-82- 料理
食べものは美味しいに越したことはありません。となれば、料理する腕によって同じ材料でも違いを見せる・・ということになるのですが、美味しい利用理だと当然、安らぎ気分になれますが、不味ければその逆となるのは必然でしょう。
川隅は美食家だった。彼は美味しい料理を食べることで安らぎを覚えた。美食家を自負するの川隅は、美味い料理の情報を入手すると、その料理を食べることにあらゆる手立てを立て、奔走した。
「あの…この辺りに美味い鮨を食べさせてくれる店があると風の噂で聞いてやって来たのですが…」
「ああ…天寿司ですか?」
「はあ、たぶんそのお店だと思うんですが…」
「天鮨は、この横丁を真っすぐ進んで十字路に出た角ですが…」
「分かりますか?」
「ええ、十字路に出た右角です。暖簾がかかってますから、すべ分かります」
「美味しいんですか?」
「はい、あの店の握りは、料理としては絶品でしょう。それに安いから、私らでもよく握ってもらいます」
「そうなんですか…」
「はい…」
川隅は言われたとおり横丁を進んでいった。ところが、である。その日は生憎、臨時休業の貼り紙が暖簾下に見えた。川隅は、♪未練心にぃ~躓
いてぇ~♪と、涙を落としたかどうかは分からないが、^^ 演歌の歌詞のように引き返した。
『また、出直すか…』
安らぎは得られなかったが、先の楽しみだけは川隅の心に残った。
お店が開店していないと美味しい料理も食べられません。となりますと、安らぎ気分は得られませんよね。^^




