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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第十五話 ローランの戦い

どうぞ、お読みください。 もし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。

 ジェイムソン・カーンは二人の信徒と二人のシャドウ・ストーカーを従えフードコートへと向かった。そこで彼は、意識を失ったメレディスを肩に担いで建物から出てくるソランと出くわした。


「一体何にそんなに時間がかかったんだ?」とソランは尋ねた。


「そんな質問は無意味じゃ」とカーンは言い放った。「重要なのはその娘を捕らえたことじゃ。逃げなければ!」


「ずいぶん簡単に言うな」とソランは答えた。「すぐそこにいる『奴』の存在をすっかり忘れているようだな。」


「何だと?」カーンがそう叫ぶや否や二つの火の玉がカオジェンに向かって一直線に放たれた。それらは二人の信徒に直撃し炎の爆発とともに彼らを吹き飛ばした。カーンが振り返るとちょうどローラン・エカルドが近くの建物から飛び降り、空中で三回転宙返りを決め右手を地面について身を支えるようにして着地するところだった。


「遅れて悪かったな。向こう側の人混みに捕まっちまって」ローランは不敵な笑みを浮かべてそう言った。


 カーンは一瞬呆気にとられたが、すぐに我に返ると叫んだ。「ゴーシャン!エヴァナンス!あいつを殺せ!」


 ゴーシャンとエヴァナンスがローランに向かって突進した。二人のうち、エヴァナンスの方が速かった。しかしローランはただ前方に跳躍するとエヴァナンスの顔面に二度の蹴りを叩き込んだ。着地するや否や彼はエヴァナンスの襟を掴んで投げ飛ばしその体を地面に叩きつけた。襟を離すことなくローランは彼女を振り回してジャイアントスイングのように回転させるとそのまま彼女を放り投げゴーシャンに激突させた。二人のシャドウ・ストーカーは吹き飛ばされそのまま気絶して戦闘不能となった。


「雑魚にかまっている暇はないんでね」とローランは言い、嘲笑を浮かべてソランを手招きした。「だがエッグゼービエル、お前が相手ならスケジュールに少し時間を割いてやってもいいぞ」


「エカルド……」ソランが唸る。普段の冷静で超然とした態度は消え失せその表情は怒りと憎悪に歪んでいた。彼はメレディスを地面に下ろすと剣を抜き放ちローランめがけて一直線に突進した。ローランはただニヤリと笑い、足元の雪を蹴り上げた。すると、蹴り上げられた雪の中から長さ1メートルほどの細い木の枝が現れた。ローランは空中でその枝を掴み取るとまるで剣を扱うかのように優雅に回転させながら自身も一回転してみせた。


 ソランがローランに斬りかかるがその刃は木の枝によって巧みに受け止められた。ソランは唸り声を上げ再び斬撃(ざんげき)を繰り出す。ローランは嘲笑を浮かべたまま枝を操りソランの攻撃をすべて防いでいく。苛立ちを募らせたソランが強烈な横薙ぎの一撃を放つとローランは軽々とその刃を飛び越えた。驚いたことに、ローランはしゃがみ込んだ姿勢のままソランの剣の切っ先へと着地し見事なバランスで身を支えながらニヤつく顔をソランの顔のすぐそばまで近づけた。「くそっ、エカルド!」ソランはそう吐き捨てた。


 ローランは不敵な笑みを浮かべ、こう言った。「なあ、エッグゼービエル。俺と戦う時はもう少し冷静さを保つようにしたほうがいいんじゃないか?そうすれば、お前のことをもう少し認めてやってもいいんだがな」


 ソランは純粋な憎悪を込めた咆哮を上げた。彼が剣を振り回すとローランは軽やかにその刃を飛び越え右足でソランの顎を蹴り上げた。しかも、その蹴りが顎に当たった瞬間ローランの足は炎に包まれた。蹴りと火傷の痛みで顎を押さえながらソランはよろめき後ずさる。顔を上げるとローランは木の枝を左手に持ち替え挑発するように手招きをしていた。その顔には見る者を苛立たせるような笑みがさらに深く刻まれている。


