もりの動物たちとおすもう大会
金太郎が少し大きくなり、少年になったころのお話です。
金太郎は相変わらず力持ちでしたが、決してその力を使って威張ったり、誰かをいじめたりすることはしませんでした。
金太郎は、山に住むすべての生き物を愛する、とても心の優しい男の子だったのです。
ある日のこと、金太郎がまさかりを担いで森の奥を歩いていると、木の上からガサガサと音がしました。見上げると、一匹の小さなお猿さんが、高い枝に引っかかった木の実を取ろうとして困っていました。
「待っててね、お猿さん。いま助けてあげるよ」
金太郎はそう言うと、まさかりを地面に置き、大きな木に手をかけました。
そして、自慢の怪力で木を「ゆっさ、ゆっさ」と大きく揺らしました。
すると、おいしそうな木の実がポロポロと地面に落ちてきました。
お猿さんは大喜びで木から下りてきて、金太郎のまわりをピョンピョンと跳ね回りました。
「ありがとう、金太郎! お礼に僕の仲間を紹介するよ」
お猿さんはそう言うと、キーキーと鳴いて森の仲間たちを呼び集めました。
すると、草むらから耳の長いウサギたちがピョンピョンと飛び出し、空からは美しい羽を持ったキジがバサバサと舞い降りてきました。
さらに、奥の茂みからは、ちょっぴり恥ずかしそうな顔をした、体の大きなお鹿さんも現れました。
金太郎はあっという間に、森の動物たちのリーダーになりました。
みんな金太郎のことが大好きでした。
「よし、みんなが集まったなら、今日は広場で楽しい『おすもう大会』をしよう!」
金太郎が提案すると、動物たちは「わーい!」と大はしゃぎ。
森の中央にある、ふかふかの苔が生えた広い場所が、特設の「すもうの土俵」になりました。
「はっけよい、のこった!」
ウサギとお猿さんが、小さな手をお互いの体に当てて、一生懸命に押し合います。
「がんばれ、がんばれ!」
金太郎とキジ、お鹿さんがまわりで声を張り上げて応援します。
ピョンとウサギがお猿さんを投げ飛ばすと、みんなでパチパチと拍手を送りました。
するとそこへ、のっしのっしと重い足音を響かせて、森で一番大きくて強いツキノワグマの
「墨丸」
が現れました。
墨丸は、他のみんながおすもうをしているのを見て、腕を組んで言いました。
「ふん、ウサギやお猿のすもうなんて、軽すぎてお話にならないや。この森で一番強いのは、この俺様だぞ!」
墨丸がドスンと足を踏み鳴らすと、地面が揺れ、ウサギたちは怖がって金太郎の後ろに隠れてしまいました。
しかし、金太郎はちっとも怖がりません。
ニッコリと笑って、墨丸の前に進み出ました。
「それならクマさん、僕とおすもうで勝負しよう。もし僕が勝ったら、みんなと仲良くしてくれるかい?」「いいとも! 人間の子供なんかに、この俺様が負けるわけがないからな!」
こうして、あしがら山の歴史に残る、金太郎と大グマの大きなおすもう対決が始まることになったのです。




