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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第二章 ミストカリアの王女

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第二十三話 脱走の試み

引き続き、第二章です。お楽しみください。

 ジラスの言葉を聞いてリアンナは青ざめたが、「まさか、そんなことをする気!?」と声を上げたのはシャルロットだった。


「なぜいけない? それこそ貴族が目指すべき最高の栄誉ではないか」とジラスは言い、シャルロットは彼を睨みつけた。


 その時、エヴァンテイルが突然隣にいた衛兵に襲いかかり、叫んだ。「シャルロット! 王女様を連れて逃げろ――ぐっ!」 衛兵の一人が彼の膝の裏を蹴り、地面に組み伏せた。


「ジェラール!」シャルロットが叫ぶ。


「彼女を連れて……うっ……行け! ああッ!」 衛兵や一部の従者たちがエヴァンテイルを殴打し始めた。シャルロットは彼を置いていくことにひどく抵抗を感じている様子だったが、それでもリアンナの手を取り、走り出した。


 彼女たちの行く手を阻んだのは、女剣士たち――シャルロットの部下だった。シャルロットは剣を抜き、彼女たちを睨みつけた。「お前たちの忠誠心は、最初からそちらにあったというのか?」と彼女は吐き捨てるように言った。


 女剣士たちは無言のまま剣を抜き、シャルロットに襲いかかった。剣の腕前ではシャルロットが明らかに勝っていたが、相手の数が多すぎた。絶え間ない猛攻に、彼女は次第に圧倒され始めた。


「シャルロット!」リアンナが叫ぶ。


「殿……下……お願い……逃げ……ああっ!」 激しい打撃を受けていたシャルロットだったが、その時――


「やあ!」金髪のメイドが突然、一人の女剣士の肩に飛び乗りその首を両脚で挟み込んだ。そのまま体をひねり、彼女を地面へと叩き伏せる。他の女剣士たちが反応する間もなくメイドは別の女剣士の腹部に連打を浴びせ、そのまま相手の頭を自身の膝に叩きつけた。さらに別の女剣士の顔面に肘打ちを食らわせ、間髪入れずに裏拳(うらけん)を叩き込む。「ああ、ようやく私と同じ体重別階級の相手に出会えたわ」と彼女は言った。


 メイドに敵の注意が逸(そ)れている隙に、シャルロットは体勢を立て直し、最後の女剣士を打ち負かした。とどめとして、剣の柄を相手の顔面に叩きつけたのだ。「最近のメイドって、みんなあんなに素手での戦闘に長けているものなのか?」と彼女は言った。


「サーラ!」リアンナが嬉しそうに声を上げた。「本当に、会えてよかったわ!」


「メイドがいつからあんな動きをできるようになったんだ?」ハンプトン子爵が問い詰めた。


 ブラックハートは目を細めてサーラを観察した。「そのメイドの外見に騙されてはいけません」と彼女は言った。杖をサーラに向け、こう宣言する。「あれは……エンデクライオンの騎士です」


「バレちゃった」とサーラは言った。彼女は手を叩き、「お喋りはそこまで、さっさと動いて。行くわよ!」と告げた。


 三人は脱出を開始した。「メレディスには先にエンデクライオン城へ逃げてもらったわ」とサーラは説明した。「それから、アンソニー…ルム男爵に彼女を護衛してもらうよう頼んだわ。それでよかったと思う?」


「ルム男爵?」とリアンナが尋ねた。「ええ、彼は信頼できる人よ。メレディスは彼と一緒なら安全だわ」彼女は少し間を置いて言った。「待って、今、彼のことを『アンソニー』って呼んだ?」


 三人はすぐに舞踏室の受付エリアに入ったが、そこは宮殿の衛兵と信徒で埋め尽くされていた。「うーん、また私よりずっと大きな男たちと戦うのね」とサーラはぶつぶつ言った。「一人か二人なら何とかなるけど、私よりずっと重い男が何人もいるなんて?いつも苦労するわ」彼女は動きやすくするためにスカートの裾を引きちぎった。「このドレス、気に入ってたのに」と彼女は嘆いた。


「出口はあそこよ」とシャルロットが言った。 「街に出れば、奴らを振り切ることができる。そうすれば、エンデクライオンと連絡を取る方法を見つけられるはずだ。」


 リアンナは以前倒した剣士たちの剣を拾い上げ、出口に向けて「行くわよ!」と叫んだ。


 3人の若い女性は階段を駆け下り、敵は彼女たちに向かって階段を駆け上がってきた。階段の上では彼女たちに有利な状況が続いていた。狭い階段で戦う敵は体勢が崩れており、彼女たちは高所を取っていたのだ。リアンナとシャルロットは熟練の剣技で敵を寄せ付けず、サーラは武術の技を駆使して一人一人を丁寧に倒し、できる限り多くの敵を階段から突き落とした。しかし、階段を下りきったところで事態は一変した。受付エリアは広い空間になっており、3人はすぐに衛兵と信徒たちに囲まれてしまったのだ。


 シャルロットはなおも善戦していたが、ふと視界の端に何かを捉えた。エヴァンテイル侯爵が衛兵の一人に人質に取られていたのだ。彼は両腕を縛られ、口には猿ぐつわを噛まされていた。その体には打撲や出血の跡があり、激しい暴行を受けたことがうかがえた。もし彼が上級職超力者(ハイレベルサイリック)でなければ、命を落としていてもおかしくないほどの惨状だった。エヴァンテイルが「逃げろ」とばかりに首を横に振ったにもかかわらずシャルロットは一瞬ためらいを見せた。そのわずかな隙を突かれ、彼女は敵に圧倒され組み伏せられてしまった。


 サーラの状況も同様に厳しかった。彼女は実力者ではあったが、自分より体格で勝る相手との戦いには常に苦戦を強いられてきた。おまけに、いつものエンデクライオン騎士の装束ではなくメイド服姿で素手での戦いを余儀なくされていたのだ。やがて多勢に無勢となり、彼女もまた敵に押し伏せられてしまった。


「サーラ! シャルロット!」とリアンナが叫んだ。彼女もいくら剣の腕が確かでも限界はあった。リアンナもまた複数の王宮衛兵に刃を向けられ壁際へと追い詰められていった。


 ジラスはゆっくりと拍手をしながら受付エリアに入り、続いてブラックハート、リッテンハウス、ハンプトン、ウェルズワースが続いた。「実に勇敢で、見応えのある試みでしたよ、殿下」とジラスは言った。「しかし、結局は無駄に終わりました。さあ、降伏して私に服従することをお勧めします。」


「エンデクライオン騎士団があなたをこのまま見逃してくれるとでも思っているのですか?」とリアンナは低い声で言った。


「ああ、騎士団といえば、あなたは舞踏会でエカルド騎士団長とかなり親密な様子だったのを覚えていますよ」とジラスは言った。「彼が酒を飲んだ時、あなたは彼の名前で呼んだと記憶しています。」


「それで、それがどうしたというのですか?」とリアンナは視線をそらしながら尋ねた。


「まあ、それほど驚くことではないでしょう。あなたたち二人はナイツレスト出身ですからね」とジラスは言った。「それで、エンデクライオン騎士団が私をこのまま見逃してくれると思っているかって?もちろんそんなことはありません。むしろ、彼らの反応を期待しているのです。」彼はリアンナをじっと見つめ、「もしあなたとエカルド騎士団長の関係が私の推測通りなら、あなたを私のものにする時に彼が証人になってくれたらなおさら面白いだろう」と言った。


 リアンナはその言葉に恐怖で口をあんぐりと開けた。しかし、最初に叫んだのはサーラだった。「この変態野郎…」と言いかけたところで、信徒が彼女の顔を床に叩きつけた。


「変態?何がそんなに変態なのだ?」と、サーラの言葉に心底困惑した様子でジラスは言った。「私はすでに多くの平民の女や、下級貴族の女たちを自分のものにしてきた。貴族としての権利ではないのか?」彼は少し間を置いてから、「とはいえ、王女のような高位の人物を自分のものにするのは初めてだろうが」と言った。サーラは彼を睨みつけ続けた。


「気をつけなさい」ブラックハートはサーラを見下ろしながら言った。「その可愛い顔にこれ以上傷をつけたくはないでしょう?」ブラックハートは言葉を切ると、膝をつき自分を睨み返すサーラの顔をじっくりと観察した。「あら、これは驚きね」彼女は声を上げた。「サーラ・サンダースじゃない!」


「エッグゼービエル・ソランを倒した、あの新人騎士の兄妹の一人か?」ジラスが声を上げた。「なるほど、それは確かに驚きだ。長年の我が真のライバルだったあの男がこんなか弱い花のような娘に敗れたとはね――」ジラスはサーラの顔を撫でようと身を乗り出したが彼女が噛みつこうとしたため、慌てて手を引っ込めた。「いや、案外か弱くはないのかもしれないな」彼は立ち上がり、クスクスと笑った。「それにしても、ソランのことを考えるとフォン・クロフトがいかに妄想に取り憑かれていたかがよく分かるよ」


「一体何を企んでいるの?」リアンナは唸るように言った。


 ジラスはリアンナの方へ歩み寄り、「殿下、警告しておきます。エッグゼービエル・ソランを倒した騎士の一人を狙っている信徒は大勢います。私も興味があります。しかし、もし我々に協力していただけるなら、彼女とエヴァンテイル侯爵、そしてデュ・フレイン嬢は、少なくとも結婚式までは無事でいられるよう手配しましょう」と言った。


 サーラは捕らえられた者たちに抵抗した。「だめ!リアンナ!聞かないで――」彼女の言葉は、信徒の一人が再び彼女の顔を床に叩きつけたことで遮られた。


 リアンナは永遠にも思えるほど長い間ジラスを見つめていた。しかし、ついに、しぶしぶ剣を落とした。


「賢明な判断だ」とジラスは言った。彼は宮殿の衛兵や侍従たちの群衆の方を向き、「さて、カオス・ジェネレーションズの紳士淑女の皆様、祝宴は午後1時に執り行います。それまでゆっくりお休みください」と言った。


 居合わせたカオジェンの人々が歓声を上げる中、サーラは捕らえられた者たちに抵抗を続けた。しかし、リアンナの表情を見て彼女は動きを止めた。


 リアンナはまだ諦めていなかった。「予備の策」が残っていたのだ。

みなさん、どうでしたか?もし面白いと思いましたらどうか応援してください。

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