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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第十四話 遭遇

どうぞ、お読みください。 もし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。

 ローランは祭りの会場から少し離れた人目につかない森の中に、エイオン・ストライカー号を停めた。彼は急いで車から飛び出したがサーラは軽い吐き気を抑えようと時間をかけてゆっくりと車を降りた。


「君はカイルとメレディスを探してくれ」とローランは言った。「俺はここで他の騎士たちを集めソランの居場所を突き止めるつもりだ」。彼はサーラの方を向き厳しい口調でこう警告した。「もしカオジェンの『シャドウ・ストーカー』に遭遇したら逃げろ。何もかも忘れてとにかく逃げるんだ。戦おうなどとは決して考えるな」


 サーラは反論したかったがローランの表情を見てそれが無駄だと悟った。「今のこの体調じゃまともに戦えないだろうしね」と彼女は代わりに言った。


「一刻も早くここに着く必要があったんだ。ゆっくり走るなんて選択肢はなかった」とローランは言い残し祭りの会場に向かって走り出した。

 

***


「メレディス?」とカイルは囁き、怯える彼女を優しく抱きしめた。血に染まった刃を手にフードを被った男が恐怖に駆られた人々を見回していると二人の警備員が近づいてきた。


「おい、何事だ――」最初の警備員の言葉は途中で途切れた。刃がその体を切り裂き、警備員を真っ二つに両断したからだ。パニックに陥ったもう一人の警備員は無線で応援を呼ぼうとした。


「応援を! 助けが――」再び刃が振るわれ、二人目の警備員の首が床を転がった。


「なんてことだ!」部屋に入ってきた三人目の警備員が呟いた。彼は銃を抜き放ち男に向けて「動くな!」と叫んだ。フードの男がその叫びを無視すると警備員は発砲した。弾丸は男の右のこめかみに直撃したが男の頭がわずかに横に揺れただけで弾丸はそのまま弾き飛ばされた。男は警備員を睨みつけた。警備員が驚愕する間もなく男は彼に向かって突進し刃を振るってその命を即座に奪った。


 若い女性が恐怖に悲鳴を上げ別の女性は泣き出した赤ん坊を必死になだめようとしていた。フードを被った男はそれらすべてを意に介さずカイルとメレディスの方へと歩み寄った。男が見下ろしてくる中カイルはメレディスを背にかばいつつ男を睨み返した。一方の男はフードの下でカイルを観察しながら当惑したような表情を浮かべているようだった。


「見覚えがある顔だな、小僧。以前どこかで会ったか?」と、フードの男は言った。


「ああ、会ったかもな! お前らカオジェンの人殺し連中はどいつもこいつも同じ顔に見えるからな」とカイルは吐き捨てた。


 男は肩をすくめるとこう言った。「どっちにしろ、お前が『超力者(サイリック)』以外の連中と同じように死ぬ必要はない。その娘を差し出しさえすれば行っていいぞ」


「俺が本当にそんなことをするとでも?」カイルはメレディスを確実に背後に置くようにして立ち上がりながら唸るように言った。


 フードを被った男はしばらく沈黙した後、「お前エンデクライオンの騎士か?」と尋ねた。


 カイルはほんの少し躊躇(ちゅうちょ)してから、「ああ、そうだ」と答えた。


「見たところ新米だな」とフードの男は言った。彼はカイルをもう一度じろじろと見てから、「だが、どこかで見たことがあるような気がする。名前を教えろ」と言った。


「カイル・サンダースだ!それがどうした?」とカイルは言い返した。


 フードの男は驚いて目を見開いた後、大声で笑い出した。「まったくだ。まったく。皮肉なものだ」と彼は言った。「実に面白い。私はめったに笑わないのだがな」。彼はカイルに剣を向け、「下がれ、若造サンダース。お前が死ぬ必要はない」と言った。


「お前の脳みそは蛆虫でも湧いてるのか?俺はメレディスを見捨てるわけにはいかない!」カイルは言い放った。


 フードを被った男は首を振り、ため息をついた。「当然だろうな。お前の父親にそっくりだ。」カイルの驚いた表情を見てフードの男はニヤリと笑い、「エカルドがもう説明しているだろう。私はエッグゼービエル・ソランだ」と言った。

 

***

「すみません」と、サーラは案内所の係員に声をかけた。彼女とローランは少し前に別行動をとっており、ローランは祭りの別のエリアを見て回っていたのだ。「二人を探しているんです。男の子と女の子で、私より二つ年上くらい。男の子は私の兄で、黒髪、背は私より頭一つ分くらい高いです。彼は……」


 サーラが言葉を言い終える前に横から巨大な拳が飛び出し係員を吹き飛ばした。悲鳴を上げた係員が近くの壁に叩きつけられ不快な音を立てて首が折れるのをサーラは恐怖に目を見開いて見つめた。その直後、ダンテ・ゴーシャンの大きな手が彼女の喉を掴んだ。


「俺を覚えているか?」ゴーシャンは不敵な笑みを浮かべ喉を締め上げながら唸った。首を絞められ、サーラは必死に息を求めて喘いだ。


 サーラの意識が途切れかけたその時、数枚のトランプが空を切りゴーシャンの背中に突き刺さった。ゴーシャンは苦痛に咆哮したがサーラを掴んだ手は離さなかった。幸いなことに、彼の握力が緩んだおかげでサーラは切実に必要としていた空気を吸い込むことができた。


 ゴーシャンの背後にトビー・ハートウェルが降り立った。彼は大鎌を掴むと大きく振り回しながら「彼女を放せ!」と叫んだ。


「貴様か!」ゴーシャンが唸り声を上げた。ゴーシャンの注意がトビーに向いた隙にサーラは身を翻し、強烈な蹴りをゴーシャンの顔面に叩き込んだ。トビーはその好機を逃さずもう一枚のトランプを投げつけた。それはサーラの首を絞めていたゴーシャンの腕に命中した。ゴーシャンは苦痛に咆哮しついにサーラを解放した。サーラが咳き込みながら地面に倒れ込む一方でゴーシャンはトビーの方を向き唸りながら言った。「痛い……! どうやって……」


「それが痛いだと?」トビーは鎌を目の前で振り回しながら言った。「そんなものは何でもない。サイリック・シールドがなければお前の手はもう吹き飛んでいただろうよ。だが、お前がこれまでに殺してきた数え切れないほどの罪なき人々の苦しみに比べればお前の痛みなど取るに足らないものだ」ゴーシャンが言い返す間もなくトビーは鎌を頭上で回転させながら高く跳躍した。ゴーシャンは腕の防具でトビーの鎌の刃を辛うじて受け止めた。押し戻されたトビーは鎌を棒高跳びの要領で使い、後方へ宙返りしてゴーシャンから十分な距離を保った位置に着地した。続いてトビーはその巨大な鎌を両手で操り高速で「8の字」を描くように振り回しながらゴーシャンに迫った。トビーの巧みな鎌さばきに対しゴーシャンは腕の防具で攻撃を何とか防ぐのが精一杯だった。やがて、ゴーシャンはトビーの左頬に強烈な一撃を叩き込むことに成功した。少しよろめきながらもトビーはただゴーシャンを睨みつけると今度は鎌の背の部分をゴーシャンの顔の左側に叩きつけた。


「逃げろ!」トビーが叫んだ。サーラは迷わず立ち上がり走り出した。だが、遠くへ逃げ延びる間もなくアニタ・エヴァナンスの一撃を受けて地面に倒れ伏した。


「そんなに急いでどうするの? 女同士のおしゃべりくらいいつでもできるでしょうに」エヴァナンスは気だるげに言った。


 サーラが相手を睨みつけたその時、近くの木々の枝から人影が舞い降りエヴァナンスを蹴り飛ばした。エヴァナンスが体勢を立て直そうとする中、アイリーン・ローレンスがサーラの前に軽やかに着地した。「女同士のおしゃべりなら私がいつでも相手になってあげるわ」アイリーンはそう言い放ち手に持ったサイの切っ先をエヴァナンスに向けた。


「いいわ、やってやろうじゃない」エヴァナンスは二本の短剣を抜き放った。数秒もしないうちに金属のぶつかり合う音が響き渡り、二人の女によるサイ対短剣の死闘が幕を開けた。


