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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第三章:三振りの剣の謎

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第八話 現在:日本へ

はい、「現在編」の話です。注意してください。

現在


「皆様、まもなく羽田への降下を開始いたします。シートベルトをしっかりと締め、座席の背もたれを元の位置に戻し、テーブルを収納してください。到着まであと約30分を予定しております。現地の時刻は午前9時35分、気温は14度です。まもなく客室乗務員が機内を回り、サービス用品の回収を行います。当便をご利用いただき、ありがとうございます」


 カイルは座席で身を硬くし、少し居心地の悪さを感じていた。日本へ向かう民間機の真ん中の席に座っていること自体が、その気まずさの原因ではない。問題は、誰と一緒かということだった。


 普段なら、「エンデクライオンの騎士団」は海外への移動に専用のジェット機「ストームVTOLジェット号」を使用する。だが、現在は「ストームVTOLジェット号」の大規模な整備期間中だったため、ローランは整備完了後に本隊が合流するのに先立ち、少数の先遣隊を民間機で日本へ送ることにしたのだ。その先遣隊のリーダーに選ばれたのがトビーだった。彼は今、カイルの右隣の席で目を閉じ、深く考え込んでいる様子だった。


 カイルが本当に居心地の悪さを感じていたのは、左隣の席にいる人物、アンジェリカの存在だった。普段は他人を寄せ付けない態度をとる彼女が同行することになったのは、カイルにとって何よりも驚きだった。今の彼女は、鼻歌を交えながら本を読んでいた。


「あなたの婚約者がここに来られなかったのは残念ですわね」とアンジェリカは言った。「彼女はネイサンの新部隊で副隊長を務めることになっているのでしょう?私(わたくし)たちの後に来るメインチームに合流するつもりなのかしら?」


「リハビリはあと数日で終わるはずですが、残念ながらタイミングが少し間に合わないようです」とトビーは言った。「到着したら、あなたが一時的に彼女のポジションを引き受けるつもりなのでしょう?」


「それで、自ら志願したのか?」カイルはアンジェリカの方を向いて尋ねた。「それは意外だな」


「私(わたくし)の経歴を知っていれば、そうでもないですわ」とアンジェリカは言った。「ネイサンは私(わたくし)の元教え子ですから。とはいえ、ローランが先遣隊を派遣すると決めたことには、私(わたくし)自身も驚いていますけれど。彼は、ジェット機の整備が終わるまでネイサンたちの新部隊だけで対処できるとは思わなかったのかしら?」


「もしヴァージルかソランのどちらか一人だけなら、ローランもそう考えたかもしれないです」とトビーは言った。「だが二人が一緒となれば、新部隊には助けが必要だという団長の判断に、私も同感です」


 カイルは「ネイサン」という人物について、ローランから「戦闘騎士(ファイターナイト)」だと聞いたことはあったものの、それ以上のことは知らなかった。「それで、ええと……その『ネイサン』って、どんな人なんだい?」


「うーん」アンジェリカは少し考え込むような素振りを見せた。「一言で言うなら、『神童(しんどう)』ですわね」


「神童?」カイルは繰り返した。


「確か、サーラと同じくらいの年齢だったはずです」とトビーが言った。「それなのに、十一歳でエンデクライオンの騎士になった天才とされています。かつては、彼の入団が新時代の幕開けを告げるような、一生に一度の神童だと目されていました」トビーは眉をひそめ、言葉を続けた。「もっとも、エカルド兄弟の登場でその影が薄くなってしまうまでは、の話ですがね」


「そうなのか?」カイルは、アンドリューがこの任務にかなり熱心に志願したものの、ローランに却下されたことを思い出した。兄弟がネイサンの影を薄くしてしまったことと、何か関係があるのだろうか。


「もうすぐ彼に会うことになりますよ」とトビーは言った。「到着したら、まずは彼がいる学校へ向かいます」


「学校? 彼はそこの生徒か何かなのか?」カイルは尋ねた。


「違いますわ」アンジェリカが答えた。「彼は教師よ」

 

***


 羽田に到着し、一行は税関の外で30代半ばの日本人男性と合流した。彼は日本人としては際立って背が高く、体格もがっしりとしていた。眼鏡をかけ、短く刈り込んだ髪に揉み上げを蓄え、スーツにネクタイという実務的な装いをしている。「トビーさん、お久しぶりです」と彼は一礼した。


「武田さん、お会いできて嬉しいです」トビーはそう言って彼と握手を交わした。


「こちらこそ」と男性は応じ、右側に視線を向けて言った。「おや、アンジェリカ。こんなに早くまたここへ顔を出すとは思いもしなかったよ。少なくとも数年は戻ってこないと思っていたんだが」


