第十四話 剣術勝負
引き続き、第二章です。お楽しみください。
リアンナはアントワーヌとシャルロットを伴い、人々が集まっている中央の中庭へと向かった。雪が積もっているにもかかわらず群衆のいる場所は暖かく保たれていた。つまり、彼らは自然発生的に集まったのではなく、何かを見届けるためにそこにいたのだ。やがて彼女は、その「何か」が剣の試合であることを知った。ベスト、リネンのシャツ、ブリーチズ(半ズボン)、ブーツ、そしてジャボ(胸元の飾り布)を身にまとった二人の男がレイピアを手に激しく打ち合っていたのだ。自身も熟練したフェンシングの使い手であるリアンナには二人の剣士が共に達人であることが見て取れた。金属の刃が激しくぶつかり合う中、二人は正確な動きで前後し、巧みに立ち回っていた。リアンナはすぐにその二人の剣士がフォン・クロフト公爵とジラス卿であることを認めた。
群衆の中にエヴァンテイル侯爵を見つけたリアンナは、彼の方へと歩み寄った。「これほど多くの人を集めるほどの重要な試合なのですか?」と彼女は尋ねた。
「おや、殿下……いえ、お嬢様」とエヴァンテイル侯爵は言った。リアンナの正体は秘密にされていたため、宮廷の人々の多くは彼女を「昇星の評議会」の特別客としてしか認識していなかったからだ。「今ここで繰り広げられているのは長年にわたるライバル関係の最新の一戦です。フォン・クロフト公爵とジラス卿は王国で最高の剣士二人です。しかし、フォン・クロフト公爵の方が常に優勢で、勝率は98勝0敗。今回が二人の間の99回目の試合なのです。群衆は、フォン・クロフト公爵が連勝を続けるのか、それともジラス卿がついに初勝利を収めるのかを見届けようとしているのです。残念ながら、今日もまた、風向きはフォン・クロフト公爵に味方しているようですが」
まるで合図でもあったかのように、フォン・クロフトがジラスに一撃を加え、勝利を収めた。群衆から歓声が沸き起こり、瞬く間にフォン・クロフトとジラスの周囲は若い貴婦人たちに取り囲まれた。彼女たちはフォン・クロフトの勝利を祝福したり、ジラスの健闘を称えたりしていた。
「ありがとう! 皆さん、本当にありがとう」とフォン・クロフトは言い、その称賛を明らかに楽しんでいた。彼は群衆の方を向き、こう言った。「皆さん、本日は我々の試合を見届けてくださり、ありがとうございます。さて、まだ時間がありますからもう一試合くらいはできるかもしれません。ただし、この試合については観客の皆さんからの挑戦を広く受け付けようと思います。誰か、私と戦ってみたいという方はいませんか?」
「私がやってみてもいいかしら?」群衆の最前列から小さな声が聞こえてきた。
フォン・クロフトは声の方を振り向くと、そこにいたのは手を上げて恥ずかしそうに微笑むリアンナだった。先ほどまで歓声を上げていた群衆はひそひそと囁き合い、フォン・クロフトを取り囲んでいた若い貴婦人たちは、「だあーれ、この地味な娘は?よくもフォン・クロフト様に挑戦するなんて!」と言わんばかりの視線をリアンナに向けていた。
「あの、故郷でフェンシングをやっていました。先月は高校の州大会で優勝もしたんですよ」とリアンナは言った。「だから、少なくとも基本はできると思います…」
「お嬢様」とエヴァンテイル侯爵は言った。「非超力者とのフェンシングの試合は上級職同士の剣術勝負とは全く異なります。お勧めできません…」
「なぜだ?何の問題があるというのだ?」とフォン・クロフトはニヤリと笑った。エヴァンテイルはフォン・クロフトを睨みつけたが、彼はただ群衆の方を向き、「紳士淑女の皆様、挑戦者が現れました!この若い女性です!」と宣言した。
***
エヴァンテイルとシャルロットの反対を押し切り、リアンナはすぐに着ていたドレスを脱ぎ捨て、リネンシャツ、ブリーチズ、ブーツ、そしてジャボを身につけた。今は長い髪をリボンで高い位置に結い上げているところだった。
「殿下、どうかおやめください」シャルロットが珍しく単語だけでなく、まとまった言葉で強く訴えた。「ジェラール……エヴァンテイル侯爵のおっしゃる通りです。上級職同士の剣の試合はフェンシングの試合とは全くの別物なのですから!」
「大丈夫よ。ただの親善試合だし、勝ち負けにこだわっているわけじゃないわ」とリアンナは言った。「上級職相手に、自分の腕がどこまで通用するか試してみたいだけなの」
自分が上級職超力者であり、それがどういうものかを知って以来、リアンナは自身のフェンシングの腕前に疑問を抱くようになっていた。純粋な剣技で相手を圧倒していたのではなく単に超力者能力でねじ伏せていただけかもしれないと知ったことは、彼女を落胆させた。だからこそ、上級職超力者であり剣の達人でもある相手に挑み、自分の実力を確かめたかったのだ。中庭へ向かう途中、リアンナは自分が防具を身につけていないことに気づいた。サイリック・シールドがあるため、上級職は防具を必要としないのだ。リアンナは、その点にも慣れていく必要があると考えていた。
