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15/38

-15- 分からない

 ああ、いい心地だ…と思うことはあるでしょうが、それが安らぎかどうなのか? は本人にさえ分からないものです。いい心地と安らぎとは必ずしも一致しない・・ということに他なりません。

 とある夏の日曜である。昼前の庭の除草作業で汗びっしょりとなり、疲れた下田は、扇風機に身を預けていた。日陰ということもあり、下田の身体はすぐに冷え始め、すぐに心地よくなってきた。汗の放射冷却現象が始まったのである。

「シャワ-で着がえないと風邪ひくわよ…」

 キッチンから居間へ入った妻の美里が嫌味を一つ吐きながら下田の後ろを通り過ぎた。そんなことは分かってるさ…とは思ったが、そう言えない事情が下田にはあった。なんだかんだと言い訳をし、給料からへそくっていた闇金が昨日、美里に差し押さえられたのだった。そんな訳で、肩身が狭くなった下田は無言でスルーする他はなかったのである。いつの間にか下田の身体は冷んやりとしてきた。美里の忠告めいたひと言が現実になりそうになった下田は浴室へと急いだ。

 シャワ-を浴びると、たちまち冷えた身体は暖かくなり、汗も流したお蔭でサッパリとした。次第に下田は安らぎ感に包まれていった。

 いい心地になったからといって、放置すれば必ずしも安らげるかどうか? は分からない訳ですね。^^

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