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私の大切な○○○
スイレンは夢を見ていた。
いつも通りの練習風景。
桃色の髪のあの子。
いつも一生懸命、頑張っていて
少し不器用で
甘えん坊で、可愛くて
自分のことをとても慕ってくれていて
廊下の反対側から目が合った時
ツインテールを揺らしながら、満面の笑みでこちらに駆けてくる、彼女の声。
「――お姉さま!」
それだけじゃない。
あの肌の感触
髪の匂い
吐息
重ねた夜
何もかも
とても馴染みのある感覚――
「お姉さま、大好きです。お姉さま――」
そう、私はあなたのお姉さま
これが私の役割
私の生きる意味
私はお姉さま
先輩、会長、お姉さま――
みんなのお姉さま
あなたが私をそうさせてくれる
そう、いつだって、あの子が——
あの子は、私がいないと、生きていけない
ひとりぼっちに、耐えられない
だから、私が
そう、私もあの子と、同じ――
あの子、と…………。
ふと一瞬、景色の隙間を通り抜ける、嫌な感覚
残像
そう、私は、「あの子」と一緒、に…………?
目の前に白い靄がかかる
靄が晴れた時、彼女の顔が振り返って笑った。
「——スイレン先輩!」
ああ、なんだ――
よかった。やっぱり、そこにいてくれたんだ――




