華麗なる復讐劇(※物理的にも精神的にも大爆発)
「フヒヒ……見てろよレオン。俺の女たちを寝取った代償、きっちり払わせてやるからな……!」
ゴミ捨て場で三日三晩、タカシは己の『チート能力(※ただの手作業)』を駆使して最凶の武器を作り上げた。
腐った残飯、ドブネズミの死骸、そしてタカシ自身のヘドロまみれの靴下をブレンドして発酵させた、特製『超悪臭ヘドロ爆弾(タカシ命名:ダーク・マター・ボム)』である。
作戦は完璧だ。
王都の路地裏で待ち伏せし、パトロール中のレオンのイケメンフェイスにこの爆弾をぶち当てる。
悪臭と汚物にまみれて泣き叫ぶ無様なレオンを見れば、洗脳(※勘違い)されていたヒロインたちも目を覚まし、「やっぱりタカシ様が一番素敵!」と俺の胸に飛び込んでくるに違いない。
「きたきた……俺の獲物たちが」
路地の奥から、レオンと女騎士、シスターが談笑しながら歩いてくる。
レオンの爽やかな笑顔を見るだけで、タカシの胃袋が嫉妬で煮えくり返った。
「今だッ! くらえええええ! 俺の女たちを返しやがれ、この泥棒猫ならぬ泥棒イケメンがぁぁぁ!!」
タカシは物陰から飛び出し、渾身の力で『ダーク・マター・ボム』を投擲した。
ブチャァッ! という嫌な音を立てて飛んでいく汚物の塊。
もらった! とタカシが確信してニチャァと笑った、その瞬間。
「ん? ――『清らかなる風』」
レオンが一切の焦りも見せず、涼しい顔で指先を軽く振った。
途端に路地裏に爽やかな突風が吹き荒れ――飛んでいったはずのヘドロ爆弾が、見事なUターンを描いてタカシの顔面に真っ直ぐ戻ってきた。
「へっ?」
ベチャァァァァァァァッッ!!!
「んぐふぅぅぅっっ!? ぐえ、おえぇぇぇぇぇ!!」
自ら生み出した地獄の悪臭と汚物が、目、鼻、口にダイレクトアタック。
あまりの臭さと吐き気に、タカシは白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
「きゃっ!? な、なんですか今の汚い生き物!」
「レオン様、お下がりください! まさか王都のど真ん中に、汚泥の魔物が出現するとは……!」
悲鳴を上げるシスターと、剣を抜いてレオンを庇う女騎士。
ヒロインたちは、汚物にまみれてのたうち回るタカシを見て「俺の女」どころか、「人間の男」としてすら認識していなかった。完全に『駆除すべき害獣』を見る目だ。
「大丈夫だよ、二人とも。ただの悪戯好きのゴブリンの変異種か何かだろう。……それにしても、酷い臭いだ。衛兵を呼んで、焼却処分してもらった方がいいかもしれないね」
「はいっ、さすがレオン様! 街の衛生管理までお気にかけてくださるなんて……!」
「ち、ちが……俺は、タカシ……お前らの、真の……」
口から黄色い泡を吹きながら必死に手を伸ばすタカシだったが、その声はヒロインたちの黄色い歓声にかき消されて届かない。
結局、タカシは駆けつけた完全防護服姿の衛兵たちに「触りたくねぇ」「臭すぎる」とボロ雑巾のようにトングで摘ままれ、再びゴミ捨て場のさらに奥深くへとぶん投げられるのだった。
復讐は見事なまでの自己完結型自爆で終わり、タカシのNTR(被害妄想)の傷跡と、全身の悪臭だけがさらに深まる結果となった。




