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【第四章連載開始!】エンデクライオンの騎士団   作者: E. C. ライリー
第一章 騎士団の開会式

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第十三話 エイオン・ストライカー号

どうぞ、お読みください。 もし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。

「ソラン?」ローランはほんの少し不安そうな声で言った。一方、サーラは父親を殺したかもしれない男が兄の近くにいると聞いて顔面蒼白になっていた。


「間違いありません、団長」アイリーンも顔色を青ざめながら答えた。「私は一度聞いただけで誰の声か分かります。隠密騎士(スパイナイト)の資格の一つです。私の隠密騎士(スパイナイト)を殺したのは間違いなくエッグゼービエル・ソランです。」


 ローランの顔は険しく歪んでいた。「俺は氷の彫刻祭に向かう」そう言って彼は決意に満ちた足取りで部屋を出て行った。「モリソンに連絡しろ。エイオン・ストライカー号を待機させておくように伝えろ。」


「ローラン!」サーラが叫んだ。ローランは彼女の方を向き彼女が何を望んでいるのかを瞬時に理解した。


「サーラ、君を連れて行けるかどうか分からない」と彼は言った。「これは遊びじゃないんだ。これから会いに行くのは本物の殺人犯なんだ。」


「分かってるわ!」サーラは叫んだ。「彼はパパの死の原因かもしれない人よ!お兄ちゃんとメレディスが危険にさらされているなら見過ごすわけにはいかないわ!」


 ローランはため息をつきためらいがちに言った。「分かった、君を連れて行くよ。」


「モリソンと連絡が取れたわ」とアイリーンは言った。彼女は通信機で話していた。「エイオン・ストライカー号は準備万端だって。私も現場に行くわ。」


「よし」とローランは言った。「トビーにも祭りに行くように伝えてくれ。そこで会おう」


 アイリーンはローランをまるで正気でないかのように睨みつけた。「彼ですか?本当に彼もそこにいる必要があるのですか?」サーラはアイリーンの声に突然の嫌悪感が滲んだことに驚いた。


 ローランはアイリーンを睨みつけサーラの驚くことにローランの茶色の瞳が一瞬赤く光った。「何か問題でもあるのかい、諜報部隊長?」


「い、いえ!もちろんありません団長!」とアイリーンは叫んだ。「承知いたしました。ハートウェル副団長に命令をお伝えします」アイリーンはそう言ったものの、サーラは彼女が「ハートウェル副団長」という言葉を、軽蔑を込めて吐き捨てるように言ったことに気づかずにはいられなかった。

 

***


 ローランとサーラはエレベーターに乗りメインホールの階下へと降りた。扉が開くとそこには高度な技術を駆使した産業工場の光景が広がっていた。部屋のあちこちで巨大な歯車が時計仕掛けのように音を立てて回転し、いくつものボイラーから蒸気が立ち上っている。発電機の低い唸りがかすかに響きフルスペクトルの白い照明が無機質で殺風景な雰囲気を空間に漂わせていた。機械の周囲では白衣やオレンジ色の作業服を身にまとった作業員たちが働いていた。ローランがサーラを連れて様々な機械や歯車の横を通り過ぎていくと彼らは次々とローランに挨拶を交わした。


「ここは本部のメカニック・エリアだ」とローランは説明した。「本部の電力を生み出す場所であり『騎士団』が使用する様々な機械やメカニズムの研究、開発、製造、修理が行われる場所でもある。ここで働いている連中は『技術騎士(メカナイト)』だ。白衣を着ているのは『監督技術騎士(メカナイト)』で主に研究開発を担当している。オレンジ色の作業服を着ているのは『ハンディ技術騎士(メカナイト)』で製造や修理を行う連中だ」


 ローランはサーラをどちらかと言えばガレージのような雰囲気を漂わせる一角へと案内した。そこでサーラは眼鏡をかけ白衣をまとった大柄な黒人男性がコンピュータターミナルに向かって作業しているのに気づいた。


