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-52- 旅

 鬱屈した日々が続けば、安らぎを求めて旅に出るのも一つの方法でしょう。

 新進作家の黒谷は連載に追われて、すっかり創作意欲を失くしていた。さて、そうなると安らぎ気分は黒谷の心理からすっかり消え去った。

『旅にでも出るか…』

 黒谷は考えるでなく思った。

『これくらいあれば、いいだろう…』

 財布に二十枚ばかり万札を入れ、黒谷は目標もなしに適当に列車に飛び乗った。

 列車内である。

「切符を拝見いたします…」

「この列車は、どこへ行きますか?」

「はあ?」

「適当に飛び乗ったもので…」

「東北本線の仙台ですが…」

「それじゃ、そこまで…」

「◎◎駅から特急に乗られた方がいいですよ…」

「じゃあ、そういうことで…」

「特急券も含め、¥△,△○□です…」

 黒谷は駅員に料金を支払った。

「腹が減りました。駅弁とかありませんかね?」

「◎◎駅で構内販売があります…」

 駅員はそう言うと、黒谷から別の乗客の席へと移動した。黒谷に安らぎ気分が訪れた。

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