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小話21 思い出の場所
とある貿易都市のある酒場。
ここでは酒も料理も美味いと評判で、多くの人々が集まる。もちろん冒険者もいれば、衛兵達も。それだけ人が集まる場所には、自然と騒動も起こるのだが。
閉店間際の店内。最後の客が帰っていき、マスターはテーブルの皿やジョッキを片付けていく。ガチャガチャと食器が擦れ合う音が、静かな店内に響いた。
「こんばんは、マスター」
そんな中、酒場の扉が開き1人の老人がニコニコとしわくちゃな笑みを浮かべて、入って来る。ヨレヨレのYシャツに、上着をはおり、白髪に染まった髪を手で撫でる。腰は曲がり右手には体を支える為、一本のステッキが握られていた。目尻のシワを深く刻み、テーブル席に腰掛ける。そのご老人は、マスターの店の常連客だった。いつも決まった時間に来て、決まった場所に座る。
しかし、今日はなんだかおかしい。昼間も普段通りこの店にやって来ていたのに、何故再びやって来たのか?
「さ、何を頼もうかね」




