外伝ストーリー
今回は外伝ストーリーです。どうぞ、読んでください。
18年前のクリスマスの日のこと。
エドワード・エカルドは「ジングルベル」を口ずさみながら子供部屋に入った。「やあ、坊主たち。ローラン・ジェイソンとアンドリュー・レイモンド、もう起きていたんだね」
双子の赤ん坊、ローランとアンドリューは父親を見上げると、嬉しそうに声を上げ、変形可能なベビーベッドの中でハイハイを始めた。8月初旬に生まれたばかりで生後4ヶ月を少し過ぎたところだったが、二人はすでにハイハイをしていた。それは彼らが「超力者」であることの明白な証拠だった。
「おや、もうハイハイかい」エドワードはベビーベッドの縁に顎を乗せて言った。「普通の赤ん坊にしては早すぎるな。こりゃあ、手のかかる子たちになりそうだ」彼は右腕でローランを抱き上げると、左腕でアンドリューを抱え上げた。「だが、それは後回しだ。今はまず、ママにメリークリスマスと言いに行こう」
エドワードは「そり滑り(Sleigh Ride)」を口ずさみながら、二人の赤ん坊を抱えて階下へと向かった。妻がアームチェアに座り、ぼんやりとクリスマスツリーを眺めているのが見えた。「やあ、メリークリスマス!さあ、坊主たち、ママにメリークリスマスって言うんだ」
まだ言葉を話せないローランとアンドリューは、二人とも大きなうがいのような声を上げた。その音に我に返ったヘレン・エカルドは、驚いた様子で顔を上げた。
「あら、うちの坊やたちじゃない!三人とも!」彼女はそう叫ぶと、立ち上がって彼らの方へ歩み寄った。彼女はローランとアンドリューの額にキスをし、それからエドワードの唇にキスをした。「さあ、プレゼントを開ける前に、みんなで朝食にしない?」
「いい考えだね」とエドワードは言った。すぐに家族は席につき、朝食を楽しんでいた。「そうそう、君の姉さんから電話があったよ。夕食を一緒に食べるそうだ」
「ただ、タダ飯にありつきたいだけよ」とヘレンは皮肉っぽく言った。
「まあまあ、クリスマスを一緒に過ごそうという家族を悪く言うもんじゃないよ」とエドワードは言った。しかし、ヘレンにじろりと睨まれると、こう付け加えた。「……とはいえ、相手はあのイヴォンヌ・コルトレーンだからね。ああ、やっぱりタダ飯にありつきたいだけか」
ヘレンは呆れたように目を回した。「もう、本当にいい加減しっかりしてほしいわ」と彼女は言った。「職場の同僚たちからは、私が彼女より先に昇進するんじゃないかって言われてるのよ。彼女は何年も働いているのに、私はまだ新入りだっていうのにね」
ヘレンは最近、母校である聖アヴィントン私立学園で高校の数学教師として働き始めたばかりだった。産休明けではあったものの、彼女は教職員や生徒たちから高く評価され、人気も高かった。一方、姉のイヴォンヌ・コルトレーンは、同校で長年社会科教師を務めていたが、その評判は……お世辞にも良いとは言えなかった。
「そういえば、編集者からも電話があったんだ」とエドワードは話題を変えた。「クリスマスの挨拶のついでに、新作のミステリー小説がそろそろ出版の準備が整いそうだと言われてね。ただ、その前に最後の仕上げをしておきたくて……どうしたんだい?」
ヘレンはまた、ぼんやりと意識が遠のくような状態に陥っていた。「え?」と彼女は我に返った。「ああ、何でもないわ」
「そんな、『何でもない』はずがないだろう」
ヘレンはため息をつきながら言った。「実はこの間、アデレードと赤ん坊のカイルちゃんに会いに、子供たちを連れて遊びに行ったの。その時、アデレードが、サイモンともう一人子供を作ろうかと考えているって言ったのよ」
エドワードは眉をひそめ、「アデレードに悪気があったわけじゃないってことは、わかってるよね?」と言った。
「わかってるわ。彼女も自分の発言に気づいてすごく気まずそうにしていたから、悪気がないことはわかっていると伝えて安心させてあげたの」彼女はため息をつき、こう続けた。「それでも……」
あまり知られていない事実として、上級職超力者の子供を妊娠することは女性の体に甚大な負担を強いるため、もし上級職の子供を二人出産すれば、二度と子供を産めなくなるということがあった。ローランとアンドリューが超力者であることは疑いようがなかったが、彼らが上級職であるかどうかを確実に判断する術はなかった。通常、その能力の証である「サイリック・シールド」が発現するのは思春期になってからだからだ。とはいえ、エドワードとヘレンの双方が上級職超力者であったため、ローランとアンドリューもまた上級職である可能性は極めて高かった。
