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-32- 終わる
何ごとも終われば安らぎの心が芽生えます。安らぎは物事を終わることで訪れる心境なのです。
とあるテレビ局である。ディレクターの橘は番組の全収録を終え責任から解放された溜め息を誰にも見られない大便器の上に座り、用を足すことなく一つ吐いた。その番組は、とあるテレビ局の五十周年を祝う記念番組で、テレビ局の幹部も注目していた。
「橘君、ご苦労さん…」
ミキサー室に入った橘に声をかけたのは制作部長の広瀬だった。橘がトイレに入った直後、労を労うためにやってきたようだった。
「これは部長、態々(わざわざ)どうも…」
「いやいや、視聴率も高く、社長以下安心したよ。演出がよかったんだろうね」
「はあ、この手のドラマは割合、よく観られますので…」
「そうだね。なんといっても海崎登代子さんの原作だからね…」
「はあ、脚色しやすい緻密な原作でしたから…」
「どうだね、今夜、例の店で一杯…」
「はい、お供させて頂きます…」
橘は番組が終わることで、二重の安らぎを覚えることになった。
何ごとも終わると、やれやれで安らげますよね。^^




