第四話 現在:アリスタ・アルカディアからの情報
はい、「現在編」の話です。注意してください。
現在
「アリスタ?」ヘレンはひどく驚いた様子で声を上げた。リアンナは、「アリスタ・アルカディア」という名前を以前どこで耳にしたのか、ふと考えた。周囲を見渡すと、招待客の半数は張り詰めた様子で、残りの半数は困惑しているようだった。ローランとアンドリューも、先ほどまでの沈んだ様子から一転し、むしろ動揺しているように見えた。特に驚かされたのは、普段は超然としているアンジェリカまでもが緊張した面持ちで、そのリムジンを睨みつけていたことだ。
アンジェリカの姿を目にしたことが、リアンナの記憶の引き金となった。三ヶ月前、ミストカリアに滞在していた際、リアンナはエンデクライオン騎士団とのバーチャル会議に参加したことがあった。その会議で騎士たちが、「カオス・ジェネレーションズ」の上層部で起きている権力争いについて語っていたのを思い出したのだ。そこでは、数々の高位カオジェン(アンジェリカが特に名を挙げていたモルガナ・ブラックハートなど)が、ある地位を巡って競い合っていた。その地位とは、かつて闇の預言者アルカンタラの弟子でありながら不名誉な形で追放された人物が占めていたものだった。その追放された弟子こそが、アリスタ・アルカディアという名だった。
リムジンから一人の女性が降り立った。彼女は長い金髪をしており、その髪はリアンナのものよりもはるかに豊かなボリュームを持つリングレット(縦巻きのロール)になっていた。赤みがかった茶色の瞳、ルビーのような唇、陶器のように白い肌を持ち、左の口元のすぐ下、顎のあたりには美しいほくろさえあった。彼女は後期ヴィクトリア朝様式の赤いドレスを身にまとっていた。リアンナは、それがミストカリアの貴族の間で流行しているスタイルであることを認識した。彼女は木製の折り畳み扇子まで手にし、髪には赤いバラの飾りをつけていた。
周囲の視線を一身に浴びながら、その女性は人混みをかき分けて進んでいった。やがて彼女は、エドワードと並んで立っていたヘレンの目の前で足を止めた。そして微笑みを浮かべ、「こんばんは、ヘレン。エドワード。久しぶりね。お誕生日おめでとう」と声をかけた。
「アリスタ」ヘレンは努めて落ち着いた声で言ったが、その瞳は再び赤く潤み始めていた。「ここで歓迎されるとでも思ったの?」
「あら、昔の友人に対してそんな口のきき方をするなんて」
「もう二十五年近くも、私たちは友人なんかじゃないわ!」
アリスタ・アルカディアは物憂げな笑みを浮かべ、「ええ、そうね。本当に悲しいことだわ。一体、私たちの間に何があったのかしら?」と言った。
「僕たちとの関係を断ち切ったのは、お前の方だろう!」声を荒らげたのはエドワードだった。「あんなに親しかったのに! それじゃあ満足できなかったんだな! だから、あの馬鹿げたカルト教団を追いかけるなんてことをしたんだ!」
アルカディアはため息をつき、こう言った。「昔話に花を咲かせるのも……悪くはないけれど……今日の目的はそれじゃないの。正直なところ、私はあなたの息子たちに会いに来たのよ」
「あら、あなたらしいですわね。かつての友人の誕生パーティーに押しかけておきながら、その主役が目的じゃないなんて。いかにもアリスタ・アルカディアって感じですわ」
アルカディアの笑みがこわばった。「アン……ジェリカ」彼女は声をかけてきた相手の方を向き、言った。「あなたが棺桶の中から出てきて、パーティーに参加するなんて驚きだわ」彼女は扇子を広げ、鼻と口元を覆った。
アンジェリカも自分の扇子を取り出し、同じように鼻と口元を隠した。「棺桶で寝ているわけじゃないですわ」彼女は言った。「でも、ここに来るのは当然ですのよ。ある誰かさんとは違って、私は友人を大切にするものですの」彼女は扇子を閉じると言った。「それで、アリスタ。いつまで昔の元友人たちと無駄話をしているつもりですの? それとも、ここに来た用件をさっさと切り出すのかしら?」
アルカディアの笑みは完全に引きつっており、その仮面の裏で彼女が奥歯を噛み締めているのは明らかだった。やがて彼女は扇子を閉じ、こう言った。「ローラン・エカルドに面会をお願いできるかしら?」
