第十九話 神殿への襲撃
どうぞ、お読みください。もし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。
「そもそも、どこで運転を覚えたのよ?」とサーラは叫んだ。ハイテク車エイオン・ストライカー号が田舎道を猛スピードで駆け抜ける中、彼女はまたしても助手席に座らされていた。
「そりゃあ、ナイツレスト自動車学校さ。君だってそこで習ったじゃないか」ローランはそれが当たり前のことであるかのように言った。
「それで、ケリントン先生が本当にあなたに免許を出したっていうの?」
「俺の運転の何がいけないんだい?」
「何がいけないって……全部でしょ!」サーラの声は今にもヒステリックになりそうだった。
「カイルは文句を言ってないよ」とローランは答えた。「それどころか、最高に楽しんでいるみたいだ」
「彼は車の中にさえいないじゃない!」サーラは歯ぎしりするように言った。
ローランは笑った。「全くだね。カイルが風の属性を持つエレメンティアンでありかつスノーボーダーだと知ったとき、モリソンはすごく喜んでいたよ」
「モリソンがあのロケット・ボードをくれたときだってお兄ちゃんはすごく喜んでたわよ」とサーラは不満げに言った。
エイオン・ストライカー号の後部には、空中に向かって伸びるケーブルが接続されていた。そのケーブルの先には車に牽引されながらサーフボードとスノーボードを掛け合わせたような大型の機材が続いていた。全長はおよそ1メートル。全体は深紅で、黒いアクセントが施され、後部には小型のジェットエンジンが2基取り付けられている。そのボードはホバークラフトのように噴射される空気の力で空中に浮上していた。ジェットエンジンから吹き出す風がボードを前方へと推進させる力にもなっていたのだ。そして、クランプと吸着装置で足を固定し、そのボードにまたがっているのは、歓喜に満ちたカイル・サンダースだった。
「うひょー!」と彼は叫んだ。「これぞ最高の気分だ!」
「調子はどうだ?」カイルの通信機からローランの声が響く。
「最高だよ!」カイルは叫んだ。「このボード、俺がもらっていいんだろ?」
「支給品の一部になる予定だ」とローランの声が答えた。「ただし、風のホバーを発生させるのに『エレメンティアン・エネルギー』を使いすぎないようにしろよ。この先の戦いのためにある程度は温存しておかないとな」
「もってこい!」とカイルは言った。
「まあ、チャンスは来るさ」とローランは言った。「さあ、行くぞ!」
「えっ?」とサーラは叫んだ。「でも、神殿は島にあるはずなのに…」突然の熱風とともにエイオン・ストライカー号の後部が炎に包まれた。車は霧の中へと宙に舞い上がり、サーラは必死にシートベルトを握りしめた。自分たちが水面を数百ヤードも飛び越えて空中に放り出されていることに気づいたのだ。通信機越しにサーラの兄が楽しそうに笑っているのが聞こえた。しかし、サーラ自身はそんな喜びとは程遠い気持ちだった。
轟音と共にエイオン・ストライカー号が神殿の最下層の壁を突き破って突入した。不意を突かれた数百人の信徒たちがパニックに陥り逃げ惑う――どうやら騎士たちは彼らの集会を妨害してしまったようだ。車が着地すると同時にルーフが開きローランは勢いよく空中に飛び出した。彼は宙で一回転すると信徒の集団の真ん中に着地。即座に空中で回し蹴りを放ち信徒たちを吹き飛ばした。低い姿勢で着地するや否や両拳を左右に突き出しさらに二人の信徒を打ち倒した。
一方、カイルの着地はそれほど幸運なものではなかった。彼はボードを覆いかぶさるような形で地面に激しく叩きつけられたのだ。それでも彼は無傷のまま素早く立ち上がり右手の爪を構えた。「よし、楽勝だな!」と彼は信徒たちを見回しながら言った。
カイルが猛烈な勢いで爪を振るいカオジェン教団の信徒の群れに突っ込んでいく中、サーラも急いでシートベルトを外し車から這い出した。「サイリック・シールド」の障壁に阻まれ致命傷こそ与えられないもののカイルの猛攻は信徒たちを圧倒するに十分なものだった。特に、突風を操って物理攻撃の速度を増幅させる技を彼が習得していたことがその強さに拍車をかけていた。
