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小話23 逃亡者の2人
とある貿易都市の、ある酒場。
ここは酒も料理も美味いと評判で、多くの人々がやって来る。その中には冒険者や衛兵達の姿も。それだけ人が集まる場所には、自然と騒動も起こるのだが。
まだ、人が活動する夜の時間帯。酒場は帰還した冒険者達の集まりで、賑わっていた。飲めや歌えやの大騒ぎ。誰かが囃し立て、調子に乗った若者が芸を振るう。それを見て指差し笑い、酒を仰ぐ。ほとんど毎日、宴状態の酒場にはいつも笑いが絶えない。酒場から漏れ出るたくさんの声は、街ゆく人々にも楽しさと安心感を与える。そして、「自分も酒場に足を運ぼうか」と思わせてくれるのだ。
しかしそんな平和な街中で、人の波間をぬって2つの影が走っていた。その息遣いは荒く、体を包むフードケープがバタバタ音を立てる。背の低い影がよろめいて人とぶつかると、すかさず、もう1人の影が手を貸す。
そうして走っている間に、2つの影は酒場の前へたどり着いた。多くの笑い声と鼻腔をくすぐる肉やハーブの匂い。芳醇な酒や、野性味のある香りまで漂ってくる。しばらくまともな食事を摂っていなかった影響か、同時に腹を鳴らす。
「「 …… 」」
2人は引き込まれかのように、酒場の扉に手をかけたのだった。




