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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第二章 ミストカリアの王女

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第二十四話 エンデクライオン騎士団、出動!

引き続き、第二章です。お楽しみください。

 舞踏室の外で、メレディスは茂みの陰からそっと顔を覗かせた。逃げるのではなく、友人たちの身に何が起こっているのかを知るために、もう少しだけ残ることを主張したのだ。彼女は受付で起こったことをすべて聞いてしまった。


「ええと…メレディスさん…でしたっけ?」茂みから顔を出したルム男爵が言った。「ご心配なのは分かりますが、サーラさんにエンデクライオン城へお連れすると約束したので。」メレディスが動こうとしないのを見て、彼は続けた。「ここに留まることはできません。カオジェンに見つかったら、サーラさんがこれまで戦ってきたことが全て無駄になってしまいます。今すぐ行かなければいけません!」


 メレディスは深呼吸をして頷いた。「はい、お願いします」彼女は言った。「エンデクライオン城へお連れください」

 

***


「さあ、これを飲んで。」エリザベスはメレディスにコーヒーを差し出した。「少し温まるでしょう」


「ありがとう」とメレディスはカップを受け取りながら言った。


 時刻は午前5時。彼女はエンデクライオン城の厨房にある暖炉のそばに座っていた。防寒のために毛布にくるまっていたものの、メイド服はそのままだった。瞳の色を隠すためにかけていた眼鏡も外していたので、エメラルド色の瞳が炎の光にきらめいていた。他の騎士たちは皆、座ったり立ったりして彼女を取り囲んでいた。


 メレディスは隠れ場所から聞いたことをすべて説明した。ジラス卿がモルガナ・ブラックハートと組んだシャドウ・ストーカーであること、昇星の評議会の大多数がカオジェンに加わったこと、フォン・クロフト公爵が暗殺されたこと、そしてカオジェンがサーラ、エヴァンテイル侯爵、デュ・フレイン伯爵令嬢を人質に取り、リアンナをジラスと結婚させようとしていること。


「あの男、エイドリアン・ジラスは、私を怖がらせるわ」とメレディスは言った。「今まで会った他のカオジェンとは全く違う種類の恐怖よ。彼がリアンナに言った恐ろしい言葉の数々…」メレディスは言葉を詰まらせ、身震いした。


 ローランは何も言わなかったが、燃えるような赤色に染まった瞳が彼の今の感情を雄弁に物語っていた。彼はただ立ち上がり、厨房から出て行った。「僕が彼と話してくるよ」とアンドリューは言い、兄の後を追った。


「無事に抜け出せて本当によかった」とカイルは言った。「ああ、サーラやリアンナのことがすごく心配だ。でも、君が逃げ出せたことには、どうしても安堵してしまうよ」


「ルム男爵のおかげよ」とメレディスが言った。


 そのルム男爵は、テーブルの一つに座っていた。「サーラさんに頼まれたからこそ、できたことですよ」と彼は言った。「ああ、自分がひどく愚かに思えてきます。実は僕、下級職(ローレベル)でして……」


「下級職(ローレベル)だって?」カイルが言葉を遮った。他の騎士たちが彼をじろりと見ると、彼は気まずそうに言った。「ああ、わるい。ミストカリアの貴族はみんな上級職(ハイレベル)なんだとばかり思っていたよ」


「ほとんどの貴族は下級職(ローレベル)ですのよ」とアンジェリカが言った。「でも、そう思うのも無理はないですわ。王国の草創期には、貴族は全員上級職(ハイレベル)だったのですから」彼女はコーヒーを一口飲み、話を続けた。「女性が上級職(ハイレベル)の子供を二人産むと、二度と子供を産めなくなるという話は聞いたことがあるでしょう? 当然、上級職(ハイレベル)だけで構成された貴族階級はいずれ途絶えてしまうことになりますから、数を維持するために下級職(ローレベル)と結婚し始めましたの。その結果、今では貴族の間でも上級職(ハイレベル)は非常に珍しい存在ですのよ」


「だから、さっき言った通り、僕は下級職(ローレベル)なんです。それに僕の家は、いわゆる……何と言いましたっけ……成金? 男爵の位を得たのは一世代前のこと。実のところ、金で買ったんですよ」とルム男爵は続けた。「でも、そこが問題なんです。僕の家にはお金がある。有り余るほどのお金がね。『昇星の評議会』の席を買えるくらいのお金が。それでも僕は評議会のメンバーになればただの無知な金持ちのボンボン以上の存在として何かを変えられるんじゃないかと思ったんですよ」彼はため息をつき、両手で頭を抱えた。「評議会がどれほどに腐敗していたかようやく気づいたのはつい最近のことなんだ。この騒動が起きた時点で僕は辞任を決意していたんだ。でも僕にできたことといえばメレディスさんをあの場から連れ出すことだけだったんだよ。リア……王女様を救うことも、サーラさんを助けることもできなかったんだ」


「おい、お前は妹に頼まれたことをちゃんとやってくれたんだ。よくやったと思うぞ」とカイルは言った。


「ありがとうございます」とルムは言い、突然立ち上がった。「待ってください!あなたはサーラさんのお兄さん?えっと、こんにちは。アントワーヌ・ルムと申します。あ、でもサーラさんは僕のことを『アンソニー』と呼んでいたので、これからはそう呼んでもらおうと思います。それから、えっと、サーラさんのことですが…」


「どうして急にサーラのことばかり話すんだ?」とカイルはルムを疑わしげに見つめながら言った。「それに、サーラがお前のことを『アンソニー』と呼んだって、どういう意味だ?」


「ハイハイ、わかったから、今は過保護な兄貴ぶる必要はないわ」とエリザベスは言った。「今は可哀想な彼をそっとしておいてあげて。サーラたちを救出した後で好きなだけ尋問すればいいわ」

 

***


 アンドリューはエンデクライオン城の最も高い塔の上でアルクス・レガリウスの明かりを眺めているローランを見つけた。時刻は午前5時を回っていたが、12月ということもあり、外はまだ暗かった。「何を考えているんだい?」とアンドリューが尋ねた。


「あれは間違いだったと思うか?」とローランは問いかけた。「リアンナをここに連れてくる機会があったのに、アルクス・レガリウス宮殿に残したこと。サーラとメレディスを彼女のそばに送ったこと。そして、ブラックハートと彼女と同等の力を持つ別のシャドウ・ストーカーがこの騒動の黒幕かもしれないと疑い始めた後も、彼女たちをあそこに残したことを」


「自信を持って答えられることじゃないな」とアンドリューは言った。


 ローランはため息をついた。「先月、俺は取り返しのつかない事態を招きかねない重大なミスを犯したんだ」と彼は言った。「ジェイムソン・カーンは強烈な自尊心の塊だからプライドが高すぎてソランやブラックハートといった大物シャドウ・ストーカーに助けを求めるような行動は見せないだろうと高を括っていた。ところが蓋を開けてみれば、奴はソランを呼び寄せ、俺たちはあわや破滅という事態に陥った。そして今度はブラックハート、それにジラスだ。あらゆる証拠がジラスも彼らと同等のシャドウ・ストーカーであることを示唆している。それなのに、彼らの関与が疑われる状況下で、俺は彼女たちをいわば『ライオンの巣窟』に残してしまった。ああ、なぜ俺はいつもこうなんだ?」


「確かに、アルクス・レガリウス宮殿に残すのではなく、少なくともリアンナをエンデクライオン城に連れてくるのが最善の策だったかもしれない。でも兄さんは、長期的な視点に立てば、リアンナをあそこに残して誘拐事件の根本的な原因に対処させるのが最善だと判断したんだ。それに、彼女をあそこで一人にしたくなかったからサーラとメレディスを付き添わせたんだろう」アンドリューはローランの背後に座り、反対側を向いた。彼は膝に肘をつき、組んだ手に顎を乗せた。「カイルからも聞いたよ。君が彼にメレディスを『氷の彫刻祭』へ連れて行かせたのは、彼女を24時間ずっと本部に閉じ込めておきたくなかったからだってね」彼は空を見上げ、こう言った。「なあ、ローラン兄さん。僕は、兄さんは騎士団長という役職には少し繊細すぎるんじゃないかと思うことが時々あるんだ。リーダーに求められるような冷徹で厳しい決断を下すために必要な『感情の切り離し』が兄さんにはどうしてもできないんだ」


「まあ、どうもありがとう」とローランは皮肉っぽく言った。


「だが、僕たちの師匠が君に騎士団長の称号を譲ったのには理由があるんだ」とアンドリューは立ち上がりながら言った。「兄さんならできると信じていたからだ。僕もそう信じている」彼は下を指さし、「そして、他の皆もそう信じている」と付け加えた。


 ローランが振り返ると、他の騎士たちが皆彼らの周りに集まっていた。


「団長、我々は皆、準備万端で命令を待っています」とトビーは笑顔で言った。


「怪我のことは心配しないで。私が皆の手当てをするから」とエリザベスは言った。「でも、あまり怪我をしないようにね」


「さあ、行こう。サーラとリアンナが待っている」とカイルは言った。


「私は戦えないことは分かっている。でも、リアンナとサーラを助けるためにできることがあれば、何でもするわ」とメレディスは言った。


「私って本当に夜型タイプなのですわね。でも、これは緊急事態でございますから、私もお手伝いしましょう」とアンジェリカは言った。


 ルム男爵もそこにいて、「えっと、何ができるか分からないけど、何かお手伝いできることがあれば」と言った。


「では、団長」とアンドリューは兄にニヤリと笑いかけながら言った。「ご命令を」


 ローランもニヤリと笑い返した。彼は立ち上がり、指の関節を鳴らした。「エンデクライオン騎士団、準備しろ。結婚式に潜入するぞ」


 ちょうどその頃、太陽が昇り始めていた。

みなさん、どうでしたか?もし面白いと思いましたらどうか応援してください。

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