「何かしら、文句でもありますの、カツヨシ?」アンジェリカは言い返した。「昔の馴染みの場所を覗いてみたいと思う女の子が、何か悪いことでも?」


「相変わらず、単刀直入で歯に衣着せぬ物言いだな」武田は苦笑した。


「ふん」とアンジェリカは鼻を鳴らし、カイルの方を向いて言った。「こちらはカイル・サンダース。新人(ルーキー)の一人で、サイモンの息子よ」。続いて武田の方を向き、「こちらは武田(たけだ)勝(かつ)好(よし)。戦闘騎士(ファイターナイト)であり、私(わたくし)たちが向かう学校の主任教官兼監督者。それに、私(わたくし)が以前その学校にいた時の『保護観察官』でもあった人ですのよ」と紹介した。


「保護観察官? まるで刑務所にでも入っていたような言い方だな」武田は言った。「当時、君は『騎士団』とかなり険悪な関係にあったから監視はしていたが、実際に投獄したり拘束したりしたことは一度もなかったはずだ」


「まあ、『保護観察官』というのは少し大げさだったかもしれないですわね」アンジェリカは認めた。「もっと適切な表現をするなら、『とびきり厄介な子守役』ってところかしら」


「ひどいな」と武田は言った。彼はカイルの方を向き、手を差し出した。「なるほど、君がサイモンの息子さんか。私は武田(たけだ)勝(かつ)好(よし)だ。サイモンとは古い友人でね。彼を亡くされたこと、心からお悔やみ申し上げます」


「あ、ありがとうございます」カイルはそう言って、その手を握り返した。


 武田は頷くと、こう言った。「さて、皆の準備ができたら、行くとしようか」

 

***


 車を走らせること40分、一行は目的地に到着した。巨大な学校の正門前で、カイルは「聖アヴィントン・インターナショナル・スクール」と明記された看板を見上げ、呆気にとられて口をあんぐりと開けていた。


「どうしたんだい?」と武田が尋ねた。


 カイルは仲間の方を向き、こう言った。「俺の勘違いじゃなきゃ、俺たちは今しがた日本に着いたばかりだよね?」


「ええ、その通りです」とトビーが答えた。


「で、羽田からここまで車で40分かけて移動してきたんだよな?」とカイルは念を押すように言った。


「それも正解です。一体どうしたんですか?」とトビーが尋ねた。


「だったら誰か説明してくれよ。なんで俺たちは、故郷にある俺の学校とそっくりな学校の門の前に立ってるんだ?」とカイルは声を張り上げた。


「訂正しますわ」とアンジェリカが言った。「あなたの学校は、ニューヨーク州ナイツレストにある『聖アヴィントン私立学園』。こちらは日本の横浜にある『聖アヴィントン・インターナショナル・スクール』ですのよ。両校は姉妹校ですの」


「姉妹校だって?」一行がキャンパスを歩き始めると、カイルはそう口にした。生徒の大半は日本人だったが、インターナショナル・スクールということもあり、外国人の生徒も少なくなかった。それどころか、彼らは皆、カイルの学校と同じ制服を身にまとっていたのだ。それだけではない。校舎や施設の配置、さらには時計塔に至るまで、聖アヴィントン私立学園とそっくりそのまま同じだった。「本当にいつの間にかナイツレストにテレポートしちまったんじゃないだろうな?」カイルはそう呟いた。


 一行は校長室へと向かった。到着してみると、校長が年配の日本人男性だったことに、カイルは正直ほっとした。というのも、彼はローランとアンドリューの母親、あるいは少なくとも彼女によく似た人物がそこにいるのではないかと、半ば予想していたからだ。もちろん、そこにいたのが老人だったことを少し残念に思う気持ちも、カイルにはあった。ヘレン・エカルドは既婚者であり、親友の母親でもあったが、彼女の姿を見るのはいつだって目の保養になるものだったからだ。


「ほっほっほ、ようこそ」と校長は言った。彼は特にカイルに目を向け、「ほっほっほ、サイモンの息子さんかな? ようこそ。わしは聖アビントン・インターナショナル・スクールの校長、姫(ひめ)神(がみ) 十蔵(じゅうざ)衛門(えもん)じゃ。ついでに言えば、元エンデクライオン騎士でもあるのお」と続けた。


「あ、えーと、はじめまして」とカイルは言った。


「あら、まだ生きておりましたの、おじいさん」とアンジェリカが言った。


「相変わらず辛辣(しんらつ)じゃな、アンジェリカ」と校長は言い、トビーに向き直ってこう言った。「ハートウェル副団長、よろしければすぐにネイサンのところへご案内しましょう。もっとも、女子高等部の授業はまだ続いているので、少し待たなければならないかもしれませんがね」