「なぜ俺がそれを受け入れると思ったんだ?」ローランはそう言いながら、自身の瞳を赤く染め始めていた。彼はいつの間にか、アルカディアの前に立つ両親の隣に並んでいた。
「あなた方が興味を持ちそうな、『カオス・ジェネレーションズ』の最近の動きに関する情報を持っているからです」アルカディアはそう言うと、扇子を開き、再びそれで鼻と口元を覆った。
「そんな情報をタダで教えるなんて、あんたに何の得があるんだ?」
「私をクビにした『カオス・ジェネレーションズ』に仕返しができることよ」
「私怨か? それが動機か? 私怨だって言うのか?」ローランはアルカディアを叱ろうとしたが、誰かに肩を掴まれるのを感じた。振り返ると、そこには50代くらいの初老の男性が立っていた。黒髪に混じって白髪が目立ち始め、優しげな茶色の瞳をした人物だった。
「ローラン君、少し話をしてもいいかな?」
「ええ、いいですよ」ローランは答え、その男性に連れられて人だかりから少し離れた場所へ移動した。「何でしょうか、牧師先生」
その男性の名はジョナサン・ハワード。多くの人々は彼を、エカルド家も通う地元の人気教会の牧師として知っていた。だが、彼が実は「エンデクライオン騎士団」の聖騎士であり、『聖職部隊』の隊長を務めていることは、ほとんど知られていなかった。「アルカディアさんの話を聞いてみるべきだと思うよ」と彼は言った。
「そう思われますか?」
「君の家族との過去を考えれば、彼女を頭ごなしに拒絶したくなる気持ちはよくわかる」ハワード牧師は言った。「だが、もし彼女が『カオス・ジェネレーションズ』の活動に関する確かな情報を持っているのなら、話を聞くことは不可欠だ。それに」彼は再びローランの肩に手を置き、言葉を続けた。「君は彼女が私怨で動いていると非難した。しかし、話も聞かずに彼女を追い返してしまったら、それこそ君自身が私怨で動いていることになるんじゃないか? それではあまりに偽善的だ」
ローランはため息をつき、言った。「ええ、おっしゃる通りですね。ありがとうございます、牧師先生」
彼はアルカディアのいる場所へ戻り、「わかった、話を聞こう」と言った。
***
それから間もなく、ローランはキッチンでアルカディアと話し合っていた。アンジェリカも何食わぬ顔で二人に付いてキッチンに入った。一方、アンドリュー、リアンナ、カイル、メレディス、サーラの五人は、キッチンのすぐ外の廊下で待機していた。
「アルカディアさんって、具体的にあなたのご両親とどういう関係なの?」とメレディスが尋ねた。
アンドリューは考え込むように目を細めた。「まあ、一言で言えば、父さんの元恋人で、母さんの元親友ってところかな」。友人たちが驚きの表情を浮かべるのを見て、彼はこう付け加えた。「それと、誤解のないように言っておくけど、母さんと父さんが付き合い始めたのは、アルカディアとの関係が終わってからしばらく経ってからのことだよ」
「一体どうやって、あんな高位のカオジェンになるような人物と親しい関係を築いてたんだ?」とカイルが問い詰めた。
「君のお母さんもだよ」とアンドリューは言った。
「えっ?」カイルとサーラが声を揃えた。
「君のお母さんもだよ」とアンドリューは繰り返した。「実際、君のお母さんとは親しい知人といった感じだったと思うけど。それでも、高校時代はみんな同じ仲間のグループにいたんだ」。アンドリューはキッチンの方に目をやり、話を続けた。「関係がどう終わったかという詳細については……正直なところ、僕も知らないんだ。母さんと父さんは、彼女のことをほとんど話さないからね」
一方、キッチンではアルカディアが静かにお茶を啜っていた。「私がクビになった理由、信じられる?」彼女はそう言った。ローランが黙ったままでいると、彼女は続けた。「どうやら、あなたのご両親との昔の関わりが原因みたい。あなたとアンドリューがカオス・ジェネレーションズの中で頭角を現し始めた頃、生意気な連中が私とご両親の過去のつながりを知ったのよ。それから彼らは、あなたたち二人の責任は私にあるとか、そもそも二人が生まれてくるのを私が防げたはずだとか、馬鹿げた言いがかりを次々とつけ始めたの。結局、その荒唐無稽な非難がアルカンタラの耳にも入って、私はクビにされたってわけ」ローランが依然として何も言わずにいると、アルカディアは眉をひそめて言った。「強い敵意を感じるわね。トバイアス・ハートウェルにはチャンスを与えたのに、どうして私にはくれないの?」
