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-57- 安全策
全ての物事に共通することですが、前もって安全策を考えておけば心は安らぎます。
有名な生け花の家元として活躍する男がいた。名前は本人の意向であえて避けるが、多くの弟子を抱える身で多忙な日々を送っていた。弟子といってもピンキリで、名取りにしてもいいと思える弟子から、やめれば…と、声をかけたくなる不出来な弟子までいろいろといた。家元だから無様な指導は出来ない。そこで、家元は安全策として師範代ともいえる弟子を必ず二名、いつも傍らに従えていた。いわば、横綱の露払い、太刀持ち・・といった存在だった。
「先生、どうでしょう?」
「あっ! すみません。君、相手しなさい…」
見るのも恥ずかしい不出来な生け花を訊ねられた家元は、これは…と思えたから、お付きの弟子の一人に安全策を取って下駄を預け、次へと回った。
「…」
次の弟子は何も言わず、笑顔で家元の指導を仰いだ。
「いいですねっ!」
家元は、これは…と、惚れ惚れするような素晴らしい生け花に遭遇し、感動した。こんな場合は、時間を取って懇切丁寧に指導することで家元は心の安らぎを得ていたのである。
心が安らぐ安全策の第一は、危うきに近寄らずですか…。^^