 ソランは再び唸り声を上げ猛烈な勢いでローランに斬りかかった。ローランは単純な剣技でその斬撃をすべて防いでいく。ソランが強烈な突きを繰り出すとローランは前方に回転してその刃をかわし、炎を纏(まと)った右拳でソランの顔面を裏拳(うらけん)で殴りつけた。衝撃でふらつき後退するソランに対しローランは突然巨大な火の玉を放った。炎の直撃を受けソランは数メートル後方へと吹き飛ばされる。必死に立ち上がろうとしたソランだったがその肩にはすでにローランの持つ木の枝の先が突きつけられていた。ローランは枝を左手に持ったまま空いた方の手の人差し指を左右に振り「チッ、チッ」と舌打ちを鳴らす。「楽しんでいるか?」と彼は尋ねた。


「俺は『盾斬り』の達人だ!俺の方が上なはずだ!」


 ローランは苛立ちながら首を振った。「ソラン、お前はいつまで経っても懲りないな。お前の自慢の『盾斬り』も相手に攻撃を当てられなければ全く役に立たないじゃん。」


「この野郎、ローラン・エカルド!今度こそ殺してやる!」


 ローランはソランの方に顔を近づけ、顔から笑みは消え失せていた。「そうは思わないな」と彼は囁いた。


 ソランは苛立ちのうめき声を上げローランに斬りかかった。ローランは枝で容易に攻撃を防いだが、そのおかげでソランは飛び退くことができた。しかし、ソランが体勢を立て直す間もなくローランは再び火球を放ちその衝撃でソランは地面に叩きつけられた。


 ローランがソランを捕らえようとしたその時、周囲の温度にわずかな変化を感じ取った。彼は間一髪で身をかわし飛来したカーンのフォースフィールドを回避した。


「わしのことを忘れていたのか、エカルド?」カーンが唸るように言った。


「お前など取るに足らん。容易(たやす)く始末できる相手だ、カーン」ローランは断言した。


「通常の状況ならそうだったかもしれないのう」カーンは応じた。「だがここではわしの方が優位に立っている」


 ローランは目を細めた。「ほう、それは一体どういうことだ?」


「場所の問題じゃよ、若造」カーンは言った。「我々の足元およそ6メートルの深さにはガス管が通っている。この祭りの会場周辺にある非超力者(ひサイリック)の建物へメタンを供給している管だ。さて、もしわしがそのガス管に向けてフォースフィールドを放り込んだらどうなると思う?」


 ローランは驚愕(きょうがく)に目を見開いた。「何だと? そんなことは……断じて許さん――」


「お前の力は好きなだけ使っていい」とカーンは言った。「その発火能力なら破損したガス管と相性抜群じゃろうからな」


 ローランは言葉を切り、歯ぎしりしながら拳を固く握りしめた。「この……カオジェンめ!」と彼は吐き捨てるように言った。その瞬間、彼の茶色い瞳は鮮血のような赤色へと変貌した。


 自分に向けられたその深紅の眼差しにカーンはたじろいだ。「そ、そうか、『深紅の瞳』の噂は本当だったわけじゃ」と彼は言葉を詰まらせた。「だが、どうでもいいことじゃ。超力者(サイリック)でもない連中への情け、それこそがお前の弱点なんじゃよ。お前ほどの力を持つ者が我々の地を蝕(むしば)むあの汚らわしい虫けらどもに情を抱くとはな。あのアルカンタラがお前を高く評価しているというのも……実に情けない話じゃ」


「哀れなのはお前の方だ、ジェイムソン・カーン」ローランは彼を指さし吐き捨てるように言った。「非超力者(ひサイリック)の人質を盾にし、自分では戦おうともしない……お前はただの腰抜けだ!」


「腰抜けじゃと?」カーンは言い返した。「まあいい。わしが非超力者(ひサイリック)の人質を盾にしていると言うならそれでも構わん。これからさらに人質を増やしてやるからな!」


「何?」ローランは、自分たちに迫るパトカーのサイレンの音にハッとした。振り返るとそこには恐ろしい光景が広がっていた。パトカーが自分たちを包囲していたのだ。「しまった!」


 警官たちが次々と車から降り銃を抜いた。「動くな!」一人が叫び全員が一斉にカーンへと銃口を向けた。


 カーンは不敵な笑みを浮かべた。「さて、エカルド。わしがはったりをかましているわけじゃないってことを見せてやろう……」そう言うと、カーンはパトカーの一台に向けてフォースフィールドを放った。ローランはただ呆然と見守るしかなかった。車は爆発しその衝撃で数人の警官が即死したのだ。生き残った警官たちがカーンに向けて銃を乱射し始めた。だが不運なことに銃弾はカーンのフォースフィールドとサイリック・シールドに阻まれ虚しく弾き返されるだけだった。


