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-65- はてっ?

 安らぎ気分でいても、はてっ? …と妙な思いにならなくてもいいのになるときがあります。^^ その段階で安らぎ気分は消滅しますから、困ったものです。

 吉川(きっかわ)は久しぶりに好きな魚釣りをしていた。長閑(のどか)な青空の下(もと)、好きな趣味を満喫しているのだから当然、安らぎ気分がどこからともなくやってくる。川の流れも緩やかで、時折り鮎が水面(みなも)を跳ねる。瞬間、こりゃ、釣果(ちょうか)が上がるぞっ! と、吉川がニンマリしたそのときである。一羽のカラスが啼かなくてもいいのにカァカァ! と啼きながら吉川の頭上を飛び去った。吉川はドッシリと川石の上に腰を下ろし、川面に垂れた釣り竿を握ったまま頭上を見上げた。吉川の安らぎ気分はこの時点で完全に消え去っていた。なんだ、カラスか…という思いで、吉川はふたたび視線を川面に戻した。と、そのときである。俄かな当たりがあり、浮きがビクッ! と沈んだ。吉川はタイミングよく釣り竿を上げた。ほどほどに大きい鮎が針先に引っ掛かり、ピチピチと激しく動きしながら吉川の手元に手繰(たぐ)り寄せられた。吉川は吊った鮎を静かに針先から外すと、持参したクーラーボックスの中へ収納した。カラスも悪いことばかりじゃないんだな…と、吉川はふたたびニンマリした。吉川の心中に、ふたたび安らぎ気分が戻っていた。

 カラスが啼いた場合でも、悪いことばかり起こる訳ではなく、安らぎ気分になれるんですね。^^

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