小話20 盲目の修行人3
レイピアを構えた少女は、床を蹴って跳躍。対して盲目の女性は、自分めがけて突き出された切っ先を体を反転させ、回避。防御姿勢を整えていない少女の胴に、拳を放つ。
しかし当たる直前で少女は、レイピアを盾に拳撃の勢いを相殺。床に片手をついてその場から、距離をとった。
『 おおおおおっ!! 』
卓越した戦闘センスを持つ2人の戦いに、いつの間にか観戦する客の輪ができる。誰も手に汗握り、興奮状態。中でも原因を作った張本人、常連の男は子供の様に目をキラキラ輝かせて、顔を紅潮させた。彼自身も決して弱く無い。だが、彼女達の実力と比較すれば雲泥の差だ。比較するだけ無駄だろう。
「 …… 」
「 …… 」
対峙する2人は、距離をとったまま互いを見やる。どちらが先に動くのか、タイミングを計っているからだ。そして、その瞬間は訪れた。
「飯、できたぞ」
マスターが料理の皿を持って現れたと同時、再び床を駆る。一陣と風となりて、両者は客達の合間をすり抜けた。慌ただしくカウンター席に座り込み、マスターを急かす。
「食は出来立てが一番。冷めれば味は半減する!」
「マスター、同じの欲しい。あなた、大切な事、分かってる」
戦っていたはずの2人は、思わぬ共感を得て向き合う。しばらく互いを見つめあって2人だが、ガシッと握手を交わす。その姿をみて盛り上がっていた客達は、急激に熱が冷めるのを感じて心の内で叫ぶ。
『何だよその展開はぁぁぁぁ』と。