 カーンは笑いながら言った。「超力者(サイリック)じゃない連中の力はその程度か?」彼は再び警官たちに向けてフォースフィールドを放った。これ以上の犠牲は出させまいとローランは近くの木に向かって火の玉を放った。木は迫りくるフォースフィールドの前に倒れ込み、衝突の衝撃で木っ端微塵に砕け散った。破片がローランや警官たちに降り注いだが少なくとも彼らの命は守られた。ローランは多くの警官たちと同様飛散する破片から目を守った。


「あと何本の木を犠牲にするつもりじゃ、エカルド?」カーンが問い詰める。「あと何人の非超力者(非サイリック)が死ななきゃならない? 五十人か? それとも百人か?」


 ローランは歯ぎしりしその顔には苛立ちが露わになっていた。彼はカーンを指さし叫んだ。「これで終わりだと思うなよ!」


「今夜の真夜中までにはすべて終わる」とカーンは言った。「さて、失礼させてもらうかのう。これから儀式を行わねばならんのじゃ」


 カーンは慎重にエヴァナンスとゴーシャンのほうへ歩み寄った。「立て!」と彼は怒鳴った。「立て、そしてその娘を掴め!行くぞ!」二人は首を横に振りながらもゆっくりと立ち上がった。ゴーシャンは意識を失って倒れているメレディスの元へ行き彼女を肩に担ぎ上げた。その間に、カーンはソランを呼び起こしていた。「行くぞ」と彼は言った。


 ソランは行きたくない様子だった。「エカルド!」彼は飛び起きると叫んだ。「殺してやる、エカルド!」


「今はその時じゃない!」カーンが言い放った。ソランは信じられないといった様子で彼を睨みつけた。「そのための機会はまた別にある」


「チッ、わかったよ!」ソランは吐き捨てるように言った。彼は腕を組み他のカオジェンたちの背後で黙って不機嫌そうにしていた。次の瞬間、カオジェンたちは近くの建物の屋根の上にいた。


「ああ、それから愛しきエンデクライオンの騎士諸君」とカーンは言った。「お主たち全員への別れの贈り物じゃ」誰も反応する間もなくカーンは地面に向けてフォースフィールドを放った。


「やめろ!」ローランが叫んだその瞬間、ガス管の破裂による爆発で地面が激しく吹き飛んだ。爆風は周囲へと広がり悲しいことにさらに数人の命が奪われてしまった。幸いにもローランは爆発の噴出を飛び越え自身の炎を操る能力を使って爆発の威力の大部分を吸収しその熱を外側ではなくすべて上空へと逃がしていた。それでもなお、防ぎきれなかった死の重みが彼に重くのしかかっていた。煙が晴れたときメレディスと共にカオジェンたちの姿も消え失せていた。


 爆発音でトビーとサーラは目を覚ました。「な、何が起きたんですか?」とトビーが尋ねる。彼がいつもの自分に戻っているのは明らかだった。サーラは何か言おうとしたが代わりに痛みに声を上げた。右腕は見るも無残な状態になっており彼女は切断の可能性に怯えるしかなかった。一方、トビーは破裂した配管の亀裂のそばに立っているローランの元へと歩み寄っていた。「団長?」


 トビーの姿を見てローランはつい最近交わした会話を思い出した。特に、自分が口にしたある言葉が脳裏をよぎる。


『まあ、あの男は強烈な自尊心(じそんしん)の塊であること以外にこれといった取り柄もないから、ソランやブラックハートのような大物を呼び出すとは思えないな。』


「ちくしょううううううう!!!!」ローランは叫び声を上げた。それは純粋な苛立ちと敗北感に満ちた叫びだった。彼は叫びながら膝をつき拳で地面を叩きつけた。その体からは激しい炎が噴き上がり空へと放たれていった。


 ローランが尽力したにもかかわらず死者が出てメレディスも拉致されてしまった。彼に残されたのは、「これは俺のせいだ」という絶望的な思いだけだった。

『エンデクライオンの騎士団』を読んでありがとうございます。前書きにも書きましたがもし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。物語は続きますのでこれからもお楽しみください。

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