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-43- 追う
仕事を追えば気分的に安らげます。その真逆に追われれば、安らぎどころか気分は急かされ緊迫の度合い益すせことで心の中はザワつきます。
ベテラン警部の村畑は目星がついた容疑者を追っていた。村畑の安らぎは目星をつけた容疑者を追うことで満たされていた。それでも新しい事件は起こり続ける。前の犯人が検挙されていないうちに新事件が発生すれば、村畑が追われるのは必然だった。
「ムラさん、私があとは捜査を続行しますから、新しい方をお願いしますっ!」
警部補の向町が焦る村畑を労った。
「いや、新しい方はお前がやれっ! このまま逮捕出来なきゃ、後味が悪いっ!」
向町にそう言った村畑だったが、内心ではまだ検挙できない自分に懐疑心を持っていたのである。俺には果たして刑事の素質があるんだろうか…と。
事件は、ひょんなことから綻びを見せ、容疑者が逮捕されるに及んで解決を見た。疲れ切った村畑だったが、心中には追うことが消えた安らぎ気分がヒタヒタと湧き出ていた。




