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異世界酒場小話集  作者: 愛組
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小話24 飛来してきた者3

 影は動き回った結果、やはり伝わらないと知り、がくりと肩を落とす。言葉が無くても、影の心情を如実に教えてくれる。そこへマスターがやって来た。

「注文は?」

 周囲の空気に構う事無く、マスターが尋ねる。「なんでこんな状況で!?」と言いたい所だが、黙って様子を伺う。


「 …… 」

「あぁ」

「 …… 」

「わかった」


『通じてる!?』



 身振り手振りで動く影。マスターは相手の意図を読み、厨房に戻る。そして、麻袋に木ノ実をいっぱいに入れ、口を紐で結ぶ。マスターはその麻袋を振りかぶってブンッと風の渦へ投げつけた。すると、麻袋は吸い込まれる様に中へと入っていき、影がその場で飛び跳ねる。おそらく、喜びを表しているのだろう。影はその場で天井を見上げると、来た時と同同様、空いた天井の穴を通って空へと飛び立った。状況が理解できず、静まりかえる店内を残して。







ーーーーー

 影が飛び立ってからの酒場で、常連客の男はマスターに質問した。

「おい、マスター。あれは、なんだったんだ?」

「あれは”シルフ”だ」

「”シルフ”? 風の精霊の?」

「あぁ。人の姿をとって、ここに来たらしい」


 マスターの説明を聞いて、男は苦笑をこぼした。

 どうやらこの酒場は、いろんなやつに人気らしいと。


 

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