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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第十八話 囚われのメレディス

どうぞ、お読みください。 もし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。

 カオジェン神殿のそびえ立つ塔の一つ、その薄暗く陰鬱な牢屋の中でメレディスは静かに座り込んでいた。身にまとっているのは寒さを凌ぐにはあまりに心許ない薄手でシンプルな白いノースリーブのドレスだけあり、裸足だ。彼女は身を震わせながら鉄格子の嵌(は)まった窓越しに満月を見つめていた。


「ふん、どうした? 泣き叫んだりしないのか? それじゃあ退屈で仕方ないな」牢屋の外からゴーシャンの声が響き渡った。メレディスは勢いよく振り返りそのシャドウ・ストーカーを睨みつけた。「俺たちのような連中がそばにいるだけで取り乱し、恐怖に駆られてヒステリックに叫んでいた頃の方がずっと面白かったんだがな。怖くないのか?」


 メレディスは恐怖に震えていたがそれを認めたり表に出したりするつもりはなかった。「どうして怖がらなきゃいけないの?」と彼女は言った。「彼らは私を助けに来るわ」


「はっ! それはどうかな! カーンの霧発生装置がエンデクライオンの連中からこの神殿の姿を隠しているんだ。たとえ場所を突き止められたとしてもあの忌々しい騎士どもを返り討ちにしてやるだけさ!」


「その言葉通りになるかどうか、見てみようじゃないか」と別の声がした。ゴーシャンはソランが塔の牢屋に入ってくるのを見て驚いた。


「ソラン?」


「警備は私が引き継ぐ」とソランは異論を挟まない口調で言った。ゴーシャンはうめき声をあげて部屋を出て行った。ゴーシャンがいなくなるとすぐに、ソランはメレディスの方を向き「エンデクライオンが助けに来てくれると、ずいぶん自信を持っているようだな」と言った。


「あなたはそう思っていないの?」とメレディスは尋ねた。


「ああ、誤解しないでくれ。ここにいる馬鹿どもとは違って私はエカルドが援軍を率いて現れると確信している。そして、奴を迎える準備も万端だ」


 メレディスは身震いし、両腕をぎゅっと抱きしめた。「彼らは私に何の用があるの?」


「カオス・ジェネレーションズのこの謎めいた一派が君に何の用があるのか私には全く見当もつかないし知りたいとも思わない」とソランは言った。「少なくとも、この任務を引き受けた時はそう思っていた。だが、ジェイムソン・カーンが君について話してくれたことはどうも辻褄が合わなかった。だから、自分で少し調べてみることにしたんだ」彼はメレディスの方を向き、ニヤリと笑った。「どうやら君は当初考えていたよりもカオス・ジェネレーションズと深い繋がりがあったようだ。少なくとも、君の両親はそうだった」


「えっ?」メレディスは孤児院で育った孤児だった。論理的に考えれば、かつて両親がいたことは当然分かっていたが、その概念は彼女にとってあまりにも異質なもので最後に真剣に考えたのはずいぶん前のことだった。だからこそ、ソランがこのタイミングで両親のことを口にしたことに彼女は完全に面食らったのだ。


「はっきり言うがお前は『カオス・ジェネレーションズ』の繁殖計画が生み出した成果の一つだ」とソランは言った。「何世紀にもわたり、我々の組織ではより強力な『上級職(ハイレベル)』の子孫を生み出すことを目的に特定の構成員同士を組み合わせてきた。お前の誕生はとりわけ注目に値するものだったらしい。赤毛と緑の目という極めて稀な遺伝的組み合わせを持って生まれてきたからな」


 ソランはメレディスが何か反応するかどうか確かめるように言葉を切った。しかし、メレディスは情報を咀嚼(そしゃく)しようと努めながら黙ったままだった。ソランは続けた。「我々にとって不幸なことにお前の母親はお前に強い愛着を抱くようになった。お前への愛情ゆえか、『カオス・ジェネレーションズ』への幻滅ゆえか、あるいはその両方か――彼女はお前を連れて組織から姿を消した。『カオス・ジェネレーションズ』が彼女を追いつめたときには彼女はすでに自ら命を絶っており、お前の姿はどこにもなかった」ソランは肩をすくめて言った。「そして十八年後、カーンがクイーンズの孤児院でお前を見つけ出し、現在に至るというわけだ」