「あれが技術部隊の隊長、コーディ・モリソンだ」とローランドは言った。


 ローランとサーラが近づいてくるとモリソンは顔を上げた。「団長。これは嬉しい驚きですね。メカニック・エリアまでお越しいただけるとは」


「もっとおめでたい理由でここに来たかったよ、コーディ」とローランは言った。「エイオン・ストライカー号の準備は万端なんだな?」


「もちろんですとも。常に最高の状態を維持していますから」モリソンはそう言うとターミナルにある大きな赤いボタンを押した。


 警報のような規則的な電子音が鳴り響きいくつもの赤いライトが点滅し始めた。サーラはガレージの床にある大きな円形のハッチが外側に向かって開きプラットフォームに乗った何かが円を描くような動きでせり上がってくるのを見て驚いた。その物体が姿を現した瞬間、サーラはあんぐりと口を開けた。


 それは自動車だったが、サーラがこれまでに見たどの自動車とも似ていなかった。全体的なフォルムはランボルギーニ・ディアブロを彷彿とさせフロントガラスは車体の後寄りに配置されていた。フロント部分にはデザインの一部として2つの開口部を持つフードスクープが組み込まれていた。車輪は大きく張り出したフェンダーに完全に覆われており、そのホイールのスポークが密集した様子はまるで扇風機のカバーのようだった。自動車体後部には流麗なラインで全体と調和させた大型のDTMスタイル・ウィングが装着されその下にはロケットブースターと思われる一対の装置も備わっていた。


 車体の基本色はシルバーホワイトで鮮やかな赤のストライプとその上を走る細い青のストライプがフロントからリアにかけてあしらわれていた。フェンダーは赤く塗装されウィングの翼面は青色だった。ウィングの側面には「騎士団」の紋章である稲妻を模した「E」の文字が描かれていた。そしてウィング本体には稲妻をイメージした鮮やかな黄色の文字で「AEON STRYKER」と記されていた。


「『エイオン・ストライカー』?」とサーラが尋ねた。


「かっこいい名前だろ」とローランは肩をすくめて言った。「ガレージのシャッターを開けてくれ、コーディ。あまり時間がないんだ」


「承知いたしました」とモリソンは言い、いくつかのボタンを操作した。「それから団長、運転は慎重にお願いしますよ。前回あれを大破させたときは修理だけで私の部下たちが2ヶ月半もかかったんですから」


「おいおい、少しは俺を信用してくれよ。同乗者がいるのにいつものような運転をするわけがないだろ」ローランは無関心な様子で答えながら運転席に乗り込んだ。ふと見るとサーラはまだ外に立っており目を見開いて顔色を青ざめさせていた。彼はため息をつき、「サーラ、君は上級職(ハイレベル)なんだ。ちょっとした衝突事故くらいじゃ死なないさ」と言って助手席を指し示した。


 サーラは言葉を詰まらせながら言った。「ち、ちょっとした衝突……修理に2ヶ月半もかかったって言ってたじゃない!」


「氷の彫刻祭にできるだけ早く着きたいなら車に乗るんだ、サーラ」ローランは反論の余地を与えない口調で言った。サーラはしぶしぶ助手席に乗り込みローランはドアを閉めた。


「モリソンは話を大げさにする傾向があるんだ」と、彼はエンジンを始動させながら説明した。「エイオン・ストライカー号は俺専用に設計されたマシンでね。ガソリンの代わりに俺の『エレメンティアン』としての能力を燃料にしているから文字通り俺にしか運転できないんだ。……いや、待てよ。他にも発火能力者の『エレメンティアン』が存在するかどうかは定かじゃないけど、もしいたら彼らにも運転できるかもしれないな。でも、『騎士団』の中でこれを動かせるのは俺だけだ。とにかく、俺の仕様に合わせてあるから整備や調整にはどうしても時間がかかるんだよ」


「彼は『修理だけで』って言ってたわよ!」サーラは必死な様子で言い返した。


「だから言っただろ、彼は話を大げさにするんだって」と言うローラン。サーラがそれ以上何かを言う間もなくローランはアクセルを力強く踏み込み、エイオン・ストライカー号を加速させて通路から飛び出した。その先にはパインシャックル・フォレストの洞窟の入り口に偽装された隠しガレージの扉が待っていた。


 木々の間をわずか数センチの差でかわしながら森の道を猛スピードで駆け抜けるエイオン・ストライカー号の中でサーラは必死の思いでシートベルトにしがみついた。(ローランの「安全運転」がこれだとしたら普段どんな運転をしているのか想像もしたくないわ――)彼女はそう思った。

 

***


 氷の彫刻展ではカイルとメレディスはひとしきりスケートを楽しんだ後フードコートで再び軽食をとっていた。正確には軽食をとっていたのはカイルだけでメレディスは彼がテーブルの上の食べ物を次々と平らげていくのを眺めているだけで満足だった。


「そんな食べっぷりじゃついさっきお昼ご飯を食べたばかりだなんて信じられないわね」とメレディスはくすりと笑った。


「まあ……なんて言えばいいかな。俺は……育ち盛りだからさ……」カイルは口に食べ物を入れたまま答えた。カイルがコーラを大きく飲み込んで残りのフライドポテトを無理やり胃に流し込むとメレディスは笑い声を上げた。


 カイルが食べ終えるとメレディスは微笑んで言った。「カイル、本当に感謝してるわ。今日のことだけじゃなくてね」。彼女は一度ため息をついてから言葉を続けた。「ずっと一人だったの。あなたに出会っていなかったら、私は……いや、何でもないわ」


「何でもない?」とカイルは言った。「何? 何を言いたかったの? ほら、俺になら話せるだろ」


 メレディスはカイルを見上げた。その表情は彼が見たことのないものだった。「カイル」と彼女は囁くと席から立ち上がりゆっくりと彼の隣の席へと身を寄せた。カイルは顔が真っ赤になるのを感じ、心臓が激しく高鳴り始めた。


「えっと、メレ……」カイルが言いかけるとメレディスは不意に指を彼の唇に当て言葉を遮った。彼女はゆっくりと顔を上向かせ目を閉じるとカイルの方へと身を寄せ始めた。カイルは心臓が今にも破裂しそうだと感じていた。


 (うわっ、マジかよ! 彼女、まさか……。よし、落ち着け、サンダース。こういうことは前にも……いや、ない! 付き合った彼女といえばリアンナだけだったけどあの時はケンカばかりで何ひとつロマンチックなことなんてなかったんだ。まあ、何事も最初は経験ってことか。それに、ただのキスだろ? キス。唇と唇が重なるだけ。唇。それにしてもメレディスの唇ってすごくきれいだな。唇、唇。俺の唇、荒れてないか? 荒れてたら嫌がられるかな? 乾燥してるとか? 唇の荒れ、乾燥。唇、唇、唇。おい、男だろ、サンダース! 思い切って顔を近づけるんだ。よし、近づけるだけだ。ゆっくりと……ゆっくりと……。)


 カイルはゆっくりと目を閉じメレディスの方へと顔を近づけ始めた。二人の唇はほんの数ミリの距離にまで迫っていた……。


 突然、フードコートの照明が一斉に大きな破裂音とともに消えた。カイルとメレディスは周囲の人々がパニックに陥り悲鳴を上げ始めたことでそのひとときから引き戻された。


「何だ?何が起きたんだ?」カイルは叫んだ。メレディスの方を振り向くと彼女の顔が真っ青になっているのに気付いた。彼女はカイルの腕を万力のように強く握りしめ震えているのが分かった。「メレディス?」


「だめ…」彼女は囁きその声に恐怖がにじみ出ていることにカイルは愕然とした。「そんなはずない!お願い、だめ!」


「一体何が…」その時、カイルは初めて彼を見た。フードコートに音もなくゆっくりと入ってきて二人のほうへ向かってくる男だ。彼はフードを深く被った中国風のローブをまとい右腕には血に染まった長い刃物が装着されていた。

『エンデクライオンの騎士団』を読んでありがとうございます。前書きにも書きましたがもし、難しい漢字などがありましたら是非教えください。物語は続きますのでこれからもお楽しみください。

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