信徒の一人がサーラに迫ってきた。サーラはチャンスを逃すまいとくるりと身を翻し弓の下部でその信徒を殴りつけた。さらに二人の信徒が突進してくるのに気づいたサーラは矢筒から矢を取り出しわずか二秒で弓から放った。矢は信徒の袖を貫通しすぐそばの柱に突き刺さり驚いた信徒たちを閉じ込めた。サーラはその隙に目の前の信徒の顔面に蹴りを入れた。蹴られた信徒の頭は跳ね返りもう一人の信徒の顔面に直撃し二人は気絶した。
カイルは目の前の信徒を殴り倒すことに夢中で背後から忍び寄る信徒の一人に気づかなかった。信徒が攻撃しようとしたまさにその時、三枚のトランプがまっすぐ彼に向かって飛んできた。その衝撃は凄まじく、信徒は気絶して吹き飛ばされた。 「何だって?」カイルは叫んだ。顔を上げるとトビー・ハートウェルが鎌をゆっくりと回しながら近づいてくるのが見えた。「ずいぶん早く来たな。」
「私には私なりの移動手段があります」とトビーは言った。彼は大鎌を放つように繰り出しその穂先の鈍部で一人の信徒の腹部を打った。続いて大鎌の鈍部を大きく一回転させ、五人ほどの信徒をなぎ払う。「団長についていってください!」
「了解!」カイルはそう言うと別の信徒を飛び越えローランの方へ向かおうとした。その信徒が振り返って追おうとした瞬間、トビーは大鎌の刃をその肩越しに振り下ろし相手を地面にねじ伏せた。さらに、まるでゴルファーがクラブを振るような動作で大鎌を振り抜きその信徒を背後の別の信徒の集団へと放り飛ばした。
それほど離れていない場所からサーラはトビーが信徒たちを相手に戦っている姿を目にした。その瞬間、殺意に満ちたトビーの恐ろしい形相が脳裏をよぎった。「あの……ローラン」と、彼女はためらいがちに声をかけた。「トビーのことなんだけど。数時間前の祭りの時……」
「ああ、あいつの『邪悪ドSモード』を見たってことか?まったく、君やカイルが騎士としてもっと慣れるまではその一面をあまり表に出さないように言っておいたんだがな」ローランはそう言いながら火の玉を放って別の信徒を吹き飛ばした。サーラの困惑した表情に気づくと彼はため息をつきこう続けた。「エリザベスから聞いてるだろうけど、彼は元カオジェンだ。ああいう過去を背負っていればどんな状況であれ色々と厄介な事情がつきまとうものだし、トビーには複雑な背景がある。これだけは言っておくよ――トバイアス・ハートウェルは味方だ!」そう言い終えるやいなや、ローランは左手を横に掲げ視線を向けることもなくまた一人信徒を炎で吹き飛ばした。
カイルは着実に彼らの方へと歩みを進めていた。大勢の信徒たちが彼を取り囲んだが彼は強烈な突風を放って彼らを吹き飛ばした。「こいつらは弱いが数が多すぎる!」次々と襲いかかる信徒を退けながら、彼は叫んだ。「応援が必要だ」
「心配するな。奴らが来たぞ!」ローランが叫んだ。
天井から約20人のエンデクライオンの隠密騎士が舞い降りてきた。彼らは黒い忍び装束に身を包み、短剣や小剣を手にしていた。時を同じくして、黒いスーツに身を包んだ30人以上の警察騎士がエイオン・ストライカー号の不時着によって生じた開口部から突入してきた。信徒たちはたちまちエンデクライオンの騎士たちを相手に劣勢に立たされた。
「信徒の相手は奴らに任せておけ。俺たちにはもっと重要な仕事がある」ローランは言った。「さあ、メレディスのところへ急ぐぞ」
ローランはカイルとサーラを急いで部屋の一つへと案内した。そこからは燭台に照らされた黒い石造りの螺旋階段が上へと続いていた。
カイルは待ちきれなくなっていた。「さあ、行こうよ。」
「そんなに急ぐな」とローランは言った。彼は二人より先に数歩歩き始めた。「この階段にはおそらく罠が仕掛けられているだろう。先に進んで確認してくる――」その時、ローランは隠された落とし戸を踏んでしまい扉が崩れ落ちた。彼は驚きと信じられない思いでかろうじて「あっ」と声を上げた後悲鳴を上げて暗闇の中へと落下した。恐ろしいことに、カイルとサーラは突然塔の中に二人きりになってしまった。
『エンデクライオンの騎士団』を読んでありがとうございます。前書きにも書きましたがもし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。物語は続きますのでこれからもお楽しみください。