「女子高等部?」とカイルは言った。「なんでそのネイサンって奴に、女子高等部で会うんだ?」


「ああ、説明しよう」と武田が言った。「聖アビントン・インターナショナル・スクールでは、男女でクラスが分かれているんです。そこが、君の学校と我が校の最大の違いかもしれないですね」


 カイルはひどく当惑したような顔をした。「ちょっと待ってくれ」と彼は言った。「そのネイサンって奴は教師なのに、サーラと同じ年齢、つまり十六歳だって言ってたよな?」


「その通りです」とトビーは言った。


「で、女子高生のクラス、つまり自分と同じくらいの年齢の生徒を受け持ってるって言うのか?」カイルは顔をしかめた。「それって、スキャンダルになりかねない状況じゃないか?」


「ネイサンはかなりのプロフェッショナルですのよ」とアンジェリカが言った。「そうでなきゃ、こんな仕事は任されないわ」


「ああ、そうなんだろうね」とカイルは言った。「実は俺が心配なのは、女子生徒の方なんだ。高校生ってのは、特に大人しそうに見える子ほど、時に大胆で積極的だったりするからな。経験上、それはよく分かっている。実はメレディスのそういうところが好きなんだけど、彼女も大人しい振る舞いとは裏腹に、時に驚くほど大胆で積極的になることがあるんだ」

 

***


 地球の裏側で、メレディスはくしゃみをした。少し肌寒さを感じ、彼女は羽織っていたナイトローブをきつく合わせ直した。聖アヴィントン私立学園の寮の部屋にある時計を見上げると、もうかなり遅い時間になっていることに気づいた。「ああ、寒いはずね。これに少し時間をかけすぎちゃったわ」と彼女は呟いた。彼女は座っている机の上のメモ帳に目を落とした。そこには、ここ数時間メレディスが取り組んでいた走り書きのメモがびっしりと書き込まれていた。


 メレディスのスマートフォンが鳴り、彼女はそれを手に取って「もしもし?」と言った。


「やっぱりまだ起きていたのね。そのような気がしたのよ」と、電話の向こうからエリザベスの声が聞こえた。「どうしてまだ寝ていないの?」


 メレディスはため息をつきながら言った。「『ストームVTOLジェット号』の準備が整ったとき、ローランに私を日本へ連れて行ってもらうよう説得するためのスピーチを考えているの」


「本当にそんなこと必要なの?」とエリザベスが尋ねた。「うまく頼めば、ローランだって聞いてくれるでしょうに」


「ただ友情に甘えて利用するようなことはしたくないの」とメレディスは言った。「『エンデクライオンの騎士』を名乗る以上、騎士団長と話すときはきちんとした手順を踏まないと」


 エリザベスは少し沈黙してから尋ねた。「わかったわ。で、本当のところはどういうこと?」


 メレディスはため息をつきながら言った。「アンドリューがこの任務への志願にすごく乗り気だったのに、ローランに却下されたの、覚えてる? 後でローランにその理由を聞いてみたのよ。そしたら、あのネイサンって人、女子高生のクラスの先生だったの。カイルが女子高生に囲まれる状況って、正直あまりいい気分じゃないわ」


「カイルを信頼してるんでしょ?」


「もちろんよ。命だって、私のすべてだって預けられるくらい信頼してるわ」メレディスは再びため息をつき、こう続けた。「私が信用できないのは女子高生の方よ。彼女たちって、時に驚くほど大胆で積極的になるから……特に、一見おとなしそうな子に限ってね。私だって女子高生だからわかるのよ」


「考えすぎじゃない?」


 メレディスは椅子の背もたれに体を預けた。「正直、そうかもしれないわね」と彼女は認めた。「誰かを好きになるって、こういうことなのかも」彼女は微笑んで続けた。「ねえ、エリザベス。あなたはもう博士号を持ってるけど、年齢的には私たちとそう変わらないじゃない? いつか恋をしたら、きっと同じように感じると思うわ」


 電話の向こうで、エリザベスが黙り込んだ。メレディスはふと、エリザベスが過去に元恋人との間で嫌な経験をしたことがあると誰かから聞いたのを思い出した。「あ! ごめんなさい。余計なことを言っちゃった?」


「ううん、大丈夫よ。気にしないで」エリザベスはそう言うと、明るい声で続けた。「とにかく、明日の朝一番にローランに話してみて。きっと彼も、あなたを日本に行かせてくれるはずよ」

面白かったですか?何度も忠告しますが「過去編」と「現在編」の二種類の話があるので注意してください。

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