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小話27 「こうありたい」自分
とある貿易都市の、ある酒場。ここは酒も料理も美味いと評判で、多くの人々が訪れる。その中には冒険者や衛兵達の姿も。それだけ人が集まれば、自然と騒動も起こるのだが。
異様。それが男から受ける、第一印象だった。黒いコートの端をなびかせ、靴音を鳴らしながらやって来た男。つばの広い黒の帽子に、黒に衣服に身を包んで死神をかくや、といったいで立ちだ。薄い茶色の髪と瞳。右目は前髪の下に隠され、その口元には笑みが浮かぶ。怪しげな雰囲気とその目立つ格好に、誰もがちらりと見てしまう。
20代くらいであろうその男は、数秒周囲を見渡して、一番厨房から離れた角のテーブル席に腰を下ろす。男は何か考え込む仕草をした後、マスターを呼んで注文をする。
「マスター、注文を頼むぞ?」