フェンサーとしてのリアンナはサーベルを好んでいたが、フルーレやエペを扱うことにも何ら支障はなかった。そのため、実戦用のレイピアをうまく扱えるかどうか少し不安もあった。しかし、いざレイピアを手に取るとそうした懸念はすべて消え去った。その剣は驚くほど自然に彼女の手に馴染んだからだ。
中庭でリアンナが準備を整えると、フォン・クロフトが剣を掲げて敬礼した。リアンナもそれに応えて敬礼する。審判が「アン・ガルド」と声をかけると、リアンナとフォン・クロフトは共に構えをとった。「準備はいいか?」と審判が叫ぶ。「フェンス!」
当初、フォン・クロフトは余裕のある笑みを浮かべながらリアンナに歩み寄った。彼はまず、相手の出方を探るようにふざけた調子でジャブを放ったが、リアンナはそれを難なく受け流した。続いて繰り出した軽い突きもやはりリアンナに受け流される。十分に見極めがついたと判断したのか、フォン・クロフトは、今度はいくぶん力を込めて突きやジャブを繰り出した。
リアンナはそれらすべてを受け流した。
観衆が水を打ったように静まり返る中、フォン・クロフトの笑みはこわばった。彼は突き、ジャブ、そして斬撃を次々と繰り出したが、リアンナはそれらすべてを的確に受け流し、逸らしてみせた。もはやフォン・クロフトの顔から笑みは消えていた。彼は猛烈な勢いで剣を振るったがリアンナはその一撃一撃を正面から受け止め、巧みな足さばきで受け流し、逸らし、そして回避してみせた。
その頃には、リアンナはフェンシングの試合のたびに味わってきた、あの馴染み深い高揚感にすっかり包まれていた。自信を深めたリアンナは攻勢に転じ、自らも怒涛の連撃を繰り出してフォン・クロフトの意表を突いた。激しい金属音が響き渡る中、フォン・クロフトは猛攻を辛うじて防ぐのが精一杯で、その拍子に剣を握る力が緩んでしまった。好機を逃さず、リアンナが下から剣を振り上げるとフォン・クロフトのレイピアは宙へと弾き飛ばされた。彼女は左手でその柄を空中で掴み取ると同時に右手のレイピアの切っ先をフォン・クロフトの胸元に突きつけた。
「トゥシェ」――彼女は勝利の笑みを浮かべてそう言った。
期待に満ちた静けさに包まれていた群衆が、一気に沸き立った。フォン・クロフトは呆然とした様子だった。だが、その表情はすぐに怒りへと変わり、彼は足早に中庭を立ち去っていった。やがてリアンナのもとにアントワーヌ、エヴァンテイル、そしてシャルロットが歩み寄ってきた。後者の二人は完全に呆気にとられていたが、アントワーヌは興奮を隠せない様子だった。
「リアンナ! すごかったよ! あのフォン・クロフト公爵に勝つなんて信じられない!」とアントワーヌが叫んだ。
「いやはや……言葉もありません」とエヴァンテイルが言った。「お嬢様、先ほどの発言をお詫びせねばなりません。これほどの番狂わせが起きようとは想像もしませんでした」
「彼が試合を真剣に捉えていなかった、その隙を突けただけよ」とリアンナは言った。「最初から本気で挑まれていたら勝てたかどうか……」だが、内心ではフォン・クロフトに一泡吹かせたことに喜びを感じていた。
「たとえそうだとしても、フォン・クロフト公爵に勝利するのは容易なことではありません。それは私自身が身をもって知っています」と別の声がした。リアンナが声の主の方を見ると、そこにはジラス卿が立っていた。「お嬢様、もしよろしければ私も手合わせをお願いできないでしょうか? たとえまぐれの勝利であったとしてもフォン・クロフト公爵を打ち負かした方と剣を交えてみたいのです」
「ええ、もちろん。構いませんわ」
数分後、リアンナは再び構えを取り、今度はエイドリアン・ジラス卿と対峙した。対戦相手に目を向けた際、リアンナはある違和感を覚えた。ジラス卿といえば、ミストカリア全土で二番目に優れた剣士とされる人物だ。それなのに、右手にレイピアを携えて目の前に立つ彼の姿には、ほんのわずかだが、どこかぎこちない雰囲気が漂っていたのだ。
だが、試合が始まると同時にそうした思考は吹き飛んだ。ジラス卿は瞬く間に間合いを詰め、鋭い斬撃と怒涛の連撃でリアンナを圧倒した。彼女は辛うじて攻撃を受け流すのが精一杯で防戦一方となるしかなかった。それでも彼女は持ちこたえ堅固な守りを見せた。だが結局は力及ばず、ジラス卿に決定打を許すこととなった。
「ふぅ。これで決着ね」とリアンナは言った。「本気になった上級職超力者剣士にはやっぱり敵わないわ」
「それでも、実に良い試合でした」とジラス卿は応じた。「ただ、お嬢様。試合中、どうしても感じていたのですが……あなたはどこか、手加減をしていたのではありませんか?」
リアンナはしばらくジラス卿を見つめた後、ようやく口を開いた。「ええ、単に私の好みではない戦い方をしているだけよ。それだけのこと」
「なるほど」とジラス卿は言った。「確かに、理にかなっていますね。頂点を目指すのであれば、多種多様な戦い方に慣れておく必要がありますから」
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