-7- 安心感
安心感がないと安らぎは訪れません。身の危険が無ければいい訳ですが、そこはそれ、個人差がありますから、少しくらいの危険があっったとしても安らげる人も当然ながらありますが…。^^
串崎は風呂上がりの一杯を飲みながら寛いでいた。明日、人事異動でリストラされるかも知れない身の上だったが、肝の太い串崎は少しも気にかけてはいなかった。串崎の内心は、まあ、飛ばされても首になる訳ではないからな…という安心感があったからである。
そして次の日が巡った社内である。
「串崎さん、課長がお呼びです…」
「ああ、そうですか…」
串崎は来るべきものが来たな…と思いながらデスクの椅子から立った。
「課長、何でしょうか…」
「君には来月から隣の第二営業課の係長をやってもらうことになったよ。おめでとう!」
「えっ! 私がですかっ!?」
「ああ、そうだよ。何か不満かね」
「いや、そういう訳ではないんですが…」
リストラの覚悟をしていた串崎は当然、打ち消したが、内心に湧き起こる不安感を拭い去ることが出来なかった。
「まあ、頑張ってくれたまえ…」
「はあ…」
平社員の身の上だった串崎には仕事上の責任はほとんどなかったが、係長ともなれば仕事に対する責任が生じるからだった。安心感が消えた串崎には、その日からの風呂上がりの一杯が寛げなくなった。安心感が消えた串崎の安らぎは昇進とともに消え去ったのである。
安らぎを与える安心感は、こんないい場合でも消え去る不安定なものなんですね。^^