 アイリーンは果敢に戦ったがやがてエヴァナンスの方が格上の戦士であることが明らかになった。わずか二分ほどでアイリーンは打ち負かされエヴァナンスに短剣を喉元に突きつけられる形となった。


「ローレンス隊長!」トビーが叫んだ。トビーの注意が逸れた隙にゴーシャンは彼の喉元を掴んだ。ゴーシャンは驚異的な怪力を発揮してトビーを頭上高く持ち上げるとそのまま地面に叩きつけた。


「痛みってのはこういうもんさ」ゴーシャンは唸るように言った。


 アイリーンはゴーシャンとトビーの方に視線を向け恐怖に目を見開いた。「やめて!」


「もう一人の騎士のことは心配しなくていいわよ。ダンテが片付けてくれるから」エヴァナンスは嘲るような口調で言った。「さあ、あなたの『サイリック・シールド』がナイフの切り傷をいくつまで耐えられるか試してみましょうか――」だが、エヴァナンスが言葉を最後まで言い終えることはなかった。サーラの回し蹴りが彼女を打ち倒したからだ。


「逃げるはずじゃなかったの!?」アイリーンが声を荒らげた。


「騎士を置き去りになんてできないでしょ!」サーラは言い返しながら、アイリーンを立たせた。


 アイリーンは首を横に振った。「そんなことはどうでもいいわ。彼を止めなきゃ!」と叫び、ゴーシャンの拘束下で苦しんでいるトビーの方を指差した。


 サーラはうなずいた「わかった。あの大男の気をそらしてみるわ――」


「違うのよ!わかってないわ!ハートウェルを止めなきゃ――」アイリーンは言葉を途中で遮られエヴァナンスの強烈な一撃で意識を失った。


「これで少しは静かになったかしら」とエヴァナンスは囁いた。サーラの方を向き、「さあ、女同士の会話でもしましょうか?」と言った。


 サーラは両手を前に突き出しシャドウ・ストーカーと戦う準備をした。サーラとエヴァナンスが互いの周りを回り始めた時、近くから不気味な笑い声が聞こえた。サーラは立ち止まった。その笑い声の主がトビーだとわかったからだ。しかし、その声のトーンはいつものトビーとは全く違っていた。


「痛みはどうだって?」トビー・ハートウェルのくすくす笑う声が聞こえた。「答えは簡単だ。何でもない。本当の痛みを経験したことがないだろう? じゃあ、実演してあげよう。」トビーは突然ゴーシャンの手首を掴み強く握りしめ始めた。数秒のうちにゴーシャンは痛みに叫び声を上げついにトビーから手を離して手首を掴んだ。トビーが立ち上がるとサーラは彼の顔がすっかり変わってしまったことに恐怖を感じた。トビーは狂気じみた笑みを浮かべ、その目には不気味な光が宿っていた。

 

***


 カイルは目の前に立つ男をじっと見つめていた。ローランの言葉が頭の中でこだましていた:『シャドウ・ストーカーのエッグゼービエル・ソラン率いるカオジェンの集団との激しい戦闘の末、父親を含めた7人の騎士全員が命を落とした。』


「貴様だったのか…」カイルは囁いた。ゆっくりと、カイルの内側で激しい怒りが沸き上がった。かつて感じたことのないような怒り。目の前の男、父を奪った張本人に対する盲目的な怒り。「貴様だったのか!貴様だったのか!」


 怒りに我を忘れたカイルはソランに飛びかかった。ソランは軽く横にステップ、カイルをひっくり返して地面に押し倒した。「若きサンダースよ、お前に何の用もない。お前が死ぬ理由などない。」


「この野郎…殺してやる!」カイルは唸った。


「いつでもやってみろ」ソランは言った。 「だが今は、あの娘のことが最優先だ。」


 カイルの復讐心は一瞬にしてメレディスを守る必要性に取って代わられた。「やめろ!」彼は叫んだ。カイルはソランを蹴り飛ばしメレディスの前に立ちはだかり防御の構えを取った。「俺は命をかけて彼女を守る。」


 ソランはため息をつき、「そこまで言うなら」と言った。彼は血に染まった刃を払い落とし構えた。カイルはつま先立ちで軽く跳ね気合を入れた。そしてソランに向かって一直線に走り出した。


「カイル、やめて!」メレディスが叫んだ。カイルは彼女の言葉を無視するつもりだったがふと周囲の空気が変わったのを感じ取った。「ん? 空気が……どうなってるんだ?」ソランが剣を振り下ろしたその瞬間カイルは何か危険な予兆を感じ取りとっさに蹴りを入れて後方へ数歩飛び退いた。

「ああっ……何だ?」左の頬に走る鋭い痛みに触れてみるとそこには切り傷ができ自分の血が滲み出ているのを見てカイルは戦慄した。「何だ? どうして? サイリック・シールドなら防げたはずなのに……」


「無知だな」とソランは言った。「サイリック・シールドは、いかに防御力に優れていようとも結局はただの『物体』に過ぎない。ゆえに、十分な威力さえあれば真っ二つに切り裂くことだって可能なのだ」ソランは刃を口元に寄せそこに付着したカイルの血を眺めた。「シールドを切り裂く技など入念な訓練を積めばどんな暗殺者でも習得できる。だが、私はその技の達人であることを自負している」彼はカイルを真っ直ぐに見据えた。「もっとも、若き騎士よ、お前のことを侮っていたことは認めよう。これまで私が対峙してきた騎士たちは――お前の父親を含め――皆、この『盾切り』を予測できずに命を落としたのだからな」


 カイルは、ローランがサイリック・シールドに頼りすぎるなと警告していたことを思い出した。彼はその忠告をもっと心に留めておこうと心に誓った。


「カイル、お願いだからやめて!」メレディスは叫んだ。「彼が欲しいのは私よ。あなたには関係ない。私が彼と一緒に行けばすべておさまるわ。」


「死んだほうがましだ!」カイルは怒鳴った。「メレディス、俺は誓いを立てたんだ。命をかけて君を守ると。そして、その誓いを破るつもりは毛頭ない!」


「カイル…」メレディスは囁き、二筋の涙が頬を伝った。カイルは再びソランに向かって走り出した。今度は刃を避けるように気をつけながら。ソランは一度首を横に振ってからカイルに斬りかかった。今度は、カイルはなんとか刃をかわした。しかし次の瞬間、カイルはソランの空いている方の手が自分の喉に巻き付いているのを感じて驚いた。


「勇敢だな、若造」ソランは言った。「だが、力は足りない。」そう言ってソランはカイルを近くのテーブルと椅子の山に投げ飛ばした。彼はメレディスの方を向き「さあ、もしおとなしく来てくれるなら――」と言った。


「だめだ!」ソランは不意を突かれ、カイルの上のテーブルと椅子が強烈な突風で吹き飛ばされた。カイルは既に立ち上がっており圧縮された空気の塊をソランに向かって放った。その衝撃で暗殺者は部屋の向こう側まで吹き飛ばされた。「彼女に近づくな!」


 ソランは左脇腹を押さえながら歯を食いしばりなんとか立ち上がった。カイルの攻撃でダメージを受けたのは明らかだった。「風を操るエレメンティアンか。驚いた」とソランは唸った。「だから私の『盾切り』の技を予測できたんだな。私の刃の周りの気流のわずかな変化を感じ取ったのか!」


「まだまだあるぞ!」カイルは唸り声をあげソランに向かって強力な空気の塊を放ち始めた。ソランはほとんどをかわしたがいくつか命中し激しい痛みに襲われた。


「時間がかかりすぎだ」とソランは呟いた。突然のスピードでソランはカイルに迫り、肘をカイルの気管に突き刺した。カイルは驚きのあまり目を見開き意識を失い始めた。


「カイル!」メレディスは叫んだ。カイルを助けようと駆け寄ろうとしたその時、背後からソランが濡れた布を彼女の顔に押し当てた。クロロホルムの匂いだと気づく間もなく彼女は意識を失った。

 

***


「い、一体どういうこと?」サーラは言葉を詰まらせた。エヴァナンスもまたトビーの豹変ぶりに衝撃を受けていた。


「お前の手首、折らなかったっけ?」トビーは狂気じみた笑みをさらに深めながら言った。「折ってなかった? そりゃ残念だな。骨が折れる音を聞きたかったのに」


「な、何を……」ゴーシャンが言いかけると同時にトビーは稲妻のような速さで突進した。トビーの右手がゴーシャンの顔面を鷲掴みにし、そのまま彼を地面に叩きつける。苦痛にうめくゴーシャンの腕を背後へねじり上げトビーは足で彼を地面に押さえつけた。ゴーシャンが悲鳴を上げ始めるとサーラは恐怖に駆られながら彼の腕の骨がきしむ音を耳にした。


「おや、デカい図体して痛がってるのか? そんな風に叫ぶのは臆病者のすることだって誰も教わらなかったのかよ?」トビーは嘲笑(あざわら)い、その表情をさらに邪悪なものへと変えた。


 エヴァナンスは我に返り怒りの叫びを上げながらトビーに向かって一直線に駆け出した。だが、それは無駄なことだった。トビーが空いていた手を素早く突き出しエヴァナンスの喉元を直撃させたからだ。彼女が苦しげな声を漏らす間もなくトビーの空いた手が彼女の両手を鋼のような力で掴み取った。喉への一撃で呼吸を阻まれていなければ、彼女もまた激痛に悲鳴を上げていただろうことは明らかだった。


「さて、その華奢(きゃしゃ)な手がぐしゃぐしゃの肉塊と化すまでどれくらいかかるか見ものだな」トビーはそう言って不気味な声を漏らした。「『サイリック・シールド』には感謝しなきゃいけないな。おかげで骨を完全に砕くまでにそれだけ時間が稼げるってわけだ。手が潰される前にあまりの痛みに気絶するお前の姿を見るのも一興かもしれない。さて、どうなることやら……」


「やめて!」サーラの悲鳴にトビーは顔を上げた。口元に浮かべていた笑みは消え不機嫌そうな表情に変わる。「やりすぎよ! そんなふうに拷問するなんて必要ないでしょ!」


 トビーは我に返ったように瞬きをした。「そうだな。悪い、つい夢中になりすぎてた――」


 突然、強烈な衝撃を伴うフォースフィールドがトビーを直撃し彼を吹き飛ばした。ゴーシャンとエヴァナンスはその拷問から解放された安堵感から思わず自分の腕を抱きしめた。サーラが顔を上げると、ジェイムソン・カーンが二人のカオジェン信徒を従えてこちらへ向かってくるのが見えた。


「ここで無駄にした時間は十分じゃ」と、カーンは二人のシャドウ・ストーカーに吐き捨てるように言った。「立ち上がれ」。その瞬間、カーンは彫刻の陰に隠れている小さな集団――若い男性四人と女性二人――に気づいた。彼らは逃げるのではなく隠れるという愚かな選択をしていたのだ。


 サーラはカーンが破壊的なフォースフィールドを操るエレメンティアンであることを悟った。彼女は必死に「逃げて!」と叫んだ。しかし間に合わなかった。彼女はただ恐怖に凍りつきながらカーンが隠れていた人々に向けて再びフォースフィールドを放つのを見ていることしかできなかった。人々の体は引き裂かれその断末魔の叫びがサーラの耳に響き渡った。


「非超力者(ひサイリック)のクズどもめ!」とカーンは罵った。彼は逃げ遅れたもう一組の親子――若い母親と二歳の娘――に目を留めた。母親は恐怖で泣き叫ぶ子供を必死にかばおうとしていた。カーンは躊躇することなく彼女たちに向けて再びフォースフィールドを放った。


「やめて!」サーラは叫んだ。彼女は母親と娘の前に駆け出しフォースフィールドから二人をかばった。フォースフィールドが右腕を直撃しサーラはこれまでにないほどの激痛に悲鳴を上げた。意識が遠のく中、サーラは悟った。もし「サイリック・シールド」がなければ自分の腕は根元から引きちぎられていただろう、と。

『エンデクライオンの騎士団』を読んでありがとうございます。前書きにも書きましたがもし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。物語は続きますのでこれからもお楽しみください。

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