「おい、何が起こるか分からないぞ。この二人が上級職だとは限らないだろう」エドワードはそう言いながら、アンドリューの頭をポンポンと撫でた。
「彼らがそうだってことは、あなただってよく分かっているはずよ」ヘレンは言った。「まだ『サイリック・シールド』は発現していないかもしれないけれど、上級職なら近くに同類がいる気配を必ず感じ取れるものだわ。うちの子たちは、間違いなく上級職よ」彼女は椅子に深く寄りかかり、再びため息をついた。「双子を妊娠していると分かった時点で、このことについてはもう覚悟を決めていたつもりだったんだけど」
エドワードは少し黙ってから言った。「なあ、養子を迎えるっていう手もあるんじゃないか?」
「養子?」ヘレンは顔を輝かせた。「ええ、それも選択肢の一つね。私自身、養子として育ったのに、どうして今までその考えに至らなかったのかしら」
「よしっ!」エドワードは満面の笑みを浮かべた。「それは後で検討しよう。でも今のところ、うちの息子たちは人生初のクリスマスを祝う準備ができていると思うよ。」
***
ナイツレストは小さな町で、パインシャックル・フォレストのキャンプ場やハイキングコース、毎年恒例の氷の彫刻祭、そして世界的に有名な聖アヴィントン私立学園があることで知られていた。そのため、町にある孤児院は一つだけで小規模なものに過ぎず、里親制度に引き渡される前に孤児がそこに長期間とどまることは稀だった。そうした事情もあり、エドワードとヘレンはクリスマスの翌日にこの孤児院を訪れてはいたものの、まだ本格的に養子縁組の手続きを始めようとしていたわけではなかった。
「当院では、子供たちを長期間お預かりすることはめったにないんです」と、孤児院の院長は言った。「現在いるのはたった一人で、その子もここに来てまだ一週間ほどなんですよ」。院長に案内されて入った保育室には、ベビーベッドが一つ置かれており、その中では小さな女の子の赤ちゃんが眠っていた。「この子がリアンナです」と院長は言った。
「まあ」とヘレンは息を呑んだ。「なんて美しい子なんでしょう」
それに応えるかのように、赤ん坊のリアンナが目を覚まし、泣き出した。だが、ヘレンがベビーベッドにそっと手を差し伸べると、彼女は落ち着きを取り戻した。リアンナがヘレンの指をぎゅっと握りしめると、ヘレンの心はとろけるような思いだった。「こんにちは、愛らしい子ね」と彼女は囁いた。
「あの、エカルドさん」と院長が言った。「念のため申し上げておきますが、養子縁組の手続きには数ヶ月、あるいは一年かかることもあります。ですから、このリアンナちゃんにあまり情を移すことはお勧めできません。審査を通過する頃には、彼女はもう別の家庭に引き取られている可能性が高いからです。実のところ、すでに養子縁組の審査を終え、リアンナちゃんの引き取りが承認される見込みの別の夫婦がいらっしゃるのです。彼らは今日の遅い時間に面会に来ることになっています」
ヘレンは胸が沈むのを感じた。リアンナの姿を見た瞬間、彼女はすっかりその子に心を奪われていたのだ。自分たちと一緒に家に連れて帰れる可能性は低いという事実に、胸が張り裂けそうだった。それでも、自分とエドワードが審査を終えるのを待たせるためにリアンナを孤児院に留め置き、愛情あふれる家庭で育つ機会を奪うようなことはしたくなかった。リアンナには、一刻も早く温かい家族が必要なのだ。だが、リアンナについてエドワードと話し合っておきたいことが、もう一つあった。
「ええ、承知しました。失礼します」とヘレンは言い、保育室の入り口へと向かった。そこではエドワードが、ベビーカーで眠るローランとアンドリューと共に待っていた。「リアンナちゃんは、上級職超力者だと思うの」と彼女は彼に囁いた。
「ああ、僕もそんな気がするよ」とエドワードも囁き返した。
「わがままに聞こえるかもしれないけれど、もう一方の夫婦が到着するまで、もう少しここに残ってもいいかしら? 自分の目で確かめておきたいの。彼らに上級職の子の親が務まるかどうかを」
「ああ、それなら問題ないよ」
そのため、ヘレンとエドワードは孤児院の駐車場で、別の車が入ってくるまで1時間ほど待っていた。車から降りてきた人物を見て、ヘレンはひどく驚いた。それは、眼鏡をかけ、灰色の瞳をし、明るい茶色の髪をゆるくお団子にまとめた、美しくも厳格な印象を与える若い女性だった。
「チェルシー?」