 メレディスは本当に自分が、彼らが探していたその本人なのかと尋ねたい衝動を抑え込んだ。何しろ彼女は赤毛と緑の目を持つ十八歳の「上級職超力者(ハイレベルサイリック)」の少女なのだから。その組み合わせが生まれる確率は七千四百万分の一にすぎない。繁殖計画から連れ去られた赤ん坊は間違いなく彼女自身だった。それでもなお……


「それでも、話の辻褄が合わないわ」とメレディスは断言した。「つまり私はあなたたちの……『繁殖計画』から生まれた極めて稀な遺伝的組み合わせの産物だというわけでしょ。だから何だっていうの? その計画からは私よりも遥かに強力な『上級職(ハイレベル)』が他にも大勢生まれていたはずよ。どうして私にそこまで執着するの? 単に私の遺伝子が特殊だから?」


「ああ、それこそが最大の謎だ」とソランは言った。「我々の組織の繁殖計画には私が当初考えていた以上の何かがあるのかもしれない。次の機会にでもアルカンタラ様に聞いてみる必要があるな」ソランは不敵な笑みを浮かべ、こう続けた。「だが、それは後回しだ。まずはこの機に乗じてエカルドをこの手で確実に仕留めるとしよう」


 ソランのその言い方がメレディスに特に衝撃を与えた。「カイルとサーラの父親の死にもあなたは責任があるのよ」と彼女は言った。「なぜこんなことをするの?なぜ人を殺すの?」


「それが私の仕事だからだ」とソランは答えた。


「でも、なぜ?」とメレディスは問い詰めた。「他に生きる目的はないの?このカルト教団の暗殺者になることだけが、あなたの生きがいなの?」


「カオス・ジェネレーションズとは別に私には生きる目的がある」とソランは唸った。「ローラン・エカルドを殺すことだ!」


「結局同じことじゃない」


「違う!」とソランは言い放った。「カオス・ジェネレーションズは私に殺人を命じ、私はそれを実行する。エカルドを殺したいのは俺自身のためだ!」ソランが続けると、メレディスの目は大きく見開かれた。「あの生意気で傲慢なクズ野郎が俺に何をしたか貴様は全く分かっていない!」 「あの野郎のせいで俺がどれほどの屈辱を受けたか貴様には想像もつかないだろう…」ソランの言葉は神殿の土台を揺るがす爆発音によって遮られた。


「どうやら奴らが来たようだな」とソランは言った。「失礼いたします、お嬢様。」


 ソランが部屋を出ていくとメレディスは両手を胸に当て目を閉じた。「カイル…みんな…どうか無事でいて」と彼女は囁いた。

 

***


 神殿の円形広場にて、カーンは儀式の準備を進めながら期待に胸を躍らせていた。「もうすぐじゃ、もうすぐ……」彼は独りごちる。「だが、慎重を期さねばならん。この儀式の手順は極めて繊細じゃ。もし失敗すれば、術者自身が命を落としかねないのだからな」


 カーンは広場の中央に立ち、両腕と顔を天にかざして声を張り上げた。「だが、ついにその時が来たのだ! ああ、赤髪に緑の瞳を持つ上級職(ハイレベル)の超力者(サイリック)の娘。我ら一族が何世紀にもわたって血統を重ねてきた、その集大成。ついに現れたのだ――『大魔王様』復活の器となり得る唯一の存在が!」


 カーンは拳を固く握りしめ狂気を帯びた笑みを浮かべて視線を落とした。「ああ、あの娘が生まれたときアルカンタラがいかに歓喜したことか。だが、母親に連れ去られたことで彼女のその希望は打ち砕かれた。そして、ちょうど相応しい年頃に成長した今、再び彼女を見つけ出したのがこのわしだとはな」彼は再び顔を上げ、両腕を大きく広げた。「そして最後には、『大魔王様』を現世に呼び戻す役目を果たすのもわしだ。アルカンタラではない。『大魔王様』を復活させるという彼女の長年の悲願を、わしが奪い取るのじゃ。『大魔王様』を蘇らせた者として歴史に名を残すのはアルカンタラではなく、このジェイムソン・カーンなのだ!」


 カーンの独白は神殿の基盤を揺るがす爆発音によって遮られた。彼は即座にその原因を悟った。「エンデクライオンの騎士団じゃと?」彼は歯ぎしりするように吐き捨てた。「ふん、ならば栄光の瞬間の前に最後の『害虫』どもを始末せねばならんというわけじゃな」

『エンデクライオンの騎士団』を読んでありがとうございます。前書きにも書きましたがもし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。物語は続きますのでこれからもお楽しみください。

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