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-77- 茨(いばら)の道

 快い人生を送る場合は安らぎも生まれますが、茨(いばら)の道を歩むとなれば、安らげる機会は、そう多くは望めません。

 とある市役所に勤務する高尾は、管理者達にいつも他の職員より下に見られる日々を過ごしていた。どう考えても高尾自身にもその訳が分からなかった。日々の勤務は、他の職員とさほど遜色がない…と、思えていたからである。入庁して三十年が経ち、すでに高尾も五十の坂を越えようとしていた。同期の職員は、すべて管理職に出世した中で、高尾だけは相も変わらず平職員のままだった。年下の職員は高尾を気遣ってくれたが、高尾の内心は気遣われれば気遣われるほど茨の棘(とげ)に刺されたような痛みを感じていた。それゆえ、高尾の日々の勤めに安らぎなどあろうはずもなかった。

 そうこうして、また十年ばかりが過ぎ、高尾は、いよいよ定年を迎える年令になっていた。

「高尾さん、お疲れさまでした。明日で定年ですね…」

「はあ、有難うございます…」

 上司の課長にそう言われたとき、高尾はフゥ~っと何かが抜けたような安らぎを感じた。

 高尾さん、よかったじゃないですか。^^

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