その女性――チェルシー・ローズウォーター・ケリス――は驚いて顔を上げ、ヘレンを見つめた。「ヘレン?」と彼女は声を上げた。「それにエドワードくん? 二人とも、ここで何をしているの?」
「それはこっちのセリフよ」とヘレンは言った。「チェルシー、あなたが養子を迎えたいなんて思っていたなんて、知らなかったわ」
チェルシー・ローズウォーター・ケリスは、聖アヴィントン校時代のヘレンとエドワードの同級生であり、友人だった。ヘレンが生徒会長を務めていた頃には副会長も務めていた人物だ。彼女は非常に厳格で責任感が強いことで知られていたが、その一方で、当時夢中になっている小説、漫画、アニメ、あるいはゲームについて、突然熱っぽくまくし立てるような一面もあった。それでも、長年の付き合いの中で、ヘレンはチェルシーを「家庭を持ちたいと願うタイプ」だと思ったことは一度もなかった。彼女が地元の保安官ロバート・ケリス(今まさに車の反対側から降りてきた人物だ)と結婚した際も、それは同じだった。
「ええ、そうなんです」とチェルシーは言った。「ニューヨーク州の司法試験に合格できたので、ニューヨーク市でも指折りの法律事務所にアソシエイト弁護士として加わることになりました。ロバートのNYPD(ニューヨーク市警)への転属も承認されましたし。新しい土地で生活を始めるにあたって、そろそろ自分たちの家族を持とうと決めたんです」
ヘレンは眉をひそめ、「じゃあ、本当にニューヨーク市へ引っ越すのね?」と尋ねた。
「ええ、そのつもりです」
「こっちとしては寂しくなるな」とエドワードが言った。「幸運を祈るよ、チェルシーさん、ロバートさん」
「ありがとう、エドワードくん」とロバート・ケリスは少しそっけなく言った。
ヘレンはため息をつき、「まあ、チェルシー、あなたのことは信じてみることにするわ」と言った。
チェルシーは眉をひそめ、「信じてみる、ですか?」と聞き返した。
「何でもないわ」とヘレンは言った。「新しい仕事と、これから迎える養子縁組、おめでとう。寂しくなるわね」
「ちょっと待って」とエドワードが声を上げた。「それじゃあ、ボルスワース保安官代理が保安官になるってことか?」彼は顔をしかめ、「あの男は好きじゃないんだな」と言った。
***
結局のところ、エカルド夫妻は養子を迎えることを断念した。リアンナにすっかり心を奪われていたヘレンは、他の子供を家族に迎え入れるのは間違いだと感じていたのだ。他の子を愛せないと疑っていたわけではない。ただ、リアンナほど深く愛することはできないだろうと感じており、それでは養子として迎えられる子供に対して不公平になると思ったからだ。その代わり、エカルド夫妻は金銭的な寄付を通じて孤児院を支援することを約束し、リアンナはケリス家に養子として迎えられることになった。
ケリス家がニューヨークへ引っ越すまであと数ヶ月となっていたため、ヘレンはそれまでの間、両家でできるだけ多くの時間を過ごそうと提案した。そうした経緯で、ある早春の日、両家はエカルド家のリビングに集まっていた。ヘレンとチェルシーがリビングのベビーサークル内でハイハイする赤ん坊たちを見守る中、エドワードは自分とロバートのために飲み物を取りに行っていた。
「たぶん、5年後くらいにはナイツレストに戻ってくることになると思うわ」とチェルシーが言った。
「本当に?」ヘレンは少し興奮気味に声を上げた。我に返って咳払いをし、落ち着いた声でこう続けた。「本当? どうして?」
「リアンナを聖アヴィントン校に通わせたいからよ」とチェルシーは言った。「あの学校は私にとって、とても大切な場所なの。私たち全員にとってね。私たちが学生時代に経験したような素晴らしいことを、リアンナにも経験してほしいのよ」
ヘレンは顔をほころばせ、「それは楽しみな話ね」と言った。
「本当にそうだな」リビングに入ってきたエドワードが言った。彼はベビーサークルの中を覗き込み、笑い声を上げた。「あれを見てごらんよ」
ヘレンとチェルシーもベビーサークルの中を覗き込んだ。アンドリューが何一つ心配事などない様子でハイハイして回る一方で、ローランとリアンナは明らかに互いに強く惹かれ合っているようだった。実際、ローランの動きを見ていると、まるでリアンナを守るような位置取りをしているかのようにさえ見えた。
「まあ」ヘレンは嬉しそうな表情を浮かべて言った。「なんて可愛らしいのかしら。これから二人の関係がどうなっていくのか楽しみね」
どうでしたか?楽しめましたか?次回からは第三章の始まりです。お楽しみください。




