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-23- 自由
いくら恵まれた富や環境に恵まれていても自由がなければ安らぎは求められません。それだけ安らぎは繊細{ナイーブ]な心の動きなのです。
財界の闇将軍とも呼ばれる富豪の薄田にとって、多忙に追われる日々だけが安らぎを得られないただ一つの問題となっていた。
「旦那様、そろそろ首相とのお食事会が迫っておられますが…」
「ああ、分かった。…今日は非公式だから、この前の服装でいいよ…」
薄田は老執事の足尾に静かに返した。
「畏まってございます。ご出発は?」
「そうだね…。何時だったかな?」
「鳳凰の間で午後は七時、となっておりますが…」
「そう…」
薄田は徐に三つ揃えのベストに忍ばせた懐中時計を取り出して開いた。
「四時か…・失礼になるから三十分ばかり前に着くように車を手配しておくれ…」
お抱え運転手付きの最高級料亭での食事である。
「そのあとは…?」
「はあ、九時から予約されました奥様とのお買い物となっておりますが…」
「で、そのあとは?」
「はあ、十時から経済同友会の会長様との飲み会が…」
「あの人とは長年の付き合いだから…」
「で、そのあとはっ!?」
「今日はそれだけでございます…」
薄田は、多過ぎないか? と疑問を感じながら、やっと解放されるのか…と安らぎを覚えた。
富豪も安らぎを得るのは大変なんですね。^^