「トビーはカオス・ジェネレーションズの教えを明確に否定している」ローランはアルカディアを指さして続けた。「だが、あんたは……そうじゃない。あんたは単にクビになっただけだ」
アルカディアは少し動揺した様子を見せた。「まあ、確かに幻滅はしているけれど……」
「要点を言え、アルカディア!」
アルカディアはローランを見上げた。「彼、私のことを姓で呼ぶのね」と呟き、一瞬、心からの悲しみの表情を浮かべた。だがその表情はすぐに消え、彼女は無表情な顔つきで言った。「カオス・ジェネレーションズ内にまだ残っている私の情報筋によると、シャドウ・ストーカーの一団が、伝説の『三振りの剣』を盗み出そうと計画しているらしいわ」
「三振りの剣?」ローランは怪訝そうな顔をした。「なぜカオジェンがそんなアーティファクトを狙うんだ?」
「彼らは『カオス・ジェネレーションズ』を強化するよりも、『エンデクライオン』を弱体化させようと考えているんでしょうね」とアルカディアは言った。「確かに常識外れの考え方だけど、この任務を提案したのはヴァージル・コリンよ」
「コリンか……。ああ、彼ならカオジェンの大義に直接貢献するんじゃなくて、我々を弱体化させるための型破りな方法を思いつくくらい、イカれたことを考えかねないな」ローランは言った。「他に誰がこの任務に加わっているんだ?」彼は顔をしかめて続けた。「まさか、マクシミリアン・コロッサイじゃないだろうな?」
「いいえ、エッグゼービエル・ソランよ」
「あいつのほうがましかどうか」ローランは呆れたように目を回してみせた。「四ヶ月前に海へ放り込んでやった件からは、どうやら立ち直ったみたいだな」
「それで、次はどうするつもり?」アンジェリカは自分の紅茶を一口飲みながら尋ねた。アルカディアは、アンジェリカが口を挟んだことに少し苛立った様子を見せた。
ローランはしばし考え込んだ。「そうだな、カオジェンに『三振りの剣』を奪われるわけにはいかないな」と彼は言った。「それに、相手がコリンとなれば、彼に対抗できる騎士は一人しか思いつかないな」
***
「もう、信じられない。二十五年近くも経ってから、あんなふうに突然現れるなんて」ヘレンは屋外のテーブルに座りながら、うんざりした様子でこぼした。「それも、私の誕生日に」
「まあ、彼女は昔から予測不能なところがあったし、自分のペースで生きる人だったからね」エドワードが言った。「何をするにも自分のやり方を通す。それがアリスタという人なんだ」
「せっかくの誕生日パーティーを台無しにされてしまって、本当に気の毒だわ」同じテーブルに座っていた黒髪の女性が言った。カイルとサーラの母親、アデレード・サンダースだ。「アリスタさんは昔から、物事を台無しにしてしまう才能があるのよね」
「でも、私はアリスタ・アルカディアなんかに、自分の誕生日パーティーを台無しにされたままにはしないわ」ヘレンは突然立ち上がると言った。「さあ、アデレード! エドワード! これはパーティーなんでしょ? 楽しみ続けましょうよ!」
アリスタ・アルカディアはエカルド家の屋敷から出て、リムジンに戻ろうとしていたところで、その騒ぎを耳にした。彼女はヘレンとエドワードがアデレードと話しているほうに目を向けた。しばらくの間、物悲しげな表情で彼らを見つめていたが、やがてため息をつき、視線をそらした。「そうね、後悔ばかりして生きていくわけにはいかないわ」彼女はつぶやいた。「とりあえず、ミストカリアの家に戻りましょう」
リムジンの座席に身を落ち着けたとき、ふとある考えが頭をよぎった。「でも、どうしてローランくんはマクシミリアン・コロッサイの名前を出したのかしら?」と彼女は口に出した。「3年前に……ということを、彼は知らないのかしら?」――そこまで言って言葉を切り、彼女は続けた。「……いや、やっぱりいいわ。彼が知るはずなんてないものね」
面白かったですか?何度も忠告しますが「過去編」と「現在編」の二種類の話があるので注意してください。




