使うほどその防御力とMPが激しく消耗し、戦闘が長引くにつれて無防備になっていく。つまり、カイルが能力の使い方に気をつけないとサーラにボコボコにされるってことさ」。今度はサーラが不敵な笑みを浮かべカイルはふてくされた様子を見せた。


「まあ、超力者(サイリック)」についての概略はそんなところだ。次の質問は?」とローランは言った。


「まだたくさんあるよ」とカイルは言った。「じゃあ、『エンデクライオン騎士団』とは何なんだ?」


「その答えは驚くほど単純なものさ」とローランは答えた。「特殊能力などを備えた『上級職超力者(ハイレベルサイリック)』の域に達すると、どうしても誇大妄想を抱いたり力に飢えた狂人になったりする連中が出てくる。自分たちは上級職(ハイレベル)なのだから下級職(ローレベル)や超力者(サイリック)でない者たちを支配する権利があると思い込んだり、あるいは自分たちを凡人の中の神だと信じ込んだりする連中だ。『カオス・ジェネレーションズ』はそうした思想を狂信的に信奉する集団の典型例と言える。一方、『エンデクライオン騎士団』はそうした他者を食い物にする上級職超力者(ハイレベルサイリック)から下級職(ローレベル)や非超力者(ひサイリック)を守るために何世紀も前に設立された上級職超力者(ハイレベルサイリック)の組織なんだ」ローランは肩をすくめて言った。「ほら、単純な話だろ」


 サーラは考え込んでいる様子だった。「上級職(ハイレベル)が非超力者(ひサイリック)を支配すべきだなんて思っているわけじゃないわ。そんなことは考えていないもの」と彼女は言った。「でも、上級職(ハイレベル)は本当に非超力者(ひサイリック)や下職者超力者(ローレベルサイリック)よりも優れているのかしら?」


「決してそんなことはない」とローランは言った。「その点については俺よりもエリザベスがうまく説明できるだろう」


「ありがとう、ローラン」とエリザベスは言った。「カオス・ジェネレーションズや一部のエンデクリオン騎士でさえ認めるのをためらうことだけれど、上級職(ハイレベル)には非超力者(ひサイリック)や下職者(ローレベル)の同類と比べてある決定的な欠点があるの。それは免疫系に欠陥があるということよ」


「えっ、どういうこと?」とカイルが言った。


「つまり、上級職(ハイレベル)は病気にかかりにくいけれど、いざかかってしまうと回復する可能性が極めて低いということなの」とエリザベスは説明した。「それに、サイリック・シールド越しに予防接種を打つのがどれほど大変か試してみればわかるわ」


「方法はいくつかある」とローランは言った。


「ええ、でもどれも時間がかかるし、かなり難しいのよ」とエリザベスは言った。ローランはただ肩をすくめた。


「よし、その件についてはこれで解決だな」とローランは言った。「で、次の質問は?」


「次はもう少し個人的なことを聞きたいんだ」カイルは表情を険しくし目を細めながら言った。「どうして『騎士団』に関わっていたことを俺たちにずっと話さなかったんだ?」


「それに、どうして今になって話す気になったの?」サーラもまた極めて真剣な面持ちで尋ねた。


 ローランは困惑し動揺した様子を見せた。「ああもう」と彼はつぶやいた。「いつかは説明しなきゃいけないと分かっていたんだが、心の準備ができていなかったな。これは骨が折れるぞ」。彼はため息をついた。「みんな、ついてきてくれ。その質問に答えるには二人に見せなきゃいけないものがあるんだ。ずっと前に見せておくべきだったものだよ」

『エンデクライオンの騎士団』をお読みいただき、誠にありがとうございました。

物語は続きますので、どうぞお楽しみに。


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