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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第二章 ミストカリアの王女

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第二十六話 二刀流の王女

引き続き、第二章です。お楽しみください。

 アンドリューは円盤投げの要領で「笠」を放り投げた。明らかに「シールド・エクステンション」の技が施されていたその笠は、最後まで立っていた数人の衛兵の一人を完全に吹き飛ばした。笠が右手に戻ってくるとアンドリューは即座にそれを頭に戻した。「よし、これで中庭の制圧はほぼ完了だ」と彼は言った。「次は宮殿本体だな」


 アンドリュー、トビー、そして退屈そうな様子のアンジェリカは、ついに宮殿本館の正面入り口にたどり着いた。アンドリューとトビーが扉を押し開け、三人は中へと足を踏み入れた。エントランスホールに入ると、彼らは大階段の頂上で待ち構える「昇星の評議会」の裏切り者たち――リッテンハウス侯爵、ウェルズワース伯爵、ハンプトン子爵――と遭遇した。


「へえ? もし俺たちが自力でエンデクライオン騎士を倒せたら、正式な『シャドウ・ストーカー』に昇格できると思うか?」ハンプトンは薄笑いを浮かべながら言った。


「そうかもしれないが、今はそれが重要ではない」リッテンハウスは無表情のまま言った。彼はレイピアを抜き放ち、こう続けた。「単に、エンデクライオン騎士を相手に自分の腕がどこまで通用するか試してみたいだけだ」


 ウェルズワース伯爵は何も言わなかった。ただ指の関節を鳴らしながら、不敵な笑みを浮かべるだけだった。


「はぁ、また厄介な連中がお相手ですわ。さっさと片付けちゃいたいですわね」とアンジェリカは不満げに呟いた。


「おい、そんなに棘(とげ)のある言い方しなくてもいいだろ」とアンドリューは言った。「裏切った評議員たちとはいずれ決着をつけなきゃならなかったんだ。今のうちに済ませておくのが得策さ」彼は「霞(かすみ)」の構えで剣を構えた。「それと、トビー」


「はい、なんですか?」


「僕たちに気を使って手加減する必要はないよ。思う存分、Sモードであの連中をいたぶってやれ」


 トビーはニヤリと笑い、その顔には狂気と残虐さが入り混じった表情が浮かんだ。「ハッ! 言われなくても俺はそうするさ!」

 

***


「離して!」リアンナは叫んだ。ジラスは彼女を宮殿で最も高い塔へと引きずり上げ、そのまま彼女の寝室へと押し込んだ。部屋に入るとすぐに彼は背後の扉に鍵をかけた。


「さて、王女様。今、君には選択肢がある」彼はそう言いながら、上着を脱ぎ捨てた。「抵抗するか、それとも素直に従うかだ。個人的には抵抗してほしいところだが、素直に従ってくれるなら文句はない」ジラスが威圧的な様子で近づいてくる中、リアンナは壁に追い詰められるまで後ずさりした。しかし、ジラスが間近に迫ったその瞬間、リアンナは反撃に出た!


 リアンナがスカートの下からローランに渡されていた大きな短剣を取り出したとき、ジラスは不意を突かれた。その短剣はずっと左脚に隠されていたのだ。彼女が短剣を振り上げるとジラスは辛うじて後ろへ身をかわした。同時に、リアンナは空いていた右手で、ジラスの腰に帯びていたレイピアの一本を奪い取った。そして、ジラスが呆気にとられている隙に急いで扉の方へと向かった。


「くっ!だめね」扉が完全に施錠されているのを見て、彼女は嘆いた。さらに、手にしたレイピアが間違ったものだと気づき、「うぅ、間違えた!」と呟いた。本来の計画では、電磁パルス発生装置が取り付けられたジラス自身の剣を奪うはずだったのだ。あいにく、彼女が間違えて掴んだのはフォン・クロフトのレイピアだった。彼女はジラスを睨みつけながら「ったく」を口にした。


 どの剣を掴んだにせよ、逃げ道がない以上リアンナは戦うことを選んだ。彼女はレイピアの切っ先を床に突き立てると短剣を使ってウェディングドレスのスカートの裾を切り裂いた。その間も、ジラスから一瞬たりとも目を離さなかった。そして、切り取った布切れで髪を高い位置でポニーテールに結い上げた。さらに、裸足の方が動きやすいと判断しハイヒールも脱ぎ捨てた。準備を整えると、リアンナは右手にレイピアを突き出し、左手には短剣を高い位置で構えた。


「隠し持つ短剣にしては、それは大きすぎるな」ジラスはその短剣に視線を釘付けにしたまま言った。「パリングダガーか? それともマン・ゴーシュか?」彼は鼻で笑うと、彼女の方へ歩き出した。「抵抗してほしくはあると言ったが、まさかここまでやるとはな――」リアンナがレイピアの切っ先を真っ直ぐ自分に向けたのを見て、ジラスは足を止めた。彼は目を細め、こう言った。「なるほど。それなら、少しお灸を据える必要がありそうだな」


 ジラスは剣を抜き放ち、電磁パルス発生装置を起動させた。左手にレイピアを無造作に構えたまま、彼は気だるげにリアンナの周囲を回り始める。リアンナもまた、警戒を怠らずに彼との間合いを保ちながら、円を描くように動いた。「忠告しておこう、王女様。数日前の手合わせで、あなたの実力はおおよそ把握している。君は優秀だ。だが、私には勝てない。ましてや、私は今こうして左手で戦っているんだからな――」そう言いながらジラスが斬りかかると、リアンナは短剣でその一撃を受け流し、同時にレイピアで突きを繰り出した。


「何だと?」ジラスはレイピアの突きを、身をかわして避けた。彼は目を細め、怒涛の連撃を浴びせたが、リアンナは短剣でそのすべてを受け流し、さらに剣で反撃を加えてくる。その反撃はジラス自身がかろうじて受け流せるほどの鋭さだった。リアンナの動きが以前とは全く異なっていることに、ジラスが気づき始めたのはその頃だった。以前の手合わせでは、リアンナは定石通りの動きで、正統派のフェンシングの試合のように戦っていた。しかし今は、まるで……踊っているかのような動きを見せている。よく見れば、リアンナの動きは、クリスマス舞踏会でローランと踊ったダンスのそれと酷似していた。

 

***


 ローランとカイルは、行く手を阻(はば)む衛兵たちを次々と退けながら、必死の思いで塔を駆け上がっていた。


「リアンナは大丈夫かな?」カイルはそう言いながら、爪で衛兵の剣を弾(はじ)き飛ばし、そのまま蹴りを見舞ってその衛兵を壁に叩きつけた。


 ローランは回し蹴りで三人の衛兵を気絶させた。「少なくとも数分は持ちこたえるはずだ」彼はそう言ったが、その言葉はカイルを安心させるためであると同時に自分自身に言い聞かせているようでもあった。「『予備の策』として使えるように、マン・ゴーシュを渡しておいたからな」


「マン……ゴーシュ……?」カイルは二人の衛兵の頭を互いにぶつけ合わせながら言った。「それって……あの、受け流し用の短剣のことか?」


「その通り!」ローランは空手の「鶴空(カクウ)の型」の動きで衛兵を制圧しながら答えた。「彼女がそもそもフェンシングを始めたきっかけ、覚えてるか?」


「もちろん」カイルは一人の衛兵を別の衛兵に投げつけながら言った。「子供の頃によく見てた古いアニメ、『双剣のケン』の主人公に憧れてたんだよな」


「そうそう!」ローランは炎を纏った拳(こぶし)でまた一人、衛兵を気絶させた。「競技フェンシングでは二刀流が認められていないから、そのスタイルは諦(あきら)めざるを得なかったんだ。でも、いざという時に彼女が好むスタイル、つまり彼女にとっての真のスタイルは、レイピアとマン・ゴーシュを操る二刀流スタイル」

 

***


 窮地にありながらも、リアンナは思わず笑みをこぼした。「ああ、ついにまた、私の好みのスタイルで戦えるなんて」と彼女は言った。「このスタイルで戦うのは久しぶりだわ。高校の試合で二刀流が禁止されているのは本当に気に入らないもの」


 リアンナはジラスに向かって目にも留まらぬ速さで刃を繰り出した。その動きは優雅で美しく、まるで流れる水のようだった。二本の刃がリズミカルに一体となって舞い、彼女自身も軽やかに旋回する様はまさにダンスそのもの。ジラスは、その猛烈な刃の連撃をかろうじて受け流すのが精一杯だった。


 ジラスは、数日前の決闘の後にリアンナと交わした会話を思い出していた。


(「それでも、実に良い試合でした」とジラス卿は応じた。「ただ、お嬢様。試合中、どうしても感じていたのですが……あなたはどこか、手加減をしていたのではありませんか?」


 リアンナはしばらくジラス卿を見つめた後、ようやく口を開いた。「ええ、単に私の好みではない戦い方をしているだけよ。それだけのこと」)


「なるほど、それが君の言う『好み』というわけか」彼は唸るように言った。「よろしい、姫君。ならば、我が剣技の極致をもって君を打ち倒し、力ずくで屈服させてみせよう!」

みなさん、どうでしたか?もし面白いと思いましたらどうか応援してください。

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