第十九話 騎士団長と王女
引き続き、第二章です。お楽しみください。
ローランは微笑みながらリアンナの方を向いたが、彼女の姿を目にすると思わず立ち止まった。リアンナは、肩を露出させた薄い水色のノースリーブの舞踏会用ドレスを身にまとっていた。そのドレスは後期ヴィクトリア朝様式で、白いバーサ・カラー(肩を覆う幅広の襟)があしらわれ、スカートはニュートラルなシルエットに白いバラの形の装飾が施されていた。彼女は白いリネンの手袋とダイヤモンドのイヤリングを身につけ、首にはペンダントを下げていた。長い髪はハーフアップにまとめられ背中へと優雅に流れていたが、顔周りにはいつものように愛らしい縦ロールがかかっていた。化粧は控えめながらも上品だった。頭上には王家のティアラが輝いている。それは伝統的に、王女が18歳になった時にのみ着用を許されるもので、中央にエメラルドが一つ埋め込まれたシンプルな銀の輪だった。
リアンナは「絶世の美女」とは見なされていなかった。どちらかと言えば「可愛らしい」タイプであり、中には「ただの地味な子」と評する者さえいた(もっとも、そう言ったのは主に学校の人気スポーツマンであるジョニー・カーソンが彼女に注目することに嫉妬した女子生徒たちだったが)。しかし、今ミストカリアの王女として公の場に立つその姿は驚くほど美しかった。
ローランは一瞬、我を忘れてリアンナに見とれてしまい、彼女が少し気まずさを覚えるほどだった。「エカルド騎士団長?」と彼女が声をかけた。
「おっと!」ローランはすぐに我に返った。「リアンナ王女殿下。またお目にかかれて光栄です」彼は彼女の前に跪いて一礼し、その手を取って口づけをした。「ご招待いただき、誠にありがとうございます」
ローランに手を口づけされ、リアンナは内心、胸の高鳴りを抑えられずにいた。だが表向きは穏やかな笑みを浮かべ、「エカルド騎士団長、私の方こそ、またお会いできて嬉しいです。こちらこそ、招待を受けてくださってありがとうございます」と応じた。
舞踏会場はたちまちささやき声と噂話で満ち溢れた。「本当に行方不明の王女様なのか?」「ついに王女様が戻られたのですか?」「こんなに長い間いなかったのに、王女様が戻られたのですか?」中には、数日前にフォン・クロフト公爵に剣術で挑み、打ち負かした「地味な娘」だと気づく者もいた。
ローランは他の3人の騎士を伴って満足そうな笑みを浮かべながらリアンナを舞踏会場のVIP席へと案内した。到着すると、リアンナはフォン・クロフト公爵の方を向き、「フォン・クロフト公爵、一体どうしたのですか?」と尋ねた。
「あ、あ、殿下、が、か、彼らを招待されたのですか?」と公爵は驚いた。
「ええ、そうです。何か問題でも?」
「な、何か問題でもですと?昇星の評議会に相談もせずにエンデクライオン騎士団をクリスマス舞踏会に招待するなど、とんでもないことをしたのですか?!」フォン・クロフトは明らかに憤慨して叫んだ。
「評議会に相談する必要があったのかしら? ミストカリアとエンデクライオンの間の亀裂は長すぎました。特にカオス・ジェネレーションズが脅威であり続ける限りは。だからこそ、私が和解の手を差し伸べるべく行動したのです。」
「殿下。このような物議を醸すような行動は…」
「王女として、私はこの王国に対する責任を負っています。だからこそ、この王国のためになると信じることを行うべきだと考えています。」リアンナは顔に笑みを浮かべながらも、その目は冷たく光っていた。「それとも、フォン・クロフト公爵は王女の役割はただの飾り物だと考えているのでしょうか? 群衆に微笑んで手を振り、台本を少し読むだけ。それがあなたの望みなのかしら?」フォン・クロフトは完全に言葉を失っていた。まるで初めてリアンナを真に見たかのように、彼は彼女をじっと見つめていた。ローランは、ある意味ではまさにその通りだったのだろうと思った。
ローランはこの機会に他の評議員たちの反応を素早く観察した。ハンプトン子爵とウェルズワース伯爵はフォン・クロフト公爵と同じくらい驚いていた。一方、ジラス卿は面白がっているようだった。リッテンハウス侯爵は無表情だったが、ローランは彼の顔の筋肉がわずかにぴくぴく動いているのに気づいた。ルム男爵はこの出来事にすっかり興奮していた。エヴァンテイル侯爵とシャルロット・デュ・フレインもまた、驚きの表情を浮かべていた。しかし、その驚きの中に、もう一つの感情が混じっていた。それは喜びだった。
エンデクライオン騎士団に招待状を送ったというたった一つの行動で、リアンナは昇星の評議会に対し、自らの立場を明白に示したのだ。彼女は彼らの政治的駆け引きの操り人形にはならない、と。
反論の言葉が見つからず、フォン・クロフト公爵は席に戻った。リアンナは振り返り、集まった人々に語りかけた。「ミストカリアの紳士淑女の皆様、突然の出来事をお許しください。しかし、ここはクリスマス舞踏会です。どうぞ、祝祭を続けてください。」
***
「さあ、あともう少しだけ」とサーラは言った。彼女は今、宮殿の塔の一つから頭を突き出していた。「あなたならできるわ!」
「言うのは…簡単だ…」と外から声が聞こえた。数分後、カイル・サンダースが窓から這い出し、床に倒れ込んだ。息を整えながら彼は言った。「今度…RJが『君なら塔なんて…簡単に登れる…』なんて言ったら…彼の…お世辞に…騙されないように…言ってくれ…」
「心配しないで、お兄ちゃん。ローランがお兄ちゃんをお世辞で汚い仕事をさせようとしないなら、私が代わりにお世辞してあげるわ」
「お前も黙ってろ」とカイルは立ち上がりながら言った。「それに、その変な格好は何だ?」彼はサーラが着ているメイド服のことを言っていた。
サーラは両手を腰に当て、足を一度踏み鳴らし、カイルにふくれっ面をした。「何が悪いの?可愛いと思うけど。」その時、メレディスが角から現れた。
「もう大丈夫。いつでも始められるわ。」と彼女は言った。
「メレディス!」カイルは叫んだ。彼はメレディスが着ているメイド服(サーラと同じタイプ)をじっと見つめ、恥ずかしそうにそわそわし始めた。「えっと…すごく似合ってるよ…いや…可愛い…というか…」
メレディスは恥ずかしそうに微笑んだ。「ありがとう。私も可愛いと思うわ。」
「ああ、なんて素晴らしい認識のずれでしょう。」サーラはうんざりした口調で両手を振り上げ、目をくるりと回した。そしてカイルとメレディスの背中を叩き、「さあ、行きましょう!急ぎましょう!任務があるのよ。」と言った。
***
「美しいお嬢様、もしよろしければ、私はエンデクライオン騎士団戦闘部隊長のアンドリュー・エカルドと申します。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あ…ええと…はい…あの…」シャルロットは少し困惑した様子だった。「私はシャルロット・デュ・フレイン伯爵令嬢です。殿下の護衛隊長を務めております。」
「光栄です」とアンドリューは言った。「もしよろしければ、これから私と…痛っ!痛っ!兄さん!」
「もういい加減にしろ」とローランはアンドリューの耳を引っ張ってテーブルに引き戻した。「仕事と快楽を混ぜんなよ。」
「これから予定されている計画の中で兄さんの方こそ仕事と快楽を混ぜる場面があるじゃないかい?」
「それは別だ」とローランは言った。「君が言ったように、計画の一部なんだ。」
テーブルに戻ると、リアンナとエリザベスは(サーラの予想通り)すぐに意気投合した。「嘘でしょ!『不滅のドクターの冒険』のDVDを全巻持ってるの?」と、リアンナは目を輝かせて尋ねた。
「現代版もクラシック版も、全部揃っているわよ。もっとも、クラシック版は今手に入る範囲で、だけどね」とエリザベスは言った。「私、『不滅のドクターの冒険』が大好きなの。子供の頃、いつも見ていたわ」
「私は現代版しか見たことがないわ。もっとも、その『現代版』だって、もう20年も前の作品なんだけどね」とリアンナは言った。「クラシック版もずっと見てみたいと思っていたんだけど、どこから手をつければいいのか分からなくて」
「よかったら、クラシック版のおすすめのエピソードを教えてあげるわ。私のDVDを貸してあげてもいいし」
「ありがとう。それ、お願いしようかな」
「ねえ、兄さん」とアンドリューは尋ねた。「王国主催の格式高い舞踏会の最中に、これって普通女の子二人がする会話なの?」彼はローランの方を向き、あることに気づいた。「待てよ、兄さん。緊張してるの?」
「はあ? 違うよ!」ローランは語気を強めて言った。だが一呼吸置くと、こう認めた。「……いや、実はそうなんだ」
「おい、この計画を考え出したのは兄さんだろ」とアンドリューは言った。「さあ、兄さんならできる。リアンナ相手だからって、怖気づいてはいけないよ」
「分かってる」とローランは言った。彼は深呼吸をして、「よし、行くぞ」と言った。
彼はリアンナの座っている場所へ歩み寄った。リアンナはローランの方を向いた。「エカルド騎士団長、何かご用でしょうか?」と彼女は微笑みながら尋ねたが、彼女の心臓は内心鼓動を速め始めていた。これが計画の次の段階なのだろうか?
「リアンナ王女殿下」とローランは言った。彼は彼女に手を差し伸べ、「このダンスを踊っていただけますか?」と尋ねた。
みなさん、どうでしたか?もし面白いと思いましたらどうか応援してください。




