表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『【天下無双の宮本武蔵】関ケ原で死んだ武士達の血で捏ねた泥人形をムサシと呼んで、天下を騙した又八の戦国無双の物語』  作者: hatuhi stand


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/23

第19話:槍を捨てる

「離せ! 私の……私の槍を返せ!」

胤舜は、もはや槍術の形を捨て泥の中に埋まった十文字槍を必死に引き抜こうと格闘していた。だが、引けば引くほどムサシの泥は胤舜の腕まで這い上がり、彼を武士から泥まみれの凡夫へと引きずり込んでいく。

「胤舜さん、もう諦めなよ。その槍、ムサシが気に入っちゃったみたいだからさ!」

又八の呑気な声が響く。胤舜はその瞬間、ハッとした。自分は槍を守ろうとしているのか、それとも槍という形に守られようとしているのか。

「……私は、この一本の棒に、これほどまでに執着していたというのか」

泥の巨人は、ただそこに在るだけだ。殺意も憎しみもなく、ただ自分を突き刺した槍を受け入れているに過ぎない。胤舜は指先まで泥に染まりながら、ふっと力を抜いた。

「……不殺生……殺せぬものを殺そうとした私は無意味だ」

胤舜が槍の柄から手を離した瞬間、ムサシはバランスを崩し十文字槍を胸に突き立てたままドシンと尻餅をついた。道場の床が大きく揺れる。

「ああっ、ムサシ! お前、お寺の床を壊すんじゃないよ!」

又八が駆け寄るが胤舜は泥まみれのまま、晴れやかな顔で座り込んだ。彼を縛っていた最強という名の鎖が泥の中に溶けて消えた瞬間であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