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第25話:絡み合う鉄と泥
「死ねッ!」
梅軒が鋭い咆哮とともに右腕を振ると重い鉄の分銅が蛇のように空を舞った、狙いはムサシの喉元。だが、ムサシは避けるどころかバランスを取るためにノソリと上体を傾けただけだった。
「ジャラリ!」鈍い金属音とともに分銅鎖は狙いを逸れムサシの胸から突き出た十文字槍の柄に幾重にも巻き付いた。
「掛かったな! そのまま引きずり倒してくれる!」
梅軒がニヤリと笑い、鎖を力任せに手繰り寄せる。だが、ムサシはびくともしない。それどころか、鎖の振動がムサシの体内の泥を攪拌し始めた。
「……ソレ……ナニ……?」
ムサシは、首を傾げると自分と梅軒を繋ぐ鎖をドロドロの大きな手でガシッと掴んだ。その瞬間、ムサシの手から溢れ出した粘り気のある泥が鎖の隙間を埋めながら梅軒の方へと逆流し始める。
「な、なんだこのヌルヌルは! 鎖が……鎖が引き抜けん!」
梅軒は驚愕した。引けば引くほどムサシの体から溢れる泥が鎖と一体化し、強力な接着剤のように固まっていく。
「チャンスだムサシ! そのまま鎖ごと引き寄せちまえ! 鎖鎌の達人が釣れたぞ!」
岩陰から又八が…欲にまみれた声を張り上げた。




