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-56- 言い方

 相手への言い方によって物事は気まずくなったり弾(はず)んだりします。弾めば必然的に安らぎの心が芽生えると、話はまあ、こうなる訳です。^^

 とある商社の営業課である。いつもライバルとして売り上げ実績を競っている坂巻と平川は、大手会社との契約に臨んでいた。どちらが先に契約を取るか? によって、課長補佐への昇格がほぼ決まっていた。

「どうなんでしょうね?」

 新入社員の新苫(にいとま)が大先輩の大仏(おさらぎ)に小声で訊ねた。

「何がっ!?」

 大仏は仕事の手を止め、凝った肩を揉みながら朴訥に返した。

「坂巻さんと平川さんですよ」

「俺にはよく分からん…」

 大仏は長年、平社員で、出世コースから外れた社員だったから、人事異動には無関心だったのである。

「坂巻さんは言い方が理詰めの言い方をされますし、平川さんはヤンワリした言い方をされます」

「…それが?」

「ですから、それが契約に影響すると思うんです…」

「君はどちらが契約を取ると思うんだい?」

「柔よく剛を制す・・と言いますからね。平川さんかな?」

「ははは…理詰めも馬鹿に出来んぞ」

「それはまあ、そうですが…」

 二人の間に出世コースとは無縁の安らぎの心が生まれた。

 半年後、平川は契約を取り、課長補佐へ昇格した。

 やはり、ヤンワリした言い方の方が上手くいくんですかね。^^

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