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-88- 所得

 所得が多ければ安らげるか? と問えば、必ずしもそうとは限らないことに気づかされます。所得が多ければ、それに伴う税金も多くなり、さらには脱税はないか? などと、当局より痛くもない腹を探られる恐れもありますから油断がならない、と話はまあ、こうなります。そこへいくと一サラリーマンとして細々とした年金を頂戴しているくらいが安らぎ感で満たされるのではないか? と、自身の現実を見て思えている次第でございます。^^

 棚下は、この春に定年を迎える一サラリーマンである。同期で定年を迎える裾野もまた、棚下と同じ定年組だった。しかし、二人の所得には定年後に大きな差が生じていた。棚下は年金暮らしだったが、裾野には父から譲り受けたマンションの大家としての莫大な賃貸料が毎月、賃貸する各戸から振込まれていたのである。額にすれば、年金どころの話ではない多さだった。それゆえ、定年後は毎年の確定申告に裾野は四苦八苦して、安らぎどころの話ではなくなっていた。そこへいくと棚下の気分は優雅で、安らぎに満たされた。年金で受け取る総額が確定申告の課税最低限より低く、棚下は非課税世帯として所得税を免除される恩恵を受けたのである。さてそうなれば、安定した貧困層の一員として少なからず安らぎ感を享受する生活が保たれることになる。いつの間にか二人の間には、生活に安らぎ感がある、ないという大きな差異が発生したのだった。

 困らない程度の少ない所得の生活の方が、ある意味、安らぎを得られる・・というお話でした。^^

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