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6-2 ジオフロンティア

 ある週末。


 オットーはハイパーラインを使い、センターの中央部門に向かっていた。

 今やジオフロンティアで最も用いられるこの技術は、旧世界においては当初、真空を利用する予定だったらしい。技術的な問題で電磁力を使ったものに変更されたが、それでも旧世界の技術よりはるかに高速化されている。


 路線を囲む強化ガラスを、いつも変わらない地下の「夜景」が一瞬で通り過ぎていく。眩い七色の光点が目を焼く。まるでドールの群れの様だった。


 この4年の間だけで、ずいぶん発展したな……。


 センターの職員は健康と概日リズムを保つため、「窓」のあるところではホログラムの日光を楽しむことはできる。だが、基本的にこの地下は夜の世界。陽光はあくまで、地上の世界のもの――そして、楽園に囲われたドールたちのもの。


 昼間の光も、夜の灯りも――何もかも、ドールを中心とした文明に属している。オットーたちのように陰で生きるデブリたちは、その輝きの端くれを恩恵として頂戴するのみだ。


 中央部門には一時間と経たずに到着した。

 孵化・条件付けセンターはそれ自体が広大な居住区を包摂している。各部門は支部として点在しているというより、ひとつながりの骨組みの中に居住区ごと埋め込まれている形だ。

 一方で、岩でできた壁面の隙間からつながっている「都市」は、センターの「外」として扱われている――地下独特の、視覚的にわかりにくい区分の仕方である。


 オットーは3Fのフロントで調査委員会のIDを示し、地下の資料館に行きたい、と申し出る。

 受付嬢のロボットたちはドールそっくりの容姿を纏っていた。……中央部門は外からの来客も多い、センターの顔のような場所でもある。製品をあらゆる面で、マスコットとしてアピールしているのだ。

 なお、この受付嬢たちはかつて、ドールの生産が少なかったころに大流行した性風俗ロボットと同じ設計だ。それらを応用したものが、ドールの愛着元型マザーロボットである。


 オットーはエレベーターに乗り、B1階に向かった。


 孵化・条件付けセンター、中央部門B1階――ジオフロンティア5層にあたる。

 階層が上から下に数えるのに対し、施設の階は上から数える点がややこしい。一応、施設の「外」の地下空間は地上の都市のように扱われているため、さらにその地面の下としての「地下」と言う概念がある。


 「資料館」。地下の地下にある施設――それはつまり、ほとんど足を踏み入れる人間がいない、特殊な領域と見なされている、と言うことだ。


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