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2.体調不良

鳥の鳴き声が聞こえる。

寝た感覚がしない、気づけば朝になっていたような錯覚までする。

予定を変更して、昼まで…。

「いや、堕落するな。

…ノアの様子を見に行こう、酷くなってないといいが。」

支度をし、自室を出る。

少し歩けば、ノアの部屋だ。

ノックをすれば、はーい!という元気な声の後、出てきた。

「……先輩。」

俺を見て目を見開いてからぶすくれてしまった様子の後輩が。

「体調は大丈夫か?」

気遣いながら、言葉を崩すと一瞬パァッと明るくなった後、ハッとして顔が戻る。

「伊達に隊長してないっす、なんの用すか。」

言葉の端々にトゲがあるような気がする。

「…心配をして来たんだが、いらん心配だったな。

体調よろしいなら、良かったです。

この後もお気をつけください、では。」

機嫌が悪いなら置いとこう、そう思い、切り替え、風呂屋へ向かう準備をするため帰ろうとすると。

「まっ…!うぅ…、なんなんすか!?もう!

お茶でも飲んでったらいいんじゃないんすか!!?」

顔を真っ赤にした後輩が服を掴んで引き留めてきた。

困った。予定が狂う。

まぁいいか、明日にでも回せる。

「じゃあ……失礼する。」

「ど、どうぞ!」

部屋に入れば、すぐにお茶が用意される。

ありがとうと、受け取ると少し満足そうに頷く後輩と、机越しに向き合う。

……引き留められた理由が分からない。

しばし無言になっていると。

「先輩、もしかして昨日俺が寝るまでいました?」

「ああ。」

「水ありがとうございます。

それと……その、あの……。」

また顔が真っ赤になる後輩に、ピンとくる。

恥ずかしかったのか。蒸し返さなくていいものを、最後まで自分がなにをしていたのか追求するところは尊敬する。

「い、一緒に、寝ました……?」

「……」

どう答えるべきか、記憶が残っているのなら、彼の名誉のために否定するのは顔に泥を塗るようなものだろう。

「先輩……?」

不安そうに、返事を急いてくる。

ふむ、仕方ない。

「お前に引っ張られたからな。」

「あ、ああ…まじすか、おれ…その…。」

「大丈夫だ、何も恥ずべきことはない。

酔ってむさ苦しい男と寝転んだだけだ、気にするな。

酒の苦い思い出として、今後の教訓にでもしておけ。」

「……あー、あはは、はい!

次から気をつけます!ははは!」

撫でられて子供のように寝落ちたことだけは言わないでおこう。

彼のプライドのために。

「ちなみに、この後の予定って…。」

「風呂にいってから、買い物にでも行こうかと考えている。」

「いっ!一緒に!とか…」

「…次な、酒飲んで酔っ払ったんだ、体調悪いだろ、今日は休んで……明日あたりどうだ?」

「…はい、じゃあ、また明日に。」

「ああ、安静にしてろよ。また明日。」

去り際、昨日の名残で頭をひと撫でしてしまった、が気にしないふりをしつつ、去る。

扉を通り抜け、振り返ると、ノアがドアから顔を覗かせている。

「…ふっ、またな。」

あまりにも名残惜しそうにこちらを見ていたので、まるで年の離れた弟のようだなと思い手を振る。

ノアは少し微笑みながら、こちらに手を振りドアを閉めた。

少し歳が離れているだけで可愛いと思ってしまう。もしかしたら、もうおじさんという年かもしれない。

とりあえず、風呂屋へ行くか…。

そう思い、風呂屋への道のりを歩もうとした瞬間、ぐらりと視界が歪む。

「な、ん…」

立っているのが辛くなり、地面にうずくまる。

魔法の気配はない、誰かに何かをされたわけではない、じゃあ、なんだ。

魔物の気配もない、毒であるわけがない。

視界がおかしいためか、頭痛もしてきた。

考えるのが辛い、ここで倒れたら隊員に心配をかけてしまう。

もう、だめだ……、痛い……。

ぐらり、床へと身体を叩きつけ、俺は意識を手放した